元ドイツ在住の私がすすめる現地っぽいポテサラはさっぱり味でビールがすすむ味わい【マヨネーズ不使用】

料理・食文化研究家の庭乃桃さんが紹介する、新じゃがいもとお酢を使った「南ドイツ風ポテトサラダ」。新じゃがいもはつぶす手間いらずで、さっぱりくせになる味わいです。ぜひビールと一緒にどうぞ!

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。

今回ご紹介するのは、今が旬の新じゃがいもを丸ごと使い、酸味がきいたくせになる味わいに仕上げた「南ドイツ風ポテトサラダ」です。

「ポテトサラダ」といえば、日本ではゆでてつぶしたじゃがいもをマヨネーズであえたものという印象がありますが、ドイツのポテトサラダは、ゆでたじゃがいもを大きめの一口大に切ったり、薄切りにしたりという違いがあります。

また、作り方は地域や家庭によってもさまざまですが、南ドイツではマヨネーズを使わず、お酢(ヴィネガー)でじゃがいもをマリネしたポテトサラダも多く食べられています。

今回は、長年ドイツに住んでいた筆者が、日本の新じゃがいもとお酢を使って南ドイツ風にアレンジしたポテトサラダのレシピをご紹介します。

新じゃがいもそのものの食感や味わいを楽しめるさっぱりとしたポテトサラダは、一度食べたらやみつきに! ベーコンと粒マスタードも入っているので、ビールとの相性も抜群。じゃがいもをつぶす手間いらずで手軽にできるのもうれしいポイントです。

やわらかくてみずみずしい新じゃがいものおいしさを引き出す調理のコツや、味の決め手となるマリネ液の作り方なども併せて解説します。

それでは、早速一緒に作っていきましょう!

新じゃがいもの南ドイツ風ポテトサラダ

材料(1~2人分)

  • 新じゃがいも……2個(260g)
  • ベーコン(ハーフサイズ)……4〜6æžš
  • 小ねぎ……1~2本
  • 粒マスタード……小さじ1/2

【マリネ液】

  • 玉ねぎ……1/4個弱(40g)
  • お酢(あれば 白ワインヴィネガー)……大さじ1
  • 水……100ml
  • コンソメスープの素(顆粒)……小さじ1~小さじ1と1/2
  • 塩、こしょう……各少々

※コンソメスープの素は、種類によって塩分量が異なるのでお好みで加減してください(やや多めがおすすめです)。

作り方① 新じゃがいもを電子レンジで加熱する

今回、新じゃがいもは、電子レンジを使って火を通していきます。

もともとじゃがいもの種類がたくさんあるドイツでは、加熱しても崩れにくいタイプのじゃがいもをポテトサラダに使用しますが、ここでは品種を問わずおいしく仕上がる加熱時のテクニックをご紹介。電子レンジを使うことで、ゆでるよりも形が崩れにくく、中はしっとりホクホクに仕上げることができます。

新じゃがいもは皮が薄いので、軽くこすって泥が落ちるくらいの力加減でOK

新じゃがいもは、まずたわしで表面の汚れを洗い落とします。

ぬらしたキッチンペーパーで包んでおくと、パサつかずしっとりした仕上がりに

汚れが落ちたら、新じゃがいもを皮付きのまま1つずつぬらしたキッチンペーパーで包み、さらにラップで包んで電子レンジへ。

まずは600Wで2分30秒加熱し、上下を返して、また2分30秒加熱。その後、3分ほど電子レンジ内で蒸らしましょう。こうすることで、水分が多くやわらかい新じゃがいもでも崩れにくく、しっとりホクホク食感に仕上がります。

また、熱いうちに切ると新じゃがいもが崩れやすいので、キッチンペーパーとラップを外してしばらく置き、粗熱がとれたら切るようにしましょう。

作り方② 具材を切る

シャキシャキ食感の玉ねぎと、風味の良い小ねぎ

続いて、具材に使う玉ねぎをみじん切り、小ねぎは小口切りにします。

玉ねぎは、この後に作るマリネ液に加えて軽く火を通すことで、ポテトサラダにシャキシャキ感と程よい辛みをプラスしてくれます。そして刻んだ小ねぎは、風味と彩りを加えてくれるトッピングとして使用します。ちなみにドイツでは、チャイブ(西洋あさつき)やスプリングオニオン(ねぎと玉ねぎの雑種で日本のわけぎに近い)をよく使います。

どちらも南ドイツ風ポテトサラダの重要なアクセントになる食材なので、ぜひ欠かさずご準備ください!

