奈良県斑鳩町法隆寺の円墳「舟塚古墳」(推定直径約20メートル)で、横穴式石室の構造や築造年代が分かり、発掘調査を担当した町教委と奈良大学が7日、発表した。石室は、被葬者を安置する玄室が通路・羨道から左側に張り出した「片袖式」と呼ばれる構造であることが判明。出土した須恵器により築造が6世紀後半であることも分かった。9日に現地説明会を開く。
舟塚古墳は現存する墳丘部が直径8・5メートルで、石垣で囲われている。今年2~3月の前回の第3次調査で横穴式石室の一部を確認。8月3日から始まった今回の4次調査(今月16日までの予定)では、墳丘中央付近の約13平方メートルを発掘した。
その結果、羨道部は破壊され、石室の天井石が抜き取られていることが明らかに。玄室は長さ3・8メートル、幅1・6メートルで、入り口(玄門)から見た正面の奥壁は5段以上の石材が積まれていた。玄室の規模や出土品などから地域の有力者2人が安置されたとみられる。
石室内からは鉄製の大刀2点(いずれも長さ約1メートル)、馬具類3点、玉類12点、土器類37点が出土した。
6世紀後半に築造された町内の古墳としては、豪華な金銅製馬具の副葬品で知られる藤ノ木古墳もあるが、舟塚古墳の方が古いとみられる。奈良大文学部の豊島直博教授(考古学)は舟塚古墳について「玄室の規模が藤ノ木古墳の約半分で、藤ノ木古墳以前の町内の古墳構造を知る重要な成果になった」と話している。
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現地説明会は午前10時~正午。舟塚古墳は、法隆寺観光自動車駐車場内にあり、駐車場は有料。問い合わせは、斑鳩文化財センター(0745・70・1200)。