不治の病のように言われてきた花粉症だが、新薬「シダトレンスギ花粉症舌下液」(以下、シダトレン)が今年1月に厚生労働省に認可されたことで治療できる病になったと評判だ。シダトレンを使用した舌下免疫治療法で、何より驚異的なのはその効果だ。
日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科教授の大久保公裕教授によると、舌下免疫療法は治験の段階で全体の約8割の患者の症状が改善され、約2割は症状がきれいさっぱり無くなったという。
自由診療や治験でいち早く舌下免疫療法を試している患者は、すでに大きな“果実”を手にしている。
2011年から自由診療で舌下免疫療法を行なう「ゆたクリニック」院長の湯田厚司氏もその効果を次のように語る。
「年間100人弱の患者さんの臨床をしていますが、およそ8割の方に効果があり、うち半分には大きな効果があります。完全に症状がなくなったという人も2割います。効果がなかった方も1~2割いますが、全体から見て少数です」
それでは実際の体験談を聞いてみよう。2010年以上花粉症に悩まされてきたが、一昨年の秋から舌下免疫療法を受け一気に症状が改善したという30代男性が恩恵を語る。
「長い間花粉症に苦しんでいたので、エキスを舌の下に垂らすだけの治療なんて信じられませんでした。でも最初は舌に感じた軽い痺れもすぐになくなり、服用はとても楽。症状も治療を始めて3か月くらいの去年の春の時点でかなり収まりました。毎年顔がグショグショになるのに、鼻水が少し出るくらいだった。今年も少し鼻がムズムズしますが、このまま続ければ全く気にならなくなるんじゃないかと期待しています」
この男性、昔を知る妻からは「別人になったみたい」といわれるという。こんな夢のような話を聞くと、花粉症に苦しむ身としてはすぐにでも試してみたくなる。しかし残念ながら、この記事を読んですぐ病院に駆け込んで治療、とはいかない。