クラウドのストレージが相次ぐ値下げ合戦へ。Amazon、グーグルに続いてWindows Azureも値下げを発表
クラウドの主要ベンダが、ストレージサービスの値下げ合戦を繰り広げています。グーグル、Amazonクラウド、そしてマイクロソフトは、わずか8日間のあいだに相次いでストレージサービスの値下げを発表しました。
この値下げによって、3社とも最初の1テラバイト内の1ギガバイト当たりの利用料金が月間で0.085ドルから0.095ドル、400テラバイトから500テラバイトでは、1ギガバイト当たりの利用料金が月間で0.063ドルから0.070ドルとなりました。
クラウドのストレージサービスは、顧客がデータを蓄積するほどほかのクラウドへ移動しにくくなるため、クラウドベンダーにとって顧客をつなぎ止めるための重要な位置づけとなるサービスです。そこでの価格は顧客の選択にとって重要な要素であり、各社とも競合に大きな差を付けられるわけにはいきません。
グーグル→Amazon→グーグル→マイクロソフト
最初に値下げを発表したのはグーグル。11月26日にGoogle Cloud Storageの最初の1ギガバイトを月間0.095ドルへと引き下げるなど、従来価格より20%程度低い価格へ。
その2日後、11月28日にAmazonクラウドは、自社イベントであるre:InventでAmazon S3の値下げを発表します。25%前後の値下げによって、Amazon S3の最初の1ギガバイトが月間0.095ドルへ。Google Cloud Storageとの価格差をきっちり埋めてきます。
グーグルは即座に対抗値下げを発表します。翌日11月29日にGoogle Cloud Storageを再値下げ。最初の1ギガバイトは0.085ドルへ。再値下げ発表にあたり、最安値を提供するのだというコミットメントとともに強い意志を示した格好です。
We are committed to delivering the best value in the marketplace to businesses and developers looking to operate in the cloud.
私たちは、クラウドでの運用を検討しているビジネス関連、開発関連のみなさまに、市場で最もベストな価値を提供することを約束します。
ここで値下げ競争に参戦してきたのがマイクロソフト。12月5日にWindows Azure Storageの値下げを発表し、最初の1ギガバイトが月間0.095ドルとAmazon S3の価格に合わせてきました。しかし同社は、低価格は価値の一面でしかない、と顧客に釘を刺しています。
Reducing prices is only part of the story; we’ve also added more value to our storage offerings in a number of ways. Our Geo Redundant Storage continues to lead the market in durability with more than 400 miles of separation between replicas.
価格低下は一面でしかありません。わたしたちはストレージのさまざまな価値を提供します。400マイル以上離れたレプリケーションという地理的分散による冗長性は、ストレージデータの高い耐久性を実現しています。
規模の経済についていけるのか
これらの相次ぐ値下げで頭を悩ませているのは、大手クラウドベンダーの規模にものを言わせた値下げ競争に追いつけないほかのクラウドベンダーでしょう。振り落とされないよう歯を食いしばって大手の価格競争に付いていくか、それともほかに独自の付加価値を考えていくか。この価格競争の行方を見つめつつ思案しているはずです。
(追記:記事掲載時、複数箇所で「最初の1テラバイト」と記述していましたが「最初の1ギガバイト」の誤りでした。申し訳ありませんでした)
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