GitHub Copilotとは
GitHub Copilotは、生成AIによる製造・テスト工程の開発支援ツールです。開発者がコーディングをする際に、有識者があたかも隣に座ってサポートするかのように、実装したいコードを提案します。
GitHub Copilotは、膨大なコードデータセットやドキュメントを学習しているため、PythonやJavaScriptのような広く利用されているプログラミング言語から、COBOLのような特定用途の言語、Ansibleによる構成管理、Markdownを用いたドキュメント作成などにも対応しています。
ほかにも、「未知のライブラリのサンプルコードを知りたい」「コンソールエラーを解消したい」「設計書のないシステムのコードを改善したい」といった開発者の悩みも、チャットインターフェースのGitHub Copilot Chatに入力すれば、ソースコードを基に回答します。
図1:GitHub Copilotの概要
GitHub Copilotはリリース後から利用者数を伸ばし続け、全世界で180万人以上の有償ユーザが利用しています。
2024年7月、GitHub Copilotを提供するGitHub社はガートナー社から「実行可能性」「戦略」「市場への対応力」を評価され、AIコードアシスタントのマジック・クアドラント(企業を市場での実力と将来性で評価するレポート)のリーダーに選出されました。GitHub社の強みとしては、開発者コミュニティとの連携の強さ、生成AI開発支援ツールやクラウド上での開発環境の提供などが挙げられます。
日本国内でも導入が進んでおり、当社でも活用を推進しています。当社がGitHub Copilotの導入を決めた理由は、主に3つあります。1つ目は、他社のコード生成AIツールと比較してもユーザ数(プラグインインストール数)が圧倒的に多く、さらにトレーニングやWeb上のコンテンツが充実している点です。2つ目は、GitHub社が当社のソリューションパートナーであるマイクロソフト社のグループ企業であることです。そして3つ目は、GitHub CopilotはAIコードアシスタントの事実上の標準(デファクトスタンダード)となっている点です。導入後は、「バグやレビューでの指摘が減った」「新規参画者だったが、既存ソースコードを理解するときに役に立ち、開発が効率的になった」という意見が導入プロジェクトから聞かれるようになりました。
開発(Dev)、運用(Ops)とセキュリティ(Sec)を一体化し、ソフトウェア開発とデプロイの過程全体にセキュリティを組み込むことで、高速かつ安全なリリースを実現するアプローチ
実際に使用した開発者の声
ここで、GitHub Copilotを利用した約230名の開発者に実施したアンケートの回答についてご紹介しましょう。以下のアンケート内容を「1.とてもそう思う」「2.そう思う」「3.どちらでもない」「4.そう思わない」「5.全くそう思わない」の5段階で評価してもらいました。
アンケート内容
上記の中で、「GitHub Copilotの利用により生産的になった」(生産性向上)、「GitHub Copilotの利用により早くタスクを完了できるようになった」(効率化)、「GitHub Copilotを使用すると成果物の品質が向上する」(品質向上)の観点では、「とてもそう思う」と「そう思う」の回答が多く、特に生産性向上の観点では64%と好反応でした。一方で、残る36%に対しては、さらなる効果を実感してもらえるよう、GitHub社と連携して活用方法の提案を進めていく予定です。
また、2024年12月5日に日本マイクロソフトの品川本社で開催された「GitHub Copilotハッカソン」には約40名の開発者が参加しました。参加者はGitHub Copilotを使って、自然言語からコードを生成したり、単体テストケースを作成したりする実践に取り組みました。マイクロソフト社やGitHub社のエンジニアがトレーナーとして参加し、効果的な使い方をレクチャーするとともに、参加者同士も互いにノウハウを共有する場にもなりました。参加者からは、「大変有意義だった」などのフィードバックがありました。
図2:「GitHub Copilotハッカソン」イベントの様子
GitHub Copilotを活用した取り組み
NTTデータグループ社ではGitHub Copilotの活用が急速に進んでおり、現時点で100以上のプロジェクト、2000以上のユーザが採用しています。この利用規模は、国内でもトップクラスです。
さらに、2024年10月にGitHub社とパートナー契約を締結しました。これによって、システムインテグレーション業務や自社サービス開発における生成AIの活用をはじめ、GitHub Copilotを安価に、かつセキュアな環境を利用できるようになりました。加えて、GitHub社と共同でオンライントレーニングやハンズオン研修も定期的に実施し、利用者のスキル向上を支援しています。
海外事業会社のNTT DATAでは、海外の開発拠点が先んじてGitHub Copilotを積極活用しており、効率的な導入を支援する「GitHub Copilot Jump Startプログラム」という研修を実施しています。このようなグローバルな取り組みが評価され、「GitHub GSIグローバルパートナーオブザイヤー」に認定され、「Channel EMEA AIパートナーオブザイヤー」を受賞しました。
生成AIの利用に伴う著作権リスクとその対策
一方、GitHub Copilotを含む生成AIの使用にあたっては、ソースコードなどの情報流出、著作権侵害やライセンス違反のリスクが指摘されています。
当社では、こうした懸念点に対して出力のフィルタリング機能や入力データの即時消去機能など、リスク低減機能の有効化を必須としています。また、ガイドラインの整備、具体的な利用例やノウハウも提供しています。
さらに、高い品質を担保しながら生成AIを導入するのはもちろん、AIガバナンスの徹底にも積極的に取り組んでいます。
おわりに
NTTデータグループ社は、GitHub社とパートナー契約を締結したことにより、最新技術の情報を迅速かつ容易に取得できるようになりました。また、公式コンテンツの利用により社内普及や独自アセットの開発をさらに加速させています。これからも、製造・単体テストのプロセスを効率化し、生産性の向上を目指します。
そしてソフトウェア開発工程全体においても、2027年度までに生産性を50%向上させることを目標に掲げており、GitHub Copilotも目標達成のために大いに活用していく方針です。今後もGitHub Copilotを注力すべき生成AI開発支援ツールと位置づけ、ノウハウの蓄積や競争優位性の創出に専念します。
GitHubとのビジネス連携によりシステム開発への生成AI適用を推進 | NTTデータグループ - NTT DATA GROUPについてはこちら
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/102400/
生成AIについてはこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/generative-ai/
あわせて読みたい:
<全体>
<効率とフローに関する観点>
<満足度と幸福に関する観点>
<その他>