6日に保釈された日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン被告(64)が東京拘置所を出る際に変装のためかぶっていた帽子は、埼玉県川口市の鉄道車両整備会社、日本電装でかつて使われていた作業帽であることが分かった。同社の担当者は「何の連絡もない」と困惑している。
ゴーン被告がかぶっていたのは、水色に雷のようなオレンジ色の「N」マークが付いた作業帽。日本電装の斎藤明宏総務部長は「テレビを見て、すぐにうちで使っていた帽子と分かった。びっくりした」と話す。
日本電装は昭和25年創業で、東武鉄道や京王電鉄などの車両の修理や整備、改造を主に行っており、日産やルノーとの取引はない。トヨタグループの自動車部品メーカー、デンソー(愛知県刈谷市)の旧社名と同じ名前だが無関係だ。
斎藤部長によると、この帽子は3年前まで社員に支給していたが、ヘルメットに切り替えたため現在は使われていないという。「どこから流出したか分からない。変装に使われて、気分のいいものではない」と話した。
ゴーン被告が着ていた黒っぽい作業服の胸には会社名が縫い付けられていて、オレンジ色の反射ベストで隠れていたが、「(株)」の一部と「ウジング」という文字が見え、住宅関連会社のものとみられる。
ゴーン被告が乗ったスズキの軽ワゴン車は埼玉県の春日部ナンバーで、県内に実在する建設業者の名前が記されていた。