作り方③ ベーコンを焼く

新じゃがいもの粗熱をとっている間に、ベーコンを焼いておきましょう。最終的にマリネ液と合わせるので、この段階ではベーコンの仕上がりにあまりこだわらなくて大丈夫です。

ベーコンはお好みで6枚程度まで増やしてもおいしい

まずは、火にかけていないフライパンに油(分量外)を薄く引き、ベーコンを並べます。

最初からフライパンに少量の油を引いておくことで、フライパンの温度が早く上がり、脂の多いベーコンもカリカリとした仕上がりに。ただし、焦げやすいので、まずはフライパンを冷たい状態から火にかけて、片面がカリッとするまで中火から弱火で2~3分じっくり焼いていきましょう。

片面がこんがりと良い色になってきたら、裏返して反対の面も同じように焼きます。両面が焼けたら、余分な油を切るため、フライパンから取り出してキッチンペーパーの上に。余熱で火が入るので、少し早いと感じるタイミングで取り出すのがコツです。

ベーコンは油をしっかり切っておくと、油っぽくならずカリカリに

作り方④ マリネ液を作って新じゃがいもを漬け込む

次に、ベーコンを焼いたフライパンを使って、そのままマリネ液を作ります。

ベーコンのうま味をそのままマリネ液にうつすため、ベーコンを焼いた後のフライパンは絶対に洗わないこと! 油っぽくならないよう、キッチンペーパーで余分な脂をさっと拭う程度にしましょう。

新じゃがいもの味がぼやけないよう、コンソメスープの素の味付けはかなりしっかりめに

まずはフライパンにお酢を入れて一度煮立たせ、水とコンソメスープの素、刻んだ玉ねぎ、塩、こしょう少々を加えます。

そのまま、中弱火で表面がフツフツとするまで1分ほど加熱。

この工程によって、お酢のツンとした酸味が飛び、まろやかで味なじみの良いマリネ液になります。玉ねぎにも火が入ることで、程よい辛みに落ち着きますよ。

1分経ったら、一度火を止めておきます。

新じゃがいもの皮も味わいになるので、ぜひ付けたままで

さて、今度は新じゃがいもです。

新じゃがいもの粗熱がとれたら、まずは芽の部分を包丁の根元でしっかりとえぐり取ります。

芽の処理が終わったら、新じゃがいもを切っていきます。新じゃがいもは水分が多くてやわらかいので、小さすぎるとマリネ液に漬け込んでいる間に崩れてしまうことも。厚さ2cm程度のやや大きめのひと口大に切るのがおすすめです。

漬け込みの間、全体を一度混ぜると味がむらなくなじみます

切った新じゃがいもをバットに入れて、マリネ液を上から静かに回しかけます。フライパンに残った玉ねぎもしっかり加えて、全体をなじませてくださいね。

この時、新じゃがいもは粗熱がとれた状態で、マリネ液が温かい状態であれば、新じゃがいもが崩れにくくなり、味も染み込みやすくなります。スプーンなどを使ってマリネ液をやさしく全体に絡めたら、30分ほど置いて味が染み込むのを待ちましょう。

作り方⑤ 仕上げ

さあ、いよいよ仕上げです。あとは具材を混ぜ入れるだけ!

新じゃがいもが崩れないように、大きくざっくりと混ぜます

30分も経つと、新じゃがいもが水分を吸ってマリネ液の量はだいぶ少なくなります。そこに、焼いたベーコン、粒マスタード、刻んだ小ねぎをざっくりと混ぜ入れます。

さあ、できました!

南ドイツ風ポテトサラダということで、焼いたソーセージ(分量外)やビールも添えて、一緒にいただきましょう!

まずは、主役の新じゃがいもから。

新じゃがいもならではの甘みと香りが口いっぱいに広がり、なんともおいしい……! ベーコンのうま味がぎゅっと詰まったマリネ液が染み込んで、中はしっとりホクホクの仕上がりです。皮の部分も香ばしく、新じゃがいものおいしさが余すところなく引き出されています。

食べ応えはしっかりありますが、油っぽさや重たさは少なく、お酢と粒マスタードのさっぱりとした酸味、玉ねぎのシャキシャキ感、小ねぎの風味が実に食欲をそそります。

お次は、新じゃがいもとベーコンを一緒にいただきます。

ホクホクでやさしい味わいの新じゃがいもに、カリカリのベーコンのうま味と塩気がガツンと組み合わさり、なんとも良いアクセントに。食感と味わいに鮮やかなコントラストが生まれ、ついついビールが進むこと間違いなし!

少し温かいうちに食べるポテトサラダは、素材の味わいが引き立って格別のおいしさ

このポテトサラダはベーコンが入ったボリューミーな仕上がりなので、メインとしても楽しめますし、もちろん付け合わせにしても◎。例えばこんな風にソーセージを添えたり、肉料理に合わせたりしてもおいしいですよ。

ドイツにはお酢を使った料理が多いのですが、このようにお肉やじゃがいもなどボリュームのある食材にお酢を合わせると、重たさや脂っこさを抑えてくれるので、飽きずに楽しむことができますね。

爽やかな酸味でさっぱりとした南ドイツ風ポテトサラダは、湿度の高い梅雨の時期や、蒸し暑い夏にもぴったり。冷たいビールやワインのお供に、ぜひ作ってみてください!

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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