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2024.11.28
更新日:2023.03.14
公開日:2017.06.16
Webサイトのリニューアルや新しいメディアの立ち上げの際、どのようなことに重きを置いてWeb制作をするでしょうか?
「素敵なデザイン」「優れたUI/UX」「豊富なコンテンツ」「SEOに優れているサイト」などなど、実現したいサイトの形は様々ですが、一番重要且つ見落とされがちなのはコンセプト部分ではないでしょうか。
本記事では、お客様と我々との徹底したコンセプトワークがあったからこそ、素敵なデザイン、優れたUI/UX、良質で豊富なコンテンツを達成できた「日本エスリード株式会社」様とのお取り組みをご紹介していきます。
本記事を通して、Webサイトのリニューアルや新規メディアの立ち上げをご検討中の皆様に、今一度コンセプトの重要性に立ち返っていただくことができれば幸いです。
1992年の設立以来、大阪・神戸・兵庫・京都・奈良・滋賀など、近畿圏(関西圏)全域における分譲マンションの販売・ビル開発、アフターサービス・管理・仲介まで一貫した事業を展開。
日本エスリード様は、近畿圏(関西圏)に390棟の自社物件である”エスリード”シリーズを展開しています。
そんな日本エスリード様のWebサイトは、「企業情報」「事業情報」「物件情報」「IR情報」「採用情報」など、1つのWebサイト内で表現したい情報が様々あります。
まずはリニューアルに至った背景についてお伺いしました。
ーーまずはWebサイトのリニューアルへ至った背景をお伺いできますか。
天谷様「近年、スマートフォン・タブレット保有が急速に増加していて、当社のホームページにも約70%がそれらデバイスから流入してきていました。それらデバイスに対応が出来ておらず直帰・離脱の要因になってたことが1つ目の理由です。」
天谷様「2つ目に企業イメージのリブランディングというミッションがありました。設立25周年の節目ということもあり、お客様や投資家様からの信頼感を、より一層生み出せるようなデザインにリニューアルしたかったんです。」
天谷様「それに加え、弊社では早くからマーケティングオートメーションツール「marketo」を活用したリード育成を行っていました。リード育成の効果を最大化するためにも、既存の物件情報などのコンテンツに加え、潜在層に向けたスピーディ且つ良質なコンテンツ発信体制を強化したかったことも大きな理由の1つです。」
大きく分けると上記3つのポイントをリニューアルの目的としていた日本エスリード様。ベンダーの選定には特に気を使われたと言います。
このように、多くの目的を持ったWebサイトリニューアル。ベンダー選定に失敗することは、そのプロジェクトの失敗を意味します。日本エスリード様は、どのような手法でベンダー選定を行ったのでしょうか。
ーーコンペ開催に向けたベンダー選定において、意識されたことなどはありますか?
天谷様「様々な業者様の情報を集め最終的には、デザイン業界において一流とされるデザインエージェンシー様、不動産業界に特化した制作会社様、幅広い制作実績をお持ちの制作会社様、そして包括的なWebソリューションをお持ちの御社、この4社様にお声がけをさせていただきました。それぞれ得意領域が違い、様々な角度から魅力的な提案がもらえると思ったからです。」
植田「基本的にコンペ相手は見慣れたベンダーさんとバッティングすることが多いですが、今回は4社4様の顔ぶれでしたね。頂いた提案依頼書も非常にわかりやすく作り込まれていて、エスリード様の本気度合いが伺えました。」
実際の提案依頼書(目次)
植田「Webリニューアルにかける想いや目的も伝わりました。その分、競合のベンダーにもまんべんなくこの情報が行き渡っているので、提案の内容で差を付けなければ勝てないな、と感じました。」
それぞれの得意領域を持った4社4様のベンダー選定と、目を通せばすべてが伝わる提案依頼書(RFP)の用意。Webリニューアルというプロジェクトにおいて非常に大事な要素であるクライアント様側での事前準備の精度も、成功の大きな一因でした。
TIPS:
コンペ時は、業者からより良い提案を引き出すためにも、自社内で提案依頼書(RFP)を作り込むことが重要です。自社のリニューアルにかける想いや達成したい目的を明記し共有することで、有益なコンペになるでしょう。
PLAN-B側では、いただいたRFPの内容を踏まえどのような提案をしたのか。それぞれの担当者に聞いてみました。
ーーRFPの内容を受けて、まずはどんなところから着手したんですか?
