月刊正論7月号(6月1日発売)の特集「日本共産党に騙(だま)されるな」で、公安調査庁の横尾洋一次長と作家の佐藤優氏が「革命路線に変わりなし」と題して対談をしている。共産が近年、立憲民主党との選挙協力や党綱領の改定などを通じて「ソフト路線化」をアピールしていることを踏まえ、両氏は「反皇室」など共産の本質は不変との認識を共有し警鐘を鳴らした。
日本政府が「破壊活動防止法に基づく調査対象団体」と位置付ける共産をウオッチする同庁の現職幹部がメディアに登場するのは極めて異例だ。
佐藤氏は共産の志位和夫委員長が最近、皇室について「『人間の平等の原則』と両立しない、だから民主共和制の実現をはかるべきだとの立場に立っています」と語ったと紹介。その上で共産の皇室観について「隠していないでしょ。廃止(の立場)ですよ」と断言した。
横尾氏も「共産党の方針として、『民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ』ということが綱領に明記されている」と指摘。志位氏による「憲法9条の理想にあわせて自衛隊の現実を変える」などの発言を引用し、「9条改正反対に変更はない」とも強調した。
佐藤氏は野党共闘について、昨年1月の共産党大会に立民などの幹部が結集したことに言及し「これが共産党の統一戦線戦術の巧みなところで一緒にやっていれば引き寄せていくことができる」と分析した。
一方、立民などに関しては共産への接近が財界、連合、個人事業主や中小企業経営者の離反、さらには共産と対立する公明党の支持母体である創価学会の自民支援強化を招くと指摘。「4つのマイナスがついてくる。果たして得なのか」と効果を疑問視した。