免許更新で「認知機能低下恐れなし」 池袋事故の運転手

免許更新で「認知機能低下恐れなし」 池袋事故の運転手
免許更新で「認知機能低下恐れなし」 池袋事故の運転手
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 東京・池袋で乗用車が暴走し、母子2人が死亡、車の運転手(87)を含む男女8人が重軽傷を負った事故で、運転手が平成29年の免許更新時に受けた認知機能検査で、記憶力や判断力に問題はないと判定されていたとみられることが20日、捜査関係者への取材で分かった。ドライブレコーダーの解析などから、ブレーキを踏まずに加速を続け、歩行者らに突っ込んだとみられることも判明。警視庁は加齢などに伴う運動能力の低下が影響し、運転操作を誤った可能性があるとみて調べる。

 運転していたのは、東京都板橋区弥生町、旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長。捜査関係者によると、事故の約2年前の29年に免許を更新した際、75歳以上が義務付けられている認知機能検査で、問題は確認されなかった。認知機能の低下の恐れがない「第3分類」と判定されたとみられる。事故後の警視庁の調べにも、「持病はない」と話しているという。

 車はガードパイプに接触後、約150メートルにわたって暴走して次々に横断歩道上の歩行者らをはねるなどした。ドライブレコーダーの記録では、ガードパイプ接触前の左カーブ付近から加速を続け、最終的に反対車線のトラックにぶつかって停車。この間にブレーキを踏んだ形跡はなく、法定速度の時速50キロを大きく超えていたとみられる。

 飯塚元院長は事故当時の状況について「アクセルが戻らなくなった」と説明しているが、運転席の足元付近にペットボトルなどの落下物はなく、ペダルに物が挟まって動かなくなる可能性はないことも確認された。エアバッグが正常に作動しており、車の機能に不具合はないとみられる。

 警視庁は飯塚元院長が運動機能の低下などで操作の反応が遅れ、車を暴走させた可能性があるとみて、車の操作状況を自動記録する「イベントデータレコーダー(EDR)」などの解析を進める。

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