WebAssembly製のインブラウザPostgreSQL「database.build」がバージョンアップ。AWSへのデプロイや任意の大規模言語モデルとの連係が可能に

2024年12月11日

PostgreSQLをベースにしたBaaS(Backend as a Service)の「Supabase」を開発し提供しているSupabase社は、Webブラウザ上で実行可能なWebAssembly版PostgreSQLの新バージョンとなる「database.build 2.0」を発表しました

database.buildは2024年8月に登場したサービスです(当時の名称はPostgres.new)。「database.build」にWebブラウザでアクセスすると、WebAssembly版のPostgreSQLがWebブラウザ上で起動し、簡単にPostgreSQLを試すことができるようになっています。

参考:Wasm版PostgreSQLに生成AIを組み合わせた「Postgres.new」無料公開。自然言語でクエリ、エンベディングの作成、CSVからテーブル自動生成など

生成AIの機能も統合されており、自然言語での質問を適切なSQL文に変換して実行し、結果をグラフ化することや、CSVファイルをドラッグ&ドロップすると生成AIがCSVの最初の方のデータを読み取った上で、列名やデータ型などを自動的に生成してCSVをインポートするSQL文を作成、実行してデータベース上にテーブルを自動生成してくれるなど、さまざまな機能を提供してくれます。

また、PostgreSQL上でベクトルデータの扱いを可能にする拡張機能である「pgvector」を用いたクエリを試すこともできます。

10月には新機能として、別のマシンのPostgreSQLクライアントから接続できる機能「dabase.build:Live Share」も追加されました。

参考:Webブラウザ上のWASM版PostgreSQLをサーバとし、PostgreSQLクライアントから接続可能になる「dabase.build:Live Share」、Supabaseが発表

dabase.build 2.0の主な新機能

今回、新バージョン「dabase.build 2.0」ではいくつかの新機能が追加されています。主なものを紹介しましょう。

任意の生成AIとの組み合わせが可能に

database.buildにはOpenAI社の生成AIが組み込まれていましたが、API経由で任意の生成AIと組み合わせることが可能になりました(「Bring your own LLM」と名付けられています)。組み合わせは、OpenAI互換APIを利用します。

これまでは生成AIの利用には回数の上限が決められていましたが、自分で契約している生成AIやローカルマシン上で実行している生成AIと組み合わせれば、開発者の好みの生成AIとの組み合わせが可能で、上限を気にすることなく生成AIを利用できるようになります。

クラウドデータベースへのデプロイ

Webブラウザ上で構築したデータベースをクラウド上のデータベースとしてデプロイできるようになりました。まずは同社がマネージドサービスとして提供しているSupabaseに対応しますが、AWS上へのデプロイも近いうちに実現される予定です。

WebAssembly版のpg_dumpも用意されるため、データベースをSQLとしてダンプすることも可能になっています。

そのほかCSVだけでなくSQLファイルもドラッグ&ドロップが可能になり、ユーザーインターフェイスはモバイルデバイスにも対応するようになりました。

このdatabase.buildのサービスを構成するフレームワークである「database-build」、WebAssembly版PostgreSQLの「PGlite」、プロキシとなる「pg-gateway」はいずれもオープンソースとして公開されています。

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