ブログでメシが食えるか? Publickeyの2014年

2014年12月25日

Publickeyでは毎年、その年の売り上げなどを発表しています。その理由は、アフィリエイト以外の手段でもブログで十分な売り上げを作ることができるのかどうか、その実態を知ってもらうためです。

IT分野でも特にエンタープライズ向けの記事は比較的専門性が高いため、ブログの読者数がそれほど多く見込めませんから、AdSenseやAmazonアソシエイトなどのアフィリエイト系の売り上げはたかがしれています。これはIT分野に関わらず、ある程度の専門性を持つ(それゆえに読者層が絞られる)コンテンツに共通する状況です。

しかし多様な専門メディアがネットにあることは世の中にとっていいことだと僕は信じていますし、@ITやアイティメディアでオンラインメディアの経営を見てきた経験に照らせば、専門性が高い小規模なメディアを低コストで運用しつつある程度の単価の広告を維持できれば、ビジネスとしては成立するのではないかと思っていました。

なにより、企業内で昇格して給料が高くなった優秀な人材は積極的に独立して後進にチャンスを与えるとともに、人材の流動性とメディアの多様性を支えるべきとも思っていましたから、独立後の選択肢として自分でメディアを運営することが可能なのかどうかも示したかったのです。

そんなわけで2009年にこのブログメディアPublickeyを立ち上げて、売り上げやノウハウを公表しつつ、優秀な人が独立してもっとネット上に専門性の高いメディアがあちこちで立ち上がらないかなあと、思い続けてきました。

が、振り返ってみてもまだ誰も付いてきてくれていないっぽいのが残念なわけですが(いや、そういえば「Build Insider」があった!)。そんなことにもめげず、今年もPublickeyの売り上げ報告をしていきましょう。

2014年のPublickeyの売り上げ

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まずはページビューの振り返りから。今年もページビューは微増といったところでした。だいたい月間で40万ページビュー前後という傾向は昨年とあまり変わっていません。毎年ここは反省しているところです。

続いて売り上げ。Publickeyの売り上げの特徴は、AdSenseやアフィリエイト収入の依存度が低く、主な売り上げを直販のバナー広告やタイアップ広告から得ている点です。バナー広告は定価で月間30万円から、タイアップ広告は定価で1本25万円から。詳しい広告の内容や値段は媒体資料をご覧ください。

2014年1月から12月までの1年間、Publickeyの売上げは合計で924万3493円でした。内訳は、バナー広告などが400万5988円、タイアップが441万6300円、AdSenseやAmazonアソシエイトなどが48万1205円、記事ライセンスなどが34万円でした(ちなみに、この数字は自分の請求ベースの集計が基になっているので、確定申告の数字とはやや異なります)。

この場を借りて、年間を通じて広告をご出稿いただいたグレープシティ様、アドバンスソフトウェア様をはじめ、EMC様、日本IBM様、アトラシアン様、エクセルソフト様、アシスト様、グローバルナレッジネットワーク様、ミラクル・リナックス様、エンバカデロ・テクノロジーズ様、ブロケードコミュニケーションズシステムズ様、グロースエクスパートナーズ様、リンク様、クラウドライブ様、サーバーワークス様、チェプロ様、さくらインターネット様、MKTインターナショナル様、NetIQ様、ユニアデックス様、NTTスマートコネクト様ほか(順不同)、ご出稿いただいたみなさま、扱っていただいた代理店さまに厚くお礼申し上げます。

そして何より、Publickeyを今年も支えていただいた読者の皆様にお礼申し上げます。

Publickeyのお客様、2014年の傾向

今年のPublickeyを運営している中で何度も感じたのは「新野の経歴をご存じないお客様が昨年以上に増えた」点です。これは僕にとってうれしい出来事でした。一昨年くらいからすでにそういう状態ではありましたが、特に今年は問い合わせが増えて、多数のお客様がPublickeyをご自身で読んで評価されたり、あるいは社内外からの紹介などでPublickeyをご検討いただいているようでした。

「それなりの経歴があるからお客さんがついた」のではなくて、きちんとしたコンテンツを積み上げた結果、そのメディアを評価して広告媒体として検討していただく。ごく当たり前のことですが、それがPublickeyでも明確になっているのだと思います。

フリーランスとしての売り上げ

Publickeyの広告売り上げなどとは別に、講演やモデレータなどによるフリーランスとしての売り上げもあります。2014年のフリーランスの売り上げはPublickeyの売り上げをやや下回る、というところでした。内訳の半分弱はモデレータ、もう半分弱が講演。残りは執筆が数件と、イベントの審査員や外部メディアのタイアップ記事への協力などです。こうした仕事も、元@ITの新野としてではなく、Publickeyの新野としての依頼ばかりになりました。Publickeyでの情報発信がフリーランスの仕事のほとんどすべてに結びついていると感じています。

ブログでメシは食えるか?

今年はPublickeyの売り上げが900万円を超えて過去最高となりました。フリーランスとしての売り上げを合わせると、個人事業主としてもこれまででいちばん売り上げを上げた年になったようです。おかげさまで「今年もブログでメシが食えた」と言えるでしょう。

とはいえ、おそらくこのあたりがPublickeyとしても個人事業主としても現在のビジネスモデルでの売り上げ限界だろうなとも思います。労働時間としては今年も目一杯働いていますので、現状での最大の課題は、売り上げを上げるよりも時間をもっと効率的に使うにはどうすればいいのか、といったところにあります。

冒頭に書いたように、Publickeyに込めた思いはPublickeyだけが成功するのではなくて、ほかにも専門的なメディアがいくつか立ち上がっていけばいいなあというところなので、今年後半にはフリーランスライターを支援するための「(仮)日本デジタルライターズ協会」の立ち上げを準備して、(まずはIT系の)フリーランスのライターが健保組合に入れる団体を作れたらいいなあ、などといった業界に貢献できるような活動も始めました。

これが軌道に乗るかどうかは現時点ではまだ分かりませんが、2015年は少しフリーランスの時間を割いてベテランらしく業界に貢献できる動きも少し増やせれば、と考えているところです。

さて、明日が2014年最後の記事。2014年総合ランキングをお届けします。

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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