Red Hat、Neural Magicの買収に関する正式契約を発表

［ノースカロライナ州ローリー - 2024年11月12日（現地時間）発表]　アメリカ報道発表資料抄訳

オープンソース・ソリューションのプロバイダーとして世界をリードするRed Hat, Inc.（以下、Red Hat）は本日、生成AIの推論ワークロードを高速化するソフトウェアとアルゴリズムのパイオニアである Neural Magic の買収に関する正式契約を締結したことを発表しました。Neural Magicの推論パフォーマンスエンジニアリングの専門知識とオープンソースへのコミットメントは、ハイブリッドクラウドを通じて、あらゆる場所で、お客様固有のユースケースとデータに直接マッピングされる高パフォーマンスのAIワークロードを実現するというRed Hatのビジョンと一致するものです。

生成AIが今日のテクノロジーランドスケープの大半を占めている一方で、これらのシステムを支える大規模言語モデル（LLM）の規模は拡大し続けています。その結果、コスト効率と信頼性の高いLLMサービスを構築するには、膨大なコンピューティングパワー、エネルギーリソース、専門的な運用スキルが必要になります。このような課題により多くの組織が、すぐにデプロイが可能で、セキュリティに配慮した、カスタマイズ済みのAIのメリットを利用できない状況にあります。

Red Hat はvLLM のオープンイノベーションを通じて、より多くの組織が 生成AI を利用しやすくすることで、このような課題への対処を目指します。カリフォルニア大学バークレー校によって開発されたvLLMは、オープンモデルサービング（生成AIモデルがどのように推論し、問題を解決するか）のためのコミュニティ主導のオープンソースプロジェクトであり、すべての主要なモデルファミリー、高度な推論アクセラレーション研究、およびAMD GPU、AWS Neuron、Google TPU、Intel Gaudi、NVIDIA GPU、x86 CPUを含む多様なハードウェアバックエンドをサポートしています。vLLM プロジェクトにおける Neural Magic のリーダーシップを、Red Hatのハイブリッドクラウド AI テクノロジーの強力なポートフォリオと組み合わせることで、データがどこに存在しようとも、組織独自のニーズを満たす AI 戦略を構築するための道が開かれることになります。

Red Hat + Neural Magic: ハイブリッドクラウドに対応した生成AIの未来を実現

Neural Magic は、深層学習のための性能の高い推論ソフトウェアを構築することを目標に、2018年に MIT からスピンアウトしました。Neural Magic のテクノロジーとパフォーマンスエンジニアリングの専門知識により、Red Hat は、Red Hat AI テクノロジーポートフォリオを活用して、AIの未来に向けたビジョンを加速させていくことを目指します。Red Hat は、大規模なエンタープライズ AI の課題を打破するために、オープンソースイノベーションを使用して、以下を通じてAIの変革力へのアクセスの民主化をさらに進めていきます：

• 企業のデータセンター、複数のクラウド、エッジなど、ハイブリッドクラウドで必要なあらゆる場所で実行できる、1Bから405Bのパラメータスケールのオープンソースライセンスモデル
• より強固なセキュリティフットプリントで、組織が個人データやユースケースに合わせてLLMをより容易にカスタマイズできるようにするファインチューニング機能
• 運用とインフラの効率化を実現する推論パフォーマンスエンジニアリングの専門知識
• LLMやツールから認定サーバーハードウェアや 基盤となるチップアーキテクチャに至るまで、お客様の選択肢を広げるパートナーやオープンソースのエコシステム、サポート体制

Red HatのAIを強化するvLLMのリーダーシップ

Neural Magicは、vLLMの専門知識とノウハウを活かしてエンタープライズグレードの推論スタックを構築し、お客様がインフラの選択、セキュリティポリシー、モデルのライフサイクルを完全に制御しながら、ハイブリッドクラウド環境でLLMワークロードを最適化、デプロイ、スケールすることを可能にします。また、Neural Magicはモデル最適化研究を進め、LLM Compressor（最先端のスパース性と量子化アルゴリズムでLLMを最適化する統合ライブラリ）を構築し、vLLMでデプロイ可能な事前最適化モデルのリポジトリを維持しています。

Red Hat のAI は、以下のような強力なテクノロジーにより、お客様が AI のコストとスキルの障壁を低減できるよう支援することを目指しています：

• Red Hat Enterprise Linux AI (RHEL AI)：オープンソース LLM (大規模言語モデル) の Granite ファミリーを、Linux サーバーデプロイメント上でエンタープライズアプリケーション向けに、よりシームレスに開発、テスト、実行する基盤モデルプラットフォーム
• Red Hat OpenShift AI： オンサイト、パブリッククラウド、エッジに分散したKubernetes環境において、機械学習モデルを迅速に開発、トレーニング、提供、監視するツールを提供するAIプラットフォーム
• InstructLab：InstructLab のファインチューニングテクノロジーを使用して、オープンソースライセンスの Granite LLM を共同で改良することで、誰もが生成 AI の未来を形作ることができるようにするために、Red Hat と IBM によって創設されたアプローチしやすいオープンソース AI コミュニティプロジェクト

vLLM における Neural Magic のテクノロジーリーダーシップにより、ハイブリッドクラウドのあらゆる場所で、レディメイドの高度に最適化されたオープンな推論スタックにより、LLM のデプロイメントをサポートする Red Hat AI の能力が強化されます。

本取引は、該当する規制当局の審査およびその他の慣例的な契約締結条件に従って行われます。

サポートコメント

Neural Magic　CEO　Brian Stevens（ブライアン・スティーブンス）氏
「オープンソースは、コミュニティの協力によってイノベーションを促進することが度々証明されています。Neural Magicでは、オープンかつクロスプラットフォームで超効率的なLLMサービング機能を構築するという唯一のミッションのもと、AIパフォーマンスエンジニアリングにおける業界トップクラスの人材を集めてきました。Red Hatに加わることは、文化的に相性が良いだけでなく、AI変革ジャーニーにおいて大小さまざまな企業に利益をもたらすでしょう」

IBM　シニアバイスプレジデント兼研究部門ディレクター　Dario Gil（ダリオ・ギル）氏
「当社のお客様はハイブリッド環境でのAIの拡張を検討しており、オープンな基盤上に構築された仮想化されたクラウドネイティブなLLMは今後、業界標準になっていくでしょう。オープンソースにおけるRed Hatのリーダーシップと、IBM Graniteのような効率的なオープンソースモデルやNeural Magicが提供する様々なプラットフォームでのAI拡張機能を組み合わせることで、企業全体でAIをデプロイするために必要な制御性と柔軟性が企業にもたらされます」

Red Hat　社長兼CEO　Matt Hicks（マット・ヒックス）
「AIワークロードは、お客様のデータがハイブリッドクラウド上のどこに存在しようとも実行される必要があるため、柔軟で標準化されたオープンなプラットフォームとツールが必要不可欠です。これにより、企業は独自の運用上およびデータ上のニーズに最適な環境とリソース、アーキテクチャを選択できるようになります。ハイブリッドクラウドに特化したAIポートフォリオをNeural Magicの画期的なAIイノベーションで補完することができ、オープンソースの『Red Hat』であるだけでなく、AIの『Red Hat』でもあるという私たちの取り組みをさらに推進できることをうれしく思います」

その他のリソース

• AIのオープンソースの未来に対する Red Hat のビジョンでRed Hat 社長兼 CEO のマット・ヒックスのブログ記事を読む
• 最終合意に関するよくある質問への回答を見る
• Red Hat OpenShift AIについて詳しく見る
• RHEL AIの詳細を読む