2024年12月29日(日)
辺野古・大浦湾の米軍新基地建設
軟弱地盤着工を強行
海底に敷き砂 水汚濁の恐れも
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、防衛省沖縄防衛局は28日、軟弱地盤が広がる大浦湾側で地盤改良工事着手を強行しました。政府が玉城デニー知事の権限を奪い、軟弱地盤改良のための設計変更申請の承認を「代執行」で強行してから1年。今年1月の海上ヤード建設、8月のA護岸造成開始に続き、政府は無謀さを顧みず、新たな工事に踏み切りました。(関連記事)
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この日行われたのは海底に砂を敷く「敷き砂」と呼ばれる作業。午後1時45分ごろ、N1護岸先端から北側の海域に停泊する敷き砂作業用「トレミー船」に備え付けられた、じょうご形の装置「ホッパー」へ、横付けされた台船からショベルカーで砂を移し替え始めました。
トレミー船は、ホッパーとつながる管(トレミー管)を海底近くまで下ろし、砂を投じます。金属製のパイプを海底に打ち込み、内部の砂を固めて「砂くい」を作るための前段階です。
土木技術者の奥間政則さんによると、敷き砂は、振動をかけながら行う、くい打ちで、海底のヘドロを拡散させないことが目的です。しかし、敷き砂投入自体に「水の濁りを出す恐れがある」(奥間さん)と警告します。水が濁れば、サンゴなど自然環境を破壊する危険があります。
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また、地盤改良は砂くいなど約7万1000本のくいを打ち込まなければならず、最深で海面下90メートルに達する軟弱地盤の改良は国内で実績のない難工事です。政府の想定では新基地完成と普天間基地返還は最短で2036年ですが、完成の見通しはありません。
辺野古の海で、工事を監視・抗議する小型船「不屈」の船長・金井創さんは、今回の着手を受け、「いままで以上に抗議の声を高めていきたい」と強調。「完成のめどが立っていないのに、とにかく工事を継続する無謀なことをやり続けている」と憤りました。
工事は環境と自然を破壊するだけのものでもあり、沖縄に限らずさまざまな場所で新基地反対の世論を広げてほしいと切実な思いを語りました。