総務省が7日、放送法の「政治的公平」の解釈に関する文書を行政文書だと認めたことで、最初に文書を入手、公開した立憲民主党は沸き返った。少子化対策など政策論戦で岸田文雄政権を攻めあぐねていたところに、格好の追及材料をつかんだ格好で、まずは文書を「捏造(ねつぞう)」と主張する高市早苗経済安全保障担当相に照準を合わせ、政権を揺さぶりたい考えだ。
「安倍晋三政権の負の遺産の一つが報道介入だった。特定の政治家や政党が解釈をねじ曲げたことには徹底して戦っていきたい」
立民の安住淳国対委員長は7日、国会内で記者団を前にそう宣言。「捏造と言い張る高市氏は、事実とわかった以上、責任を取るべきだ」と語気を強めた。
文書は立民の小西洋之参院議員が入手し、2日に公開したが、執行部は取り扱いを慎重に検討してきた。旧民主党時代、偽情報をもとに政府を追及した結果、執行部の総退陣につながった「偽メール問題」の苦い記憶があるからだ。
ただ、今回は文書に登場する礒崎陽輔元首相補佐官が事実関係を否定しなかった点などを考慮し、文書は「本物」だと判断。総務省が行政文書と認めた7日には早速、「国対ヒアリング」を国会内で開催した。
新規の追及案件でヒアリングは熱を帯びた。総務省の担当者が文書について「正確性が確認できない点がある」と説明。これに対し、同省出身の奥野総一郎衆院議員が「高市氏が捏造と主張している以上、事務方は(文書が)正しいとはいえないのでは」と理解を示すと、同省で後輩にあたる小西氏が「ちょっと黙っててください」と怒りをあらわにする場面もあった。
文書を巡っては、共産党の小池晃書記局長も7日、記者団に「安倍政権時代の闇がまたひとつ暴かれた」と語り、立民と協調して追及していく考えを示した。野党の国会論戦に臨む姿勢が「疑惑追及」に回帰する気配が出始めた。(大橋拓史)