岸田文雄首相は21日、政権の重要施策について現場の声を聴く「全国行脚」の第1弾として、栃木県足利市の障害者支援施設の利用者が働くワイナリーを訪れ、従業員や家族らとの車座対談を行った。視察の後には「障害のある方々や女性や若者、さまざまな方に目配りした政策が求められると感じた」と記者団に述べ、農業と福祉の「農福連携」を推進していく考えを強調した。
首相はワイン生産者が実際に働く様子も見学し、同ワイナリーの取り組みを「農福連携の草分け的な事例だ」と称賛。太陽が照り付けるなか、担当者から日陰に誘われたが「中東から帰ってきた。ここはまだ涼しい」と笑いを誘った。
車座対談では、施設の統括管理者の越知眞智子さんが「(障害者に)力を貸すとか支援するとか一方的にやることではない。一緒に何か作り上げていく」との運営理念を説明。首相は、一人一人に寄り添う姿を地域全体で作り上げている様子に「感銘を受けた」と応じ、「国や自治体がやらなければならないことはまだまだたくさんある。生きがいや希望をより大きくするため環境整備に努めたい」と語った。
首相は今後、子育て、デジタル、認知症対策などを大きなテーマに位置付けて全国行脚を展開する予定。現場の声を「聞く力」をアピールし、下降局面にある内閣支持率の持ち直しを図りたい考えだ。(梶村孝徳)