植田「まずはリブランディングという与件を考えながら競合を設定しました。エスリードさんが25周年を迎えられたタイミングということもあり、次の25年はどこをベンチマークしていくべきなのかで大きく方向性が変わると思ったからです。」
植田「今まで戦ってきた関西圏の競合や近しいベンチマーク企業ではなく、財閥系の不動産など、業界の大手をベンチマークして戦って欲しいな、というところでディレクターと一緒に各種分析とコンセプトワークをしました。」
菅原「植田さんの設定してくれた競合の分析を深掘りしていき、且つ自社サイトのボトルネックを洗い出しました。その結果、もともとのサイトってすごい情報量が多いんですけど、ユーザー目線で見た時に、自身の検討フェーズにあわせた”欲しい情報が欲しいタイミングで見つからないサイト”だな、と感じたんです。」
菅原「不動産ってかなり高いお買い物で検討フェーズも長いですよね。何回も何回もいろんなサイトで情報収集をすると思うんです。なのでその複数回に渡るタッチポイントの中で、”このサイトにきたら自分の欲しい情報にたどり着ける”。そういう安心感から繋がる信頼感みたいなところをコンセプトにできればなと思いました。」
ーーデザイン部分はどうでしょう?力を入れた部分とかはありますか?
神杉「菅原からもあったとおり、不動産はめちゃくちゃ情報量が多いじゃないですか。情報が整理されてるのは大前提として、情報整理プラス先進性と25周年の揺るぎない信頼感みたいなところをうまく表現して作れたらなと思ってましたね。」
神杉「これまでの25年で積み上げたエスリード様っぽさはしっかりと踏襲しつつ、それをもったまま次の25年、50年に向けて昇華していくイメージでデザインを試行錯誤しました。」
天谷様「4社様ともいいデザインではあったんですけど、他社様はまだまだ既存のエスリードっぽさをそのまんま踏襲している印象でしたね。弊社内にある各部署の人間にも意見を求めたところ、PLAN-Bさんのデザインが圧倒的に支持が多かったですね。また、公開後すぐに複数のWebデザインアーカイブサイトに取り上げられるなど、対外的な評価もいただけているように思います。」
ーーコンテンツの運用についてはどのような提案だったんですか?
田中「提案依頼書にもある通り、潜在層向けの良質なコンテンツ提供を検討しました。顕在層についてはコーポレートサイトのデザインリニューアルで獲得効率を上げることでコンバージョンは増加します。それよりも課題は潜在層とのタッチポイント創出だと伺っていました。」
田中「色々と市場調査を入れていくと、ファミリータイプの分譲マンション購入のきっかけって、結婚や出産、子供が小学生に上がる時、みたいなライフイベントのタイミングで検討される消費者が多いことがわかってきたんです。そこで今回は思い切って、ここのボリュームゾーンを取りに行くためのメディアサイトを提案させていただきました。」
大元「実際のコンテンツの内容についてですが、住宅ローンの話とかマンション相続税の話とか、購入まで近そうな検討フェーズのユーザーに対しての情報はもちろん取り揃えていきます。でもタッチポイントを増やすのであれば、それよりももっと前の検討フェーズに向けても役に立つ情報を発信していきたいと思いました。」
大元「子供がのびのび遊べる公園の情報だったり、託児所が近隣にあるとかないとかだったり、子育てするお母さんの悩みを解決できるようなコンテンツを通して接点を持てるようなコンセプトを打ち出しさせていただきました。」
田端様「やはり他社様は、より顕在層に近いターゲットユーザーに向けた情報発信サイトを提案してくれたんです。でもPLAN-Bさんはすごい振り切った提案をくれました。ここまで振り切ったらどういう評価を受けるんやろという気持ちもあったんですよ。ただ”どれやりたい?”って聞かれたら、絶対これだなというのもありました。」
田端様「すごい熱を入れて提案してくれたので、せっかくオウンドメディアをやっていこうって我々が言い出したんだから、ここまで振り切ってやってみよう!って考えになりましたね。PLAN-Bさんの提案が一番やる気にさせるというか、ベクトルがかなりあがった提案でした。」
大元「我々の提案は”あるべき論”みたいなものを重要視して出させていただきました。エンドユーザーの課題をしっかり調査して”こうあるべきです!”とか”こうしたい!”とか。そうでなければせっかくの25周年のリブランディングにインパクトを残せないと思ったんです。」
2017年6月現在では、施策開始2ヶ月弱というところですが、何か目に見える成果はあがっているでしょうか。
ーーリニューアルから今まで、何か過去サイトとの違いはありましたか?
