外国企業の会社設立手続き・必要書類
最終更新日:2023年07月31日
- 最近の制度変更
外国企業の会社設立手続き・必要書類
UAEには多くの法人形態があるが、外国企業の設立に適した主な会社形態は、有限責任会社(Limited Liability Company:LLC)、支店、駐在員事務所、フリーゾーン企業(Free Zone Establishment:FZE、Free Zone Company:FZCO)の4種類。
LLC、支店、駐在員事務所については、フリーゾーン内外のどちらでも設立可能であるが、設立手続きや管轄官庁は異なる。フリーゾーンについての詳細は「外資に関する奨励 各種優遇措置」を参照。
フリーゾーン外の法人設立について、2020年9月の商事会社法改正により、2021年6月以降、従来まで原則必須要件とされていた51%以上の現地資本の参加は、産業分野によっては不要となった。しかし、同法の運用状況には首長国ごとに差があり、会社設立にあたっての手続きも明確化されていない状況。
各法人形態の特性や認められる事業範囲等については、次の資料を参照。
ジェトロ:アラブ首長国連邦(UAE)における外国企業の拠点形態(333KB) ※2023年7月改訂
フリーゾーン外
ドバイ首長国を例として、フリーゾーン外(オンショア)での会社設立の手続きおよび必要書類を挙げると概ね次のとおり。
有限責任会社(Limited Liability Company:LLC)
- ドバイ政府経済観光局(DET)の事業分類リストより、設立する会社の事業分野を特定する。
- DETに商号を仮登録する(費用:620ディルハム)。
- DETから事前承認を取得する。必要書類は次のとおり(費用:120ディルハム)。
- 所定の申請書
- 商号の予約証明書
- ライセンスを受ける者(LLCの代表者)のパスポート・ビザ(居住者の場合)のコピー
- 会社定款
- 事業計画書(求められる場合)
- (出資者が法人の場合)LLC設立を決定した親会社取締役会の決議書 ※
- マネージングディレクターの任命書 ※
- (出資者が法人の場合)親会社の登記証明またはライセンス等会社情報を証する公的書面 ※
- (出資者が法人の場合)親会社の定款 ※
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
- 申請代行者に対する委任状 ※
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受けた上、UAEにおいて認可された翻訳業者によるアラビア語翻訳版にUAE司法省の認証を得る必要がある。
- 会社定款の作成
- オフィス等の賃貸借契約の締結
- DETから最終承認とライセンスを取得する。必要書類は次のとおり(費用合計:原則1万1,000ディルハム+マーケット費用5%)。
- 事前承認書
- 事前承認取得時の必要書類一式
- ドバイ不動産規制庁(RERA)発行のオフィス等に関する賃貸借契約登録証明書(Ejari証明書)コピー
- 会社定款(公証人の公証を受けたもの)
- (スポンサーを選任する場合)スポンサー契約書(公証人の証明を受けたもの)
※これらに加え、業種によっては所管機関からの許認可が必要な場合がある。
支店、駐在員事務所
- DETの事業分類リストより、設立する会社の事業分野を特定する。
- DETに商号を仮登録する。
- 経済省の承認を取得する(ただし、ライセンス上のアクティビティがプロフェッショナルアクティビティに分類される支店の場合は、経済省承認不要)。必要書類は次のとおり。
- 商号の予約証明書
- 所定の申請書
- 本社の登記証明またはライセンス等会社情報を証する公的書面
- 支店/駐在員事務所設立を決定した本社取締役会の決議書
- 申請代行者に対する委任状
- サービス代理人(スポンサー)の身分証明書(個人の場合)またはライセンス(法人の場合)のコピー(スポンサーが選任される場合)
- 公証人の公証を受けたスポンサー契約書(スポンサーが選任される場合)
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受けた上、UAEにおいて認可された翻訳業者によるアラビア語翻訳版にUAE司法省の認証を得る必要がある。
- DETから事前承認を取得する。必要書類は次のとおり。
- 所定の申請書
- 商号の予約証明書
- ライセンスを受ける者(代表者)のパスポート・ビザのコピー
- 支店/駐在員事務所設立を決定した本社取締役会の決議書 ※
- 支店/駐在員事務所代表者の任命書
- 本社の会社定款 ※
- 本社の登記証明またはライセンス等会社情報を証する公的書面 ※
- 申請代行者に対する委任状 ※
- 「実質的支配者」に関する開示書類(「その他」の項目参照)
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受けた上、UAEにおいて認可された翻訳業者によるアラビア語翻訳版にUAE司法省の認証を得る必要がある。
- オフィス等の賃貸借契約の締結
- サービス代理人(スポンサー)との契約(スポンサーを選任する場合)
- DETから最終承認と商業ライセンスを取得する。必要書類は次のとおり。
- 事前承認書
- 事前承認取得時の必要書類一式
