★石破内閣最初の仕事であった臨時国会。首相・石破茂の初仕事はどんな評価が得られるか。補正予算、政治改革、103万円の壁。補正予算では全体的に下手に出て、各党を持ち上げながら立憲民主党には野党第1党のプライドを保たせ、国民民主党には以前と同じ手法であやした。野党がまとまらず仲の悪いところを利用しながら一本釣りで混乱を生まない手法はさすがと言わざるを得ないが、これは石破だからではなく、少数与党になった自民党の知恵の出しどころといえる。

★予算委員会などの答弁は今までと違い首相自らが説明に立つシーンが多くなった。石破は役人や閣僚が説明するなら自分でという思いと、自身の知識と勉強の成果をここぞとばかり披歴しているが、事と次第では言葉足らずの首相答弁が政府見解になりかねず、こちらも善しあしだ。ただ自民党総裁選挙での発言や総選挙での発言などを封印しており「わが党は強権独裁政党ではない。大勢の理解を得ながら党をまとめていくことも私の仕事だ」「党内融和を優先するつもりはないが、丁寧にやっていきたいと思っている」「言ったこと全てを実現するのは民主主義政党がやることではない」と権力にしがみつき、やりたいことや持論を封印するのは何のために5回も総裁選挙に出たのかと問いたくなる。

★石破は政治改革でカネの出入りの透明化を図るためデータベース化を推進したが、自民党案は政党本部、政治資金団体、国会議員政治資金団体、野党案はこれに派閥というのが加わった。本来なら今あるPDFに載っている内容をデータベース化するだけなのに、今回与野党は支出する側の政治団体の実態をデータベース化から外した。つまりPDFには書き込まれていたものがデータベース化によって消えるものが多く、裏金問題の反省による透明化だが、これでは本末転倒だ。明らかに与野党がすり合わせた様子で、両党に政治改革を語る資格はない。石破と立憲民主党代表・野田佳彦の罪は重い。(K)※敬称略