天谷様「ありますね。1つは管理側のCMSの使い勝手が格段に上がっています。コーポレートのほうは物件情報やIR情報など定期的に更新しなければならない箇所が多いですが、以前の管理画面との仕様を大幅に変更せずに、且つ、使いやすくしてくれています。」
池上「今回はWordPressで作らせていただいたんですが、元々のCMSからは結構大掛かりなリプレイスだったんです。でもお客様からしたら既存の仕様からあんまり変わるって好ましくないだろうなっていうのもあって、おんなじ感覚で使えて、なおかつWordPressの仕様に沿った使いやすさにできるように気をつけました。」
池上「また、今回はコーポレートサイトとメディアサイト、ふたつを横断したMAの戦略についても天谷様より共有を頂いていました。なのでWebサイト側のURL列などについても、しっかりとMAを理解したうえでの設計が求められました。」
天谷様「管理画面側については操作マニュアルなんかも用意してくれて、すごいホスピタリティを感じましたね。」
ーーWebサイト経由の実際のユーザーさん側はどうですか?
天谷様「まだまだ始まったばかりというところで、コンバージョンなどは完全に昨対同月比などの指標では図りきれないですが、直帰率は前年に比べて圧倒的に下がっていますし、平均滞在時間も倍程度まで改善されています。ご提案時にいただいた狙い通り、という印象です。」
実際の提案書_一部(導線設計)
天谷様「また、メディアサイトを開始したことで新規ユーザーの流入経路も取れています。様々なロングテールワードでのオーガニック流入がありますね。新規ユーザーが増えて、且つ直帰や滞在時間が改善されているというのは非常に良い兆候だと思います。」
コーポレートサイトのリニューアルや新しいメディアサイトの制作は、ともすれば新しく家を建てるのと同程度の労力がかかります。一度作ってしまったらなかなかやり直せないものだからこそ、事前の目的意識のすり合わせやコンセプトワークを通した握り合いが重要です。
有久様「私も途中からこのプロジェクトに参加しましたが、仕事のクイックさが半端ないな、というのが感想です。制作を進行するにあたってトラブルはつきものだと思うのですが、こちらからの問いは基本即時返ってきて、即解決してというのが。」
有久様「弊社の天谷をはじめとする社内プロジェクトメンバーとPLAN-Bさんとで、同じ方向を向いて同じ熱意でやれたからこそ、エスリードの公式HPがリニューアルできたんだなということを強く感じさせていただいてます。」
成功のポイント(お客様側)
成功のポイント(ベンダー側)
テクノロジーが進化し、様々なベンダーがそれぞれ独自の技術を持つようになってきている時代、このようなWeb改善などにおいて一番大事なのは、自社内にデジタルマーケティングの知見が深いWeb担当者の存在があることかもしれません。
本サイトでは引き続き、企業内マーケッターの皆様に役に立つ様々な情報を発信してまいります。
また、外注でのWebサイト構築に失敗してしまい、ベンダー選定に懸念を持たれている企業様は、本記事でご紹介したエスリード様の事例を参考にして再度挑戦してみてはいかがでしょうか。
今回、制作に携わらせていただいたWebサイト:
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