『量子科学技術研究開発機構 設立5周年誌』(完全版) [PDFファイル/14.74MB]
C O N T E N T S
- 理事長からのごあいさつ 「融合」から「飛躍」のステージへ ➡
- 数字と言葉で知るQST ➡
- QST5年間の軌跡 ➡
- QST5年間の成果 ➡
- 01 新たな研究分野の開拓
- 02 最先端技術の融合
- 03 融合と産学官連携を推進するための仕組み
- 04 QSTが担う新たな役割
- 次世代放射光施設整備・運用の促進
- 被ばく医療の体制強化と充実
- 05 QSTの強みで拓く量子科学技術のフロンティア
- 地上に太陽を
- 革新材料の開発
- 量子で拓く新技術
- 科学で守るいのちとくらし
- 健康長寿社会の実現
- 06 多様な連携・協働の推進
- QSTの5年間 私たちの5年間 ➡
- NEW FUTURE 未来戦略が描くQSTの新たな未来像 ➡
- QST基本情報 ➡
理事長からのごあいさつ 「融合」から「飛躍」のステージへ
数字と言葉で知るQST
QST5年間の軌跡
量子科学技術研究開発機構(QST)は、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の量子ビーム部門と核融合部門が再編統合され、2016年4月1日に発足しました。
理念と目標 「QST未来戦略2016」から
理念 今、人類は情報伝達手段や移動手段の飛躍的な進歩による相対的な地球の狭小化がもたらす多様性爆発の大波の中にいます。人類の未来を切り拓くためには、多様性の壁を乗り越えて異文化への理解や尊重を深める必要があり、芸術やスポーツなどとともに、人類の共通言語である学問や科学技術が果たすべき役割は、さらに大きくなります。QSTの基本理念には、量子科学技術による『調和ある多様性の創造』により、多様性の壁を乗り越え、多様な人々が平和で心豊かに暮らす人類社会の発展に貢献するという強い想いが込められています。
目標 新生QSTの強みは、統合前の法人それぞれが、関連分野で世界に誇れる研究開発を推進していたことです。まず、放射線・量子ビームと物資や生命との相互作用における物理・化学・生物過程の理解や研究開発で世界トップクラスに位置していたこと。さらに、量子ビーム関連研究施設・ネットワークや、量子ビーム・量子イメージングを用いた診断・治療研究開発のための臨床研究病院を保有していたことです。QSTはこれらの強みを生かし、新たな融合研究の開拓とともに、基礎・応用・開発研究および社会への還元を含む未来を見据えたポジティブサイクルの確立により、Sciety 5.0が掲げる超スマート社会の実現に向けて量子科学技術研究開発プラットフォームを構築することを目標に掲げました。
QST ver.2への進化と現在地
QST ver.2 発足から3年、「QST未来戦略2016」に沿って進めてきた量子生命科学が新しい研究分野として大きく発展するとともに、次世代放射光施設の整備・運用を進める国の主体や基幹高度被ばく医療支援センターへの指定、重粒子線がん治療の保険適用拡大などQSTを巡る状況が急激に変化してきました。この変化に対応するため、2019年4月に大規模な組織改革を行いました。量子医学・医療部門、量子ビーム科学部門、核融合エネルギー部門の3部門体制とし、量子生命科学領域、次世代放射光施設整備開発センター、高度被ばく医療センターの新設、QST病院への改組、事務体制の効率化を実施しました。
現在地 物理・工学系と生物・医学系を融合した「量子生命科学」は、国の「量子技術イノベーション戦略」に採り入れられ、QSTは国際的な研究開発拠点になりました。中心となる量子生命科学研究センター棟(仮称)も建設が進んでいます。量子生命科学は、QSTの研究開発の柱の一つに発展し、2021年4月には量子生命・医学部門に量子生命科学研究所を設置しました。
重粒子線がん治療の一層の普及を目指して、核融合、量子ビーム、放射線医学の技術を融合して開発を進める「量子メス」は、企業との共同研究などにより要素技術開発が大きく進展し、実証機製作に向けて検討が進んでいます。私たちQSTは、5年間で「QST未来戦略2016」に掲げた多くの戦略を実行し、融合・連携によりさらなる飛躍を目指しています。
QST5年間の成果
5年間の取り組みと実績
