小説「火花」で第153回芥川賞(日本文学振興会主催)を受賞したお笑いタレント、ピース又吉直樹(35)が16日、東京・帝国ホテルで会見した。
主な一問一答は以下の通り
-受賞した感想は
又吉 びっくりした。うれしい。ありがとうございます。むちゃくちゃ喜んでます。僕が明るい人間だったら「フゥー」って言っている。
-尊敬する太宰治が取れなかった芥川賞を受賞
又吉 テレビで「太宰が好き」とか勝手に言うたびに申し訳なくて、そのたびに三鷹にお墓参りに行っている。今年も2回、3回行った。(次に行く時も)自分のことは報告するつもりない。「いつも勝手なこと言ってすいません」と線香を上げたい。
-金びょうぶの前に座った気持ちは
又吉 ウソみたいな気持ち。似合ってますかね? こんだけ緊張することはないですね。
-又吉さんにあこがれて作家を目指す若者も出てくるのでは
又吉 僕の小説読んで、合わなかったから小説読むのやめようというのはやめて。その責任はみんなで背負って。100冊読んだら本が好きになる。そこまで頑張って。
-羽田氏とダブル受賞
又吉 すごくうれしい。プロの作家さんがちゃんと偏見なしに扱っていただけて、うれしい。
-もし受賞を芥川が聞いたらどんな言葉をかけてもらいたいか
又吉 芥川は僕みたいな髪形のやつ嫌いだと思う。ベートーベンを天才ぶってると書いていた。印象深いんですけど、厳しい一面持ってる(笑い)この髪形みたら、又吉の雰囲気を(作って)やってるんちゃうかと言われると思います。褒めてもらう自信はない。
-賞を取り、芸人としてやりづらくなることはありそうか
又吉 注目してもらうのは芸人としてありがたい。コンビでやってますし、不都合は感じてない。
-「先生」と今後、呼ばれることも増えるのでは
又吉 本気で先生と呼ぼうとしてるのは、相方の綾部だけだから安心してる。
-生活の変化は
又吉 街を歩いてても「火花、読みましたよ」と声かけていただくことが多い。今までの「死に神」と言われてた時とは変わったかな。
-ノミネートされた時から自信は
又吉 候補にしていただいた時、自信はなかった。ゼロです。今日なんか朝から緊張してた。どっかには期待してた部分があったのかもしれない。
-今後の芸人と作家の比重は
又吉 今まで通り芸人100。それ以外の時間で書く姿勢は、崩さないでいこうと思う。それがどちらにとってもいい。お笑いで表現できないことが、どっかで小説に残ってて、文章を書く時の1歩目になったりする。
-受賞を知らせる電話が鳴った時は
又吉 携帯の画面に誰からかかってきたか、分からないようにしていた。担当の編集の方からかかってきたら落選なので。「おめでとうございます」と電話で受賞を聞いた時は手が震えた。
-受賞の気持ちの変化は
又吉 選考委員の方とお話しさせていただいた。『おめでとう』という言葉と、厳しい言葉もあった。昔から読んできた先生が、ちゃんと本気で読んでいただいたというのが伝わってきて、すごく感動した。厳しい言葉も僕にとって励みになる。
-賞金100万円の使い道は
又吉 ありがたいお金なので、貯金するよりは使った方がいい。行ったことのない国のごはんとか食べに行きたい。誰と? 一緒に住んでいる後輩パンサー向井、ジューシーズ児玉ですかね。綾部は好き嫌い激しいので、食べたことないもの食べないと思う。
-綾部さんから何か伝えられたか
又吉 綾部は財布を落として、2万円を貸した。でも財布にお金が入った状態で返ってきたのに、「あの2万返さないでいいよね」とメールがきた。まだメールを返してないのですけど、(お金は)返してもらおうと思います。
-映画化の依頼があればどうするか
又吉 思い入れ強い作品。空気感みたいなものが反映されたらいい。(出演者は)作品は10年ぐらい描いてるので、具体的に難しい。
-次回作は
又吉 そろそろ書き始めたい。でも、おもしろいものを書きたいので、どの時期に出せるかは分からない。必ず恥をかいてもいいから、書こうと思う。