手に入れた本を読み終えられず、うしろめたさを感じたことはありませんか? 1年前に購入したのに「レベル3」までしか達成していないゲームや、途中で観るのを止めてしまった映画はどうでしょう?
途中で止めてしまってうしろめたさを感じるのは、珍しいことではありません。ですが、どうして罪悪感を覚えるのかを説明するのは簡単ではありません。
Wall Street Journalにおいて心理学者のMatthew Wilhem博士は、その理由は「個人の性格」にあると言っています。
Wilhem博士によると、競争心が強い人ほど途中で止める傾向にあるようです。彼らは「賞罰」の感覚で行動するからで、何かしら見返りや周囲に認められることがなければ、その本を読み終えなければならない理由を持てなくなってしまうというのです。
逆に、もっと気楽な性格の人は、読み終えられないと分かっている本であれば最初から読まないのだとか。彼らは「周囲からの圧力」があると、それを動機に本を読み終える傾向があるので、読書クラブや輪読会などに参加すると良いといいます。
途中で物事を止めると、それはそのままストレスに繋がります。というのも、本であれ映画であれ、途中で投げ出す行為が人間の本質に反するからです。Wilhem博士は次のように続けます。
「人は誰しも、未完成な状態であっても『終わった』とか『すべてやり終えた』と認識してしまう傾向があるようです。こうしたものの見方は心理的にとても強力なものです」
では次に、この罪悪感が巨大になる前に防ぐ方法を紹介しましょう。
どうすれば積ん読を解消し、うしろめたさを感じずにいられるか
すべての人が読みかけの本にうしろめたさを感じるわけではありません。Atlantic誌において作家のJen Doll氏が提案するのは、「読書を途中でやめてもいい仕組みを作る」という方法です。
「私は、本を途中で読まなくなることを恥じてはいません。それどころか、自分の家や職場のあちこちには読み始めてもいない本が散乱しているくらいです。
放置しているこれらの本に対しては、悪いとは思っています。本の中にはきっと、大切なことがたくさん書かれてあるのでしょう。だけど私が抱くのは罪悪感ではなく、何かを失っているかもしれないという恐怖感です。また、最初の100ページを読んでも引き込まれない本に対しては、私がその本にチャンスをあげたと考えるようにしています。
これが上手くいかなければ、本を脇によけてしまいましょう。読んでいる本に対して悪いと感じるような無駄な時間は私たちにはありません(同じことは、TV番組や映画、その他の娯楽にも通用します)」
Doll氏のやり方で根本的な問題を解決できるわけではありませんが、この方法は有効です。まず、止めるきっかけを作りましょう。だって、楽しめないのならしょうがありません。
やりかけていることに罪悪感を覚えてしまうなら、友人にそれを貸したり、コンピュータのハードディスクから削除したりして、視界から消してしまいましょう。目に見えなければ、それほど気になることはないでしょう。
もう一つの方法は、とりあえず終わらせてみることです。単に時間がなくて読み終えることができずにうしろめたさを感じているなら、読む時間を確保すると良いでしょう。社会的なつながりを持つために、読書クラブに参加したり、日常生活の中で読書の時間を作りましょう。また、読むスピードを速めて最後まで行き着くのも一つの手です。最後に、Wall Street Journalが示すように、読書そのものをあなたがどう位置付けるかも大切です。本、映画、漫画、ゲーム、その他何でも、途中で止めるのは決して悪いことではありません。それなのに、罪悪感を覚えるのは馬鹿らしいでしょう。本を読み終えることと、タスクをやり終えることの関係性を研究している心理学者がいます。ニューヨーク大学の医学部精神病学科准教授であるMeena Dasari博士は、子どもを対象とした研究を多く実施しています。
「達成感(や時に不満)を感じながらタスクを継続する能力は、そうした感情をどう解釈するかによる」と彼女は言います。「自分があまり賢くない、と思えば読むのを諦めるでしょう。だけどこの本が自分の求めていたものと違うものなのだ、と考えれば、読み終える確率は高まります」
また、友人や所属している読書クラブのメンバーが読み終えれば、その圧力は強力に働きます。「私が一番多くの本を読んだのは、読書クラブに所属していた期間でした」と、Dasari博士も言っています。
とはいえ、少しでもうしろめたさを感じるのなら、対象を視界から消してしまいましょう。友人にあげるか中古店に持って行くか、デジタルメディアであればiPadやKindleから消してしまえばいいのです。
Thorin Klosowski(原文/訳:駒場咲)