韓国、レーダー照射など未解決 観艦式7年ぶり参加

国際観艦式で祝賀航行する韓国の補給艦「ソヤン」=6日、相模湾(松本健吾撮影)
国際観艦式で祝賀航行する韓国の補給艦「ソヤン」=6日、相模湾(松本健吾撮影)

海上自衛隊が6日に開いた国際観艦式に、韓国軍が久々に参加した。日本が開催する観艦式への参加は7年ぶりだ。北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返し、緊迫する安全保障環境を踏まえ、韓国には日本との協力関係を深化させる狙いがある。とはいえ、韓国海軍による自衛隊機への火器管制レーダー照射など、文在寅(ムン・ジェイン)政権下で生じた複数の問題は解決しておらず、停滞した防衛協力が完全に正常化するかは見通せない。

「北朝鮮は今年に入り、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返し、わが国上空を通過させる形での発射も強行した。核・ミサイル開発は断じて容認できない」

岸田文雄首相は国際観艦式での訓示でこう述べ、韓国や米国など、参加12カ国との連携の重要性を強調した。

防衛を巡る日韓の関係は近年、良好とはいえない状況が続いていた。2018年12月に起きた韓国海軍駆逐艦による海自哨戒機へのレーダー照射問題を機に対立が強まり、日本は19年に予定した観艦式に韓国軍を招待しなかった。同年8月には、政府が半導体材料の対韓輸出管理を厳格化したことへの対抗措置として、韓国が一時、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告したこともあった。

防衛以外の面でも、いわゆる徴用工問題などの懸案が重なり、日韓間の相互不信は常態化しつつあった。

潮目が変わったのは、米国や日本との関係を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が誕生した今年5月だ。首相と尹氏が9月、米ニューヨークで非公式の「懇談」を行ったほか、日米韓による対潜水艦作戦の共同訓練が約5年半ぶりに日本海で実施され、関係改善の兆しが見えた。

北朝鮮は9月末以降、異例の頻度でミサイル発射を繰り返しており、政府関係者は「日韓の防衛当局者が関係改善に傾くのは当然の流れだ」と話す。

もっとも、北朝鮮の脅威に後押しされた関係改善は、日韓間の懸案の解消とは根本的に異なる。例えばレーダー照射に関しては、韓国側は照射の事実さえ認めていない。有事に機能する信頼関係の醸成にはなお時間を要しそうだ。(松本学)

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