iPadをはじめとするタブレット端末は、ゲームや電子書籍を楽しむための「おもちゃ」と捉えられがちですが、実は、ビジネスユースでも、ラップトップPCやノートブックよりも、優れた点がいくつもあります。
■タブレット端末のほうが、ラップトップ・ノートブックより勝る点
特に仕事で持ち運ぶ際、タブレット端末には、ラップトップPCやノートブックよりも多くの利点があります。
ラップトップPCやノートブックは、シャットダウンの代わりにスリープモードにするといったワザを使わない限り、タブレット端末ほど速く起動したり、インターネット接続することはできません。タブレット端末なら、ボタンを押して画面を指でタップするだけで、アプリケーションをすぐに起動可能です。以前使ったことのあるネットワークの近くにいるか、3G対応のタブレットであれば、すでにインターネットにも接続されています。
iPadのバッテリー寿命は非常に長いです。モトローラのAndroidスマートタブレット『MOTOROLA XOOM』や『Galaxy Tab』もこれと遜色ありません。ネットブックの多くは、タブレット端末のバッテリー寿命の半分あればいいほうです。新型のMacBooksですらも、iPadには太刀打ちできません。バッテリーを気にせずに端末を持ち歩きたいなら、タブレット端末はいい選択肢です。
Photo by Henri Bergius.
タブレット端末だと、異なる角度からも画面が見やすいので、多人数で一緒にスクリーンを見るのに適しています。たとえば打合せ中に、同僚やクライアントと資料を一緒に見るといったときに便利です。
処理能力は平均的なネットブックの3分の1ですが、iPadの軽量なOSでは、すべてがとても速いです。ネットブックの代わりにiPadを使いはじめたとき、アプリケーションがあっという間に立ち上がることに驚きます。複数のアプリでシステムがハマってしまう心配もありません。たしかに、iPadでマルチタスク機能がないのは不便ですが、これによってデバイス自体がスムーズに動いているともいえます。
可能なかぎりHTTPSやSSLを使うべきなのはいうまでもありませんが、タブレット端末は、WindowsラップトップPCに比べれば、公衆無線LANからマルウェアの標的になりづらいです。
マルチタスク機能がないのは確かに不便ですが、いい面もあります。それは、ひとつのことに集中しやすいところ。たとえば物を真剣に書くとき、bluetoothのキーボードを使って書くことだけに専念できます。タブレット端末の設定を変更すれば、すべての通知をオフにすることも可能です。このテーマについては、ライフハッカーアーカイブ記事「仕事での集中力アップにiPadを併用してみる、というアイデア」でも採りあげています。
■タブレット端末の弱点を克服するコツ
もちろん、タブレット端末にも弱点はありますが、ちょっとした工夫でこれは軽減できます。
ちょっとしたメモ程度なら、ソフトウェアキーボードでも問題ありませんが、本格的な仕事をするにはなかなか厳しい面も...。しかし、タブレット端末のほとんどは、Bluetoothキーボードに対応しています。ライフハッカーアーカイブ記事「iPadスタンドはどれがいい?」などでご紹介したような、安価なスタンドを利用すれば、ラップトップPCよりも省スペースなモバイルワークステーションが作れます。
多くのタブレット端末では、サムドライブのためのUSBポートがありません。iPadでは、ファイルシステムを閲覧することすら不可能です。その結果、タブレット端末で作成したドキュメントにアクセスしづらくなっています。そこで、「Simplenote」やGoogle Docs、『Dropbox』や『iWork』などのサービスを利用すれば、他のコンピュータとの同期が可能です。
■タブレット端末が劣る点
多少の工夫を施したとしても、やはりラップトップPCやネットブックのほうが、タブレット端末よりも勝る点はあります。
ウェブサイトは、タブレット端末に最適化されておらず、リンクをクリックしたり、Flashを使ったりといった作業がなかなか面倒です。仕事でこれをやるとなると、タブレット端末は不便かもしれません。
たくさん書く場合、タブレット端末の「気が散らない」環境もいいかもしれません。しかし、多くのメニューにアクセスしなければならないような、高度な編集をやるとなると、ラップトップPCでフルバージョンのオフィススイートが必要になるでしょう。『TextExpander』のようなユーティリティやOfficeのマクロ機能なども同様です。たとえば、iOSデバイス向けのTextExpanderがリリースされていますが、どこでも動くわけではありません。また、Android向けの便利なテキスト拡張アプリは現状見当たりません。
タブレットに最適化されたソフトウェアを利用している企業や分野もあるようですが、まだ少数派です。あるプロジェクトで使うべき特別なソフトウェアがあるとしたら、そのためにWindowsマシンが必要になるでしょう。
そこそこのノートブックは250米ドル程度で購入できますが、iPadは最低でも500米ドル。『Xoom』はもっと高価です。
■結論:ワークフローに取り入れる努力をしてみる
米Lifehacker読者のBryanさんは、タブレット端末を仕事に取り入れるコツとして、次のような意見を述べています。
iPadは、生産性につながる可能性を持っている。ポイントは、日常に取り入れ、自分のワークフローを見直すこと。自分の場合、まず会議にこれを持っていくことから始めたが、1ヶ月経って便利なツールになってきた。もしタブレット端末を持っているなら、挑戦してみよう。
「流行でなんとなく買ってはみたものの、イマイチ使い道がわからないな~」と感じているiPadユーザさんは、この記事を参考に一度、仕事にもこのデバイスの活用を試みてみてはいかがでしょうか? 「こういう使い方が便利だよ!」という、とっておきのコツやワザをご存知の方は、コメント欄でぜひお聞かせください。
Whitson Gordon(原文/訳:松岡由希子)