量子科学技術研究開発機構(QST)は、放射線医学総合研究所(放医研)と日本原子力研究開発機構(JAEA)の量子ビーム部門、核融合部門が再編統合され、2016年4月1日に新たに発足しました。同年10月、QSTが目指すべき方向性とそのための戦略を「QST未来戦略2016」としてまとめました。ここでは、「QST未来戦略2016」に沿ったQSTの5年間の成果を、成り立ちが異なる二つの法人の強みを融合した取り組みや発足後にQSTが新たに担うことになった役割、QSTの強みを生かした最先端研究開発などのテーマに分けてご紹介します。
01 新たな研究分野の開拓
量子の目と手で生命の謎に挑む量子生命科学の創出
コンセプトは「量子技術と生命科学の融合」。多様な専門分野を持つ研究者が集結するQSTにおいて、ごく自然な発想から生まれました。
02 最先端技術の融合
小型・高性能次世代重粒子線がん治療装置「量子メス」の開発
目指すはがん死ゼロ健康長寿社会の実現。部門を横断し、民間企業や他機関とも連携して、粒子線がん治療のさらなる普及に挑みます。
03 融合と産学官連携を推進するための仕組み
拠点・分野を横断した融合研究や産学官連携活動を積極的に推進
QST発足のキーワードである「融合」や「連携」を促進するため、さまざまな仕組みの構築で共創を誘発する場を形成しています。
【03 融合と産学官連携を促進する仕組み】をウェブページで読む
04 QSTが担う新たな役割
新たな役割にも積極的に取り組み社会に貢献
QSTは、次世代放射光施設の整備・運用を進める国の主体に指名されるとともに、原子力災害など万が一に備える基幹高度被ばく医療支援センターに指定されました。
1. 次世代放射光施設整備・運用の推進
2. 被ばく医療の体制強化と充実
〈1. 次世代放射光施設整備・運用の推進〉をウェブページで読む
05 QSTの強みで拓く量子科学技術のフロンティア
世界をリードするQSTの最先端研究開発の推進
QSTの強みは、放射線・量子ビームと物質や生命との相互作用における物理・化学・生物過程に関する理解や研究開発において世界のトップクラスに位置していることです。この強みを生かして最先端の研究開発を進めています。
1. 地上に太陽を
2. 革新材料の開発
3. 量子で拓く新技術
4. 科学で守るいのちとくらし
5. 健康長寿社会の実現
【05 QSTの強みで拓く量子科学技術のフロンディア】をPDFで読む
06 多様な連携・協働の推進
世界中の多様な人々との連携・協働を積極的に推進
連携・協働の活動を介して、異文化理解、尊重を育み、QSTの理念である「平和で心豊かな人類社会の発展」に貢献していきます。
QSTの5年間 私たちの5年間
QSTは多彩な職員が集う人間集団です。
全国各地の拠点の多様な職場で、いろいろな職種の職員が働いています。千人を超える職員の一人ひとりが積み重ねた歩みが、QST発足から5年間の躍進の原動力となりました。
さまざまな立場の職員が、QSTと自分の5年間を振り返ります。
NEW FUTURE 未来戦略が描くQSTの新たな未来像
私たちQSTが実現を目指している、「調和ある多様性の創造」による平和で心豊かな人類社会の未来は、どのような世界になっているでしょうか。
QSTの研究開発の成果が実用化された未来像を描いたのが、このイラスト「量子科学技術でつくる私たちの未来」です。
私たちの取り組みが皆さんの暮らしにどのように役立つのか、詳しくはQST公式サイトをご覧ください。
これからの10年、QSTは研究開発を一層進め、社会の発展にさらに貢献していきます。次ページから、私たちQSTが目指す10年後の姿をご紹介します。
QSTは国立研究開発法人として、「調和ある多様性の創造」により、平和で心豊かな人類社会の発展に貢献する、という基本理念を研究開発の成果で実現していきます。そのために、量子科学技術に関する研究開発の日本の、ひいては世界の拠点として、目覚ましい発展を遂げていく必要があります。
2050年の日本、そして、世界を展望しながら、人類社会の発展に貢献できるように、これからの10年間、QSTは挑み続けます。
「NEW FUTURE 未来戦略が描くQSTの新たな未来像」をPDFで読む
イラスト「量子科学技術でつくる私たちの未来」をQST公式サイトでみる
QST基本情報
『量子科学技術研究開発機構 設立5周年誌』(完全版) [PDFファイル/14.74MB]