インフル治っても…「咳が止まらない」なら受診を

インフル治っても…「咳が止まらない」なら受診を
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風邪やインフルエンザが治った後も、しつこく咳(せき)が居残っているという人は、「咳ぜんそく」の可能性があるという。インフルエンザや風邪は治ったはずと放置すると、悪化してより重い「気管支ぜんそく」になる恐れもある。咳ぜんそくの注意点と、予防や症状緩和に役立つポイントを、「止まらない咳を治す!」(扶桑社)などの著書がある、池袋大谷クリニックの大谷義夫院長(呼吸器内科)に聞いた。(津川綾子)

熱は下がり、だるさも取れた。なのに2週、3週と時間がたっても、咳だけが止まらず、居残ってしまう。特に、誰かと話している最中や、冷たい空気を吸い込んだときなどに、せき込み出すと止まらなくなる。「そんな場合は、咳ぜんそくの可能性がある」と大谷さんは言う。

咳ぜんそくは気道(気管や気管支)の粘膜が炎症により刺激に敏感になり、咳が止まらなくなる疾患で、気道の過敏症とも言える。症状は咳だけだが、吐くような咳で、一度出だすと15秒、20秒…となかなか止まらない。腹圧がかかるため、咳の勢いで肋骨(ろっこつ)を骨折したり、失禁する人も出てくるという。

風邪きっかけにも

インフルエンザや風邪などと違い、感染症ではないものの、咳ぜんそくは、インフルエンザや風邪をきっかけに生じる場合が多い。そのため、風邪などが治った後に咳が続いても、治りが悪いと勘違いしてしまい、「咳ぜんそくかも」と認識を切り替えるに至らないこともある。

「風邪やインフルエンザなら1週間から10日ほどで治ります。その後も咳が止まらず、それが吐くような感じだと、もはや風邪じゃない。咳ぜんそくの可能性があるため、受診が必要です」(大谷さん)。診療は、呼吸器内科などで受けられる。咳ぜんそくを放置すると、その患者の3割が、ぜーぜーと呼吸が苦しくなる気管支ぜんそくにまで悪化する場合もある。

食生活で症状緩和

治療は、医師の診察・処方を受けた上で吸入ステロイド薬を服用するのが基本だ。

一方で、身近にある食品などの中には、予防や症状緩和につながりそうな効果が実証されているものもいくつかあるという。

一つは「1日3杯、コーヒーを飲む人は、全く飲まない人よりもぜんそく発症のリスクが28%低い」というイタリアの研究。大谷さんによると、「コーヒーに含まれるカフェインに気管支拡張作用などがあるため」だという。また、乳児には使えないが、ハチミツには抗炎症作用があり、咳止めとしての効果もあるという。最近では、米ジョンズ・ホプキンス大の研究で、ブロッコリーの新芽(スプラウト)などに含まれる「スルフォラファン」という成分に気管支拡張を助ける作用があることが分かっており、これらを食生活にバランスよく取り入れることも、咳のつらさを和らげるのに役立てられそうだ。

「手前」で対策 歯磨き、手洗い有効

そもそもぜんそくを防ぐには、インフルエンザや風邪にかからないように気を付けることが大切だ。

大谷さんがあげた対策例の一つは、歯磨きで口の中を清潔に保つこと。「口の中の細菌がつくり出す2種類のタンパク質は、インフルエンザウイルスが気道に入ることや、増殖するのを助ける働きをすることが分かっている」。歯磨きはこうした細菌の繁殖を防ぐのに役立ち、実際にインフルエンザ予防に有効という研究結果も発表されているという。

また、インフルエンザのウイルスは、金属やプラスチックなどの表面で24~48時間生存するという研究結果があるという。特に、不特定多数の人が触れるドアノブや電車のつり革、手すりなどを触ったあとは、必ず手洗いをしたほうがよいようだ。

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