自公の過半数割れで政界のキャスティングボートを握った国民民主の“顔”である玉木雄一郎氏。国会では「103万円の壁」の引き上げなどを巡って与党との駆け引きを展開しているが、その陰に見え隠れしているのが小池百合子・東京都知事だ。
「玉木さんは小池さんの政治の弟子みたいなもの。小池さんがつくった希望の党の共同代表に玉木さんを据えて以来、ずっと関係がいい。コロナ対応の頃から玉木さんは都知事室に顔を出すようになり、小池さんも国会議員会館の玉木氏の部屋を訪ねるなど何かあれば互いに訪問し合って相談してきた。小池さんが特別顧問を務める都民ファーストと国民民主は共同勉強会も開いた。現在も小池さんは103万円の壁などで与党と交渉する玉木氏に“自民に安売りしちゃダメよ”などとアドバイスをしているようです」(小池ブレーン)
これまで小池氏と玉木氏の国民民主は多くの選挙で手を組んできた。2022年の参院選で小池氏は都民ファーストの会の国政版「ファーストの会」を立ちあげて元秘書の荒木千陽・元都議を東京選挙区に擁立。国民民主との間で「東京選挙区は荒木、比例は国民民主」という選挙協力を組んで一緒に街頭演説に立った。
その後も、今年3月の衆院東京15区補選や4月の目黒区長選で共闘。今年7月の都知事選では玉木氏が小池氏のことを「他の自治体からみればうらやましくなるような政策を実現しているのは小池知事ならではの圧倒的な実績ではないか」と賞賛して全面支援した。
「ファーストの会は国政進出に向けて政治塾を開催して候補者を養成していたが、東京15区補選で擁立した乙武洋匡が大敗したことで小池さんは風が吹いていないと判断した。そこで今回の総選挙では自前の候補者擁立を見送り、国民民主を強力に支援した」(同前)
総選挙で躍進した国民民主は国政に足がかりを得たい小池氏にとって重要なカードになった。小池氏が率いる都民ファーストの会の森村隆行・代表は、来年の都議選や参院選で「国民民主との協力関係を前進させたい」とこう語る。
「都民ファが自前の国会議員を送り出すのは難しいが、既存の国政政党と連携すればすぐに国に要求を届けられる。これまで国とのパイプ役を担った自民党の二階俊博・元幹事長が引退したことで、玉木さんと国民民主を通じて都の要望を国に伝えることを模索しているという流れがあります」