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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

小倉智昭さんは77歳で他界…膀胱がんは再発リスクが高い

公開日: 更新日:

 10年を超えて経過観察が必要で、米国で「最も医療費がかかるがん」といわれるのは度重なる検査費用の高さを指摘しています。逆にいうと、死亡に直結しないケースが少なくないことの証左ともいえるでしょう。

 膀胱を全摘すると、尿をためるパウチが必要ですから、表に出る仕事の方にはつらいでしょう。生前の菅原文太さんも膀胱がんを内視鏡で切除したものの、その後全摘を勧められ、それに伴って尿をためるパウチを設けるのが嫌で私のところにセカンドオピニオンを求めに来られました。小倉さんのケースと近い状況でした。

 結局、文太さんには抗がん剤と陽子線を組み合わせた治療を勧めて膀胱温存に成功。最期まで元気に過ごされていましたが、小倉さんは全摘を嫌がり、先延ばしにされていたことが報じられています。それで膀胱がんを浸潤させた可能性はあるでしょう。

 移行上皮がん以外では、腺がんと扁平上皮がんがあり、腺がんでは慢性炎症や粘膜への刺激がリスクで、移行上皮がんに比べて高リスクです。2年ほどで亡くなる方が珍しくありませんが、化学放射線療法を用いると、2年を超えて生存するケースも増えています。

 どのタイプにせよ、早期に見つけて適切な治療を受けることが大切。小倉さんのご冥福をお祈りします。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

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