時事テーマから斬る自治体経営 「住民参加」の注意点
自治体の公共事業において、計画の立案・決定・実施の過程に地域住民が参画し、住民の意思が反映されることを「住民参加」という。各自治体は住民参加を重視しているものの、住民から寄せられるパブリックコメントの数は低迷傾向にある。自治体職員は、住民参加にどのように向き合っていけばよいのだろうか。
地方自治の現場に行くと、「住民参加」(市民参加)の重要性が指摘される。確かに、行政運営における住民参加の意義は理解できるものの、筆者は諸手を挙げて「住民参加はよい」とは言えない。
住民参加を否定すると、非国民のような扱いを受けることがある。しかし、今回は問題提起を込めて言及したい。なお、筆者は住民参加に関する審議会をいくつか経験してきた。その委員会としての見解ではなく、筆者個人の考えということを付言しておく。
住民参加の重要性
首長や自治体職員は、よく「住民参加は大事だ」と言う。確かに、その通りだと思う。地方自治体の成立要件としては、①区域(地理的要素)、②住民(人的要素)、③支配権(土地と人を結合する要素)が必要である。すなわち、住民がいてこその自治体である。その意味で、住民参加は必須と言えるかもしれない。
日本国憲法第92条で規定されている「地方自治の本旨」の観点から主張されるケースもある。住民自治の本旨は、住民自治と団体自治の要素から成立している。前者の住民自治は「自治体のことは住民の意思に基づいて決定し、住民の参加によって執行すること」を意味する。ここから住民参加の重要性が説明される。後者の団体自治は「自治体は、方針の決定や執行全体について、国(中央権力)に対して自主的であること」と定義される。
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