【誕生日がつらい理由】孤独と虚無に向き合う日に変わってしまった。

No-Ad孤独日常エッセイ

f:id:momotoyuin:20170830114222j:plain

年に一回か二回、気分が酷く落ち込むことがある。今年はその一つが誕生日だった。日付が変わった瞬間、急に虚しさが襲ってきた。

ここ15年ほど、互いの誕生日に手紙をやり取りする親友がいた。

「男同士で手紙のやり取りなんて気持ち悪い」とか「嫉妬するわ」とか、親友が付き合ってきた女性にそう言われたこともあったっけ。……確かにそうかもしれんな、と思わないこともない。

ただ、いつの間にか始めていた内容が習慣になり、思ったよりも長く続いたのだ。手紙を書くことで今の自分を整理できるし、何より節目として、気持ち新たに前向きになれる。

誕生日はそういう日だった。

手紙だけでなく、毎年二人で旅行に行くのも気付いたら定番になっていた。自然に触れて、美味しい食事を食べ歩いて、温泉に入って……一緒にいるとなぜかどんな事も楽しくて。全国の色々なところを巡った。

互いの人生を尊重し合い、くだらない話はもちろん、その時々の話、または将来の話をよくした。

 

でも、訳あって、今年からそれが出来なくなってしまった。今では連絡を取ることさえ出来ない。

「おめでとう」

確実にそう言ってくれていた人が減ったので、言ってほしい人がいなくなったので、僕は虚しくなったのだ。

今年は手紙が届かなかった。それはつまり、縁が切れたことを意味していた。

 

知り合いには流産を経験したり、大切な人と死別した人もいる。僕も30歳(執筆当時)なので、それなりの経験はある。が、訳あって会えないのは、死別とは異なる辛さがあるのだと実感する。どちらの方が辛いという話ではなく、異なる種類の辛さがたしかに存在しているのだ。

人生の半分も一緒に居た親友ならば、家族ぐるみで付き合ってきた親友ならば、互いを一番理解し合っていた親友ならば……それはなおさら。

しかし、親友だからこそ、道が違ったのだ。今後の人生、道が交じわることがない。そう感じていた(この体験は、僕がどうしても小説にしたいことの一つでもある)。

 

振り返ってみると、祝われて嬉しかった記憶の方が多い。

昨年だと、行きつけのパティスリーでシェフと話して。夜も行きつけの焼肉屋で満足するまで食べて……。ノンストレスでただただ楽しい日だった。

でも、今年になって気付いてしまった。

嬉しかった記憶は、人に祝われる体験を積み重ねてきたからこそ。周囲の人の愛情によって作られた感情だったのだ。失ってみないと自分が恵まれていたことも実感できない、愚かな人間だと痛感した。

今の僕は、生きているだけで人に迷惑をかけている感覚がある。未来が明るいものとは限らないから。

 

眠れない夜に、以下の記事を見つけた。

自殺 誕生日は1.5倍「サポート必要」 阪大准教授ら

誕生日に自殺する人は、他の日の1.5倍になるとする研究結果を、大阪大の松林哲也准教授(公衆衛生学)らのグループがまとめた。グループは「自殺の恐れがある人には、誕生日の前後は周囲のサポートを強化するなどの予防策が必要だ」と指摘している。

出典:http://mainichi.jp/articles/20160602/k00/00e/040/239000c

また一つ、今まで目が向なかったことに意識を奪われるようになった。

 

生きていて意味があるのか、生まれてきて誰かのためになっているのか、自身に存在意義があるのか……高校生の時に考えていたことを、大人になっても考えてしまうとは。

光の中から見る影と、影の中から見る影はまるで異なる。

だから、人をどうこう言えはしない。ただ、どれだけ本を読んでも、どれだけ経験しても、変わらないこともあるんだな、と思ったのだ。

やはり、何をしても「誕生日だから」と関連付けられる。

生まれるとは、それほど大きなことなのだろう。誕生日は、自分が何年生きたのかがハッキリとわかる。加えて、周囲の人間を通して、関連付けられていく。公的書類に記入することも多いし、生まれた日の数字からは逃れられないのだと悟った。

 

虚しい気持ちのまま、その日は寝たのだろう。朝起きたら、仕事に行く前の彼女が「おめでとう」と言ってくれた。ここに書いたようなことを色々と寝る前に思ったけれど、それでも、失ったものよりも今あるものを大切にしなければ……と彼女を見て改めて思った。

とりあえずおっぱいを揉んだら、頭をぶっ叩かれた。 でも、それが嬉しかった。

人に救われてるなーって話↑↑

www.momotoyuin.com

コメント

  1. giovannna より:

    あら桃ちゃんも30歳なんだ、おめでとうございます!
    友だちとの縁は時に薄くなったり濃くなったりするもの。切ないですが「もうこれ以上一緒にいられないな……」って時もありますよね。
    でも思い出がなくなるわけじゃないから。きっと相手の方も思い出だけは大切に持っていてくれるんじゃないでしょうか。
    どうせ、最後にあの世まで持っていけるのは思い出だけです。
    どうぞ、この一年でまた楽しい思い出をいっぱいつくってくださいね。