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リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960)

 

 

 

 

 

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』のデータ

題名 リトル・ショップ・オブ・ホラーズ (The Little Shop of Horrors)
監督・制作 ロジャー・コーマン
出演 ジョナサン・ヘイズ、ジャッキー・ジョーゼフ、メル・ウェルズ、ジャック・ニコルソン
上映時間 72分
制作年 1960年
制作国 アメリカ

 

 

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の登場人物

シーモア 花屋の店員。だいぶおつむが弱い。
オードリー 花屋の店員。ちょっとおつむが弱い。
マシュニクさん 花屋の店長。シーモアがめちゃくちゃ世話になっている。
歯医者 サド
患者 マゾ
オードリー・ジュニア 吸血食人植物

 

 

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』のあらすじ

主人公のシーモアは、花を切りそろえることも出来ない無能な花屋の店員。お金大好き店主に毎日イヤミを言われるが、花を愛する心は誰にも負けない。

ある日花屋をクビになりそうになったシーモアは、好きな女の子の名前をつけて自宅で育てていた変種の植物オードリー・ジュニアを、客寄せとして店に置くことにする。

その晩、偶然シーモアの血がジュニアにかかるとジュニアは大喜び。だからシーモアは指をピンで刺してジュニアに飲ませてあげる。するとジュニアはたった一晩で大きく成長。その上「腹へった腹へった」とうるさく要求し始める。

困惑したシーモアが悩みながら散歩していると、驚くほどあっけなく死体を手に入れることに成功。ところが、持って帰った死体をジュニアにあげてもシーモアの食欲は収まらず、何度も何度も死体を調達する羽目になってしまう。

 

 

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の感想

まずオープニングが素晴らしい。イラストレーションがおしゃれだし、ナレーションが「スキッド・ロー わが街」って言うところも格好いい(もちろん英語で)。冒頭から期待感が高まる。

 

内容はユーモアたっぷりのブラックジョーク・ホラーという感じ。植物が人間を食うということで結構エグイ設定だけど、すべてが作り物の模型だから、それほどグロい描写にはならない。死体もたまたま手に入っちゃうって感じだし、その死体をジュニアの口に「ぽいぽい」って放り込むだけなので、スプラッターにもならない。

「ぽいぽい」って放り込む死体も、腕だけだったり下肢だけだったりするけれど、それも全部「明らかに作り物」って感じなのが好感。後半に死んじゃう娼婦を運ぶ時も、娼婦があからさまにマネキンだった。

こういう低予算ならではのテキトーさが魅力になってる。なんでもリアルにすればいいというものではないという良い例。

 

それから演出がコント的なところも好み。

例えばシーモアが、食人植物のオードリー・ジュニアが枯れてることに心を痛めている時、うっかり他の植物のトゲが指に刺さって血が出て、その指を極めてわざとらしくジュニアの真上で指をブンブンって振って血をオードリーにかけるところとか、

オードリーと相思相愛になったシーモアがオードリーを自宅に招いた時の、上着を脱がしてあげてソファーに ”ブンッ!” って投げ、自分の帽子も ”ブンッ!” って投げる感じとかもテンポが良くて、しかも可愛い。

コント的だけど決して「笑わせよう」とはせず、真剣なところが笑いを誘う。

 

シーモアをやったジョナサン・ヘイズは加藤茶似。すごく小さいジャン・ポール・ベルモンドに見えたアングルもあった。よーく見ると、真顔なんかはそこそこ男前で、私はかわいいと思う。

シーモアはかなり頭が足りないけど、凄く純粋で善良。母ちゃんがいわゆる「毒親」で、病気好きの健康マニアなのにシーモアはやたら献身的。まるっきり元気なくせに病気ぶって、薬と称してアルコール度数98%の酒を飲み、作る料理の調味料が「薬」なので、それで育ったシーモアは味覚も壊れている。そんな母親なのにシーモアはすごく尽くしてる。毒親と気づいていないからだけど。

 

そんなだいぶ足りないシーモアと、やっぱりちょっと抜けてるオードリーの「おバカカップルぶり」は微笑ましくてほっこり。私はこの二人好き。

 

このジョナサン・ヘイズの過去の出演作品リストを見ていたら、なんとあの『エデンの東』にノー・クレジットでだけど出ているとあってびっくり。今度探してみようかなあ。

でもその他の作品に関しては、題名を見た限りではいかにもB級なタイトルがズラズラと。個人的には興味を惹かれるラインナップ。そのうちまたお会いしたい。

 

そして超マゾヒストの患者役は若かりし頃のジャック・ニコルソン。この頃24歳くらい。俳優デビュー後かなり初期の出演作。

すでに「ニカッ!」と笑っていた。

 

メイン・キャストだけでなく、出てくる脇役たちがふるっていて、

親戚の誰かが毎日死んでいる婆さんとか、
花に塩を振って食べる男とか、
超サディストの歯医者、
まるで『鎌田行進曲』の銀ちゃんみたいにどこまでもついてくる娼婦など、

個性的な脇役も超楽しい。

 

唯一、オードリー・ジュニアがうるさくて横暴で不快だけど、それ以外はセンスが良くて勢いがある傑作。

監督のロジャー・コーマンはこの作品を、たった2日間で撮影したらしい。

 

 

 

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