足の病気が懸念される糖尿病患者に履いてもらおうと、佐賀大と福岡県久留米市の靴メーカー「アサヒシューズ」が共同開発した靴がある。名称は「アサヒフットケア」。履き心地や歩きやすさから医療従事者ら立ち仕事の人にも愛用されるヒット商品になり、発売から3年余りで12万足が売れた。「足を守ることは命を守ること」。実現には関係者の思いと10年に及ぶ道のりがあった。

 糖尿病の合併症には神経障害や血管障害があり、進行すると足に痛みを感じなくなり、傷も治りにくい。自覚がないまま足にたこや傷ができて感染症にかかるなどし、潰瘍や壊疽(えそ)の「足病変」が引き起こされる。最悪のケースでは足や指の切断を余儀なくされ、健康寿命が縮まったり、死亡リスクが高まったりする。