- 会社定款(公証人の公証を受けたもの)
- ドバイ不動産規制庁(RERA)発行のオフィス等に関する賃貸借契約書登録証明書(Ejari証明書)コピー
- (スポンサーを選任する場合)スポンサー契約書(公証人の証明を受けたもの)
※これらに加え、業種によっては所管機関からの許認可が必要な場合がある。
- 経済省の外国企業登記簿に登録する(手数料7,500ディルハム)。登録には、5万ディルハムのUAEで営業活動をしている銀行の保証が必要。登録は、毎年更新する必要がある(更新手数料7,500ディルハム)。新規登録時の必要書類は次のとおり。
- ライセンスコピー
- 支店代表者に対する委任状および支店代表者のパスポートの写し ※
- UAEで営業活動をしている銀行の保証書
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受けた上、UAEにおいて認可された翻訳業者によるアラビア語翻訳版にUAE司法省の認証を得る必要がある。
※外国企業の支店または駐在員事務所の場合は、UAE国民または100%UAE資本の法人による「サービス代理人」(Service Agent。一般に「スポンサー」と呼ばれる)が必要であったが、外資規制撤廃とともに不要となった。関連法は2020年連邦法第26号、2021年連邦法第32号(会社法の改正)。従って、スポンサー関連書類は原則不要。
フリーゾーン内
ジェベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)を例として、フリーゾーン内(オフショア)での設立手続きおよび必要書類を挙げると次のとおり。
フリーゾーン企業(FZE、FZCO)
- 次の書類を提出する。
- 申請書
- 事業計画書
- EHS(環境・健康・安全対策)申請書・EHS関連基準遵守書
- フリーゾーン法人の代表者、役員のパスポート・ビザ(居住者の場合)のコピー
- (出資者が法人の場合)親会社の登記証明またはライセンス等会社情報を証する書面 ※
- (出資者が法人の場合)親会社の会社定款 ※
- (出資者が法人の場合)FZE、FZCO設立とその代表者を決定した親会社の取締役会の決議書 ※
- フリーゾーン法人の代表者および委任状を有する申請代行者の署名鑑(JAFZAの証明を受けたもの)
- JAFZA所定のKYC/UBOに関する文書
- 申請代行者に対する委任状 ※
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
- JAFZAがこれらの書類の審査・事業認可を行い、承認した後メールで連絡する(関連機関への申請は、基本的にJAFZAが代行するが、追加で申請者が認可を得なければならない場合もある)。
- オフィス・土地区画・ショールーム・倉庫から物件を選択する。
- 登録手数料、賃貸料等を支払った後、企業の概要や事業活動、賃貸物件等に関する詳細を記述したリース概要書に署名し、提出する。
- ライセンスが発行される。
外国企業のフリーゾーン内の支店
- 次の書類を提出する。
- 申請書
- 事業計画書
- EHS(環境・健康・安全対策)申請書・EHS関連基準遵守書
- 代表者のパスポート・ビザ(居住者の場合)のコピー
- 本社の登記証明またはライセンス等会社情報を証する公的書面 ※
- 本社の会社定款 ※
- 支店設立とその代表者を決定した本社の取締役会の決議書 ※
- 支店の代表者の署名鑑(JAFZAの証明を受けたもの)
- JAFZA所定のKYC/UBOに関する文書
※書類は英語に翻訳し、在外UAE大使館およびUAE外務省の認証を受ける必要がある。
- JAFZAがこれらの書類の審査・事業認可を行い、承認した後、メールで連絡する(関連機関への申請は基本的にJAFZAが代行するが、追加で申請者が認可を得なければならない場合もある)。
- オフィス・土地区画・ショールーム・倉庫から物件を選択する。
- 登録手数料、賃貸料等を支払った後、企業の概要や事業活動、賃貸物件等に関する詳細を記述したリース概要書に署名し、提出する。
- ライセンスが発行される。
外国企業の会社清算手続き・必要書類
法務関連ビジネス情報ページを参照。
ジェトロ「法務関連ビジネス情報」ページ内の次のレポートを参照。
- 「アブダビおよびドバイにおけるオンショア(国内)での法人清算処理と登録解除(2016年1月)」
- 「ドバイJAFZおよびDAFZでの会社清算(2016年2月)」
その他
現地での資金調達は、通常、UAEの商業銀行から行う。資金借入れ企業が中央銀行へ報告書を提出する義務はない。
2020年8月以降、法人に関する「実質的支配者」の情報開示が求められており、会社設立の際にも開示書類の提出が必要となる。
2020年8月以降、一部の例外を除き、UAEに拠点を置くすべての法人(支店も含む)について、その実質的支配者(Ultimate Beneficial Ownership)の情報開示が求められるようになった。会社設立の際にも同情報の開示書類の提出が必要となる。
その概要は次の資料を参照。
ジェトロ:アラブ首長国連邦(UAE)における実質的支配者規制(767KB)
ドバイにおける開示書類に関しては、ドバイ経済開発局がフォーマット(Declaration of the Beneficial Owner)(224KB)を公開している。