敏腕コンサルが解説。将来の年金額「これだけ貰えます」を絶対に信じてはいけない理由

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「将来これだけの年金が貰えます」と政府が提示する金額は、根本が間違っているのではないですか? そんな不安の声に答えるのは人気コンサルタントの永江一石さん。永江さんは自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、年金の将来の受給額について語っています。

年金の将来受給額はどうなる

Question

shitumon

永江様、最近、厚生年金の範囲拡大などが話題になっていますが、実際のところ、将来どの程度まで給付水準が下がるとお考えでしょうか?

今年は5年に1度の社会保障審議会の財政検証が行われましたが、将来も50%以上の所得代替率が見込まれるようです(現在は61.2%)。つまり、夫婦であれば、男性平均年収の半分以上の年金が受給できるということです。

私が気になるのは、これが2023年「日本の将来推計人口」の中位推計に基づいているということです。この資料の中位推計では、日本の合計特殊出生率は2023年の1.23を底にV字回復し、一度も低下することなく上昇し続けます。

実際の2023年の出生率は推計を下回り1.20でしたし、2024年もV字回復どころか、既に前年を大幅に下回る出生数となっています。日本で今後出生率が右肩上がりに増え続けるというのは、ファンタジー小説並みに現実味がありません。年金財政の厳しさをごまかすために、人口推計を甘めに作っているのではないかとさえ思います。

人口の前提が間違っているのですから、「将来これだけ年金がもらえます」という話は、まったく当てになりません。おそらく30~40年後には、今の水準の半分も貰えないだろうと考えております。永江さんは、将来の年金給付額については、どのように予測されますか?

(参考資料)

財政検証結果
国立社会保障・人口問題研究所(令和5年推計)

 

永江さんからの回答

おっしゃる通り、人口問題研究所の将来予測が現実とかけ離れているという話は何度もブログに書いてますので、まずはこちらをご覧ください。

人口推計は低位・中位・高位という3つ出すのですが、実際の数字は毎回低位すら下回っています。本来ならこの低位推計を中位にして、もっと現実的な数字を出すべきなのに、そうすると人口減少があまりにも深刻だと分かってしまうから出来ないのでしょう。

韓国は「このままでは地上から韓国人がいなくなってしまう」という危機感を持って政府が国民に正直に語りかけ、移民省まで作りました。一方日本は、厳しい現実から目を背け続けています。

現在、日本人は年間80万人くらい減っています。外国人が毎年20万人増えているので差し引き60万人くらいの減少に見えますが、実際にはもっと深刻です。特に団塊の世代が後期高齢者になってきて、これから急激に人口が減っていきます。しかも平均寿命がこの10年で10歳も伸びているのに、そんな事実すら推計に入れていないんです。この減少はもっとひどくなりますので10年で東京が消えてなくなるくらいと思います。

今から15年後には、社会保障は今より50兆円も足りなくなります。これって消費税で換算すると20%分です。今と同じ水準の医療と年金を維持しようとすると、50年後には消費税を35%くらいにまで上げないといけない。でもそんなの払えるわけないですよね。

関東学院大学の島澤教授の試算だと、今の40歳以下の人たちは93歳まで生きないと年金収支が赤字になるそうです。つまりほとんどの人が損をする仕組みになっているわけですね。

ではどうすればいいかというと、例えば年金控除をやめれば12兆円の財源が確保できます。あとは国民健康保険を消費税4%に置き換えるという案もあります。でもこれらを全部実行しても、まだ50兆円足りません。

年金を積立方式に変えようという案もありますが、それには1,000兆円もの財源が必要で、現実的ではありません。維新の提案するベーシックインカムも同じ問題を抱えています。

結局のところ、今までずっと先送りにしてきた問題がもう限界にきているんです。反発が怖くて改革ができない。でもこのままじゃ制度が立ち行かなくなる。本当に難しい問題ですが、まずは現実を直視することから始めないといけないと思います。

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