「OpenStackのようなインフラソフトウェアは死んだ」、MirantisとRackspaceのマーケティング担当がブログで激論

2016年6月28日

「気がつくのに時間が掛かったかかったけれど、いまは確信している。インフラソフトウェアは死んだ」。OpenStackの専業SIerとして知られるMirantisの共同創業者でチーフマーケティングオフィサーのBoris Renski氏は、6月15日付のブログ「Infrastructure Software is Dead」をこのような書き出しで始めました。

このMirantisのブログは、Rackspaceからの反応を引き起こしています。OpenStack関係者のなかで存在感の大きな2社がいま、OpenStackのビジネスについてどう考えているのかが浮き彫りになっているので、2社のやりとりを簡単に紹介しましょう。

Mirantis:インフラソフトウェアは死んだ!

Infrastructure Software is Dead

Boris氏はどのベンダのOpenStackディストリビューションであれ、バグだらけだと主張。しかし顧客はソフトウェアにバグがあろうとなかろうと気にせず、そこから何が得られるかが重要なのだとして、ソフトウェアに価値があるのではなく、デリバリにこそ価値があるのだと主張します。

because today customers don’t care about software. Customers care about outcomes. And the reason Mirantis has been successful is because, despite ourselves, outcomes are what we’ve been able to deliver to our customers by complementing crappy OpenStack software with hordes of talented infrastructure hackers that made up for the gaps.

顧客はソフトウェアのことなど気にしない。顧客が気にするのは、何がそこから得られるのかだ。そしてMirantisが成功してきた理由は、顧客にその得られるものを提供してきたからだ。バグの多いOpenStackのソフトウェアを有能なインフラのハッカーたちによって補完してきたのだ。

例えば、CRMソフトウェアではなくSaaSというデリバリモデルで革新を起こしたSalesforce.comには、素晴らしいソフトウェアを開発するだけでは決して勝てないとRenski氏。

Renski氏は、ソフトウェア製品など過去のものだとブログを結びます。

I reply. Cloud is about redefining the notion of “product.” Software is the product of yesterday. The product of today is a combination of software and, more importantly, a service to operate that software,

繰り返す。クラウドは「プロダクト」を再定義したのだ。ソフトウェアはもう過去のプロダクトだ。今日のプロダクトとは、ソフトウェアと、より重要なそのサービスの運用サービスを組み合わせたものなのだ。

Rackspace:製品としてのOpenStackは死んだ!

OpenStack is Dead! Long Live Openstack!

MirantisのBoris氏のこの主張に反応したのが、OpenStackベースのクラウドサービスも提供しているRackspaceのテクニカルマーケティングマネージャでOpenStackエバンジェリストのKenneth Hui氏です。

6月16日付のブログ「OpenStack Is Dead! Long Live OpenStack!」では、Boris氏の主張に同意した書き出しです。

we are gratified to see Mirantis begin to embrace our point of view. From the beginning, Rackspace knew that building a successful cloud would involve not only the right software but also the right operational and services model.

Mirantisが私たちと同じ考えに至ったことはとても満足だ。Rackspaceははじめから、クラウドで成功するには適切なソフトウェアだけでなく、適切な運用とサービスモデルが関わることを知っていた。

Hui氏は、OpenStackがバグの多い悪質なソフトウェアだという指摘には反論しつつも、多くのユーザーにとって非常に複雑なソフトウェアだと言うことは認めています。

The complexity may be reduced as OpenStack matures, but the reality is there will is and won’t be an easy way to operate your own cloud.

複雑さはOpenStackが成熟するにつれ軽減されるだろう。けれど現実にはそうでありつづけるだろうし、誰もが自分のクラウドを運用できるようになるほど簡単にはならないだろう。

そして、だからこそデリバリモデルが重要になるのだと、Boris氏の指摘には同意しています。

At Rackspace, we welcome customers to embrace the OpenStack delivery model we first pioneered. As Boris and others may grudgingly agree,” OpenStack as a product is dead! Long live OpenStack as a Service!”

Rackspaceにおいて、私たちが最初に開拓したOpenStackデリバリモデルを利用されるお客様を歓迎する。Borisやほかの方々も「プロダクトとしてのOpenStackは死んだ。サービスとしてのOpenStackよ永遠に!」ということに渋々ながら同意してくれるだろう。

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Junichi Niino(jniino)
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