2022年12月13日の記事を編集して再掲載しています。
新機一転。
個人的に使用しているスマートフォンを、アップルのiPhone 12 miniからグーグルのPixel 7 Proに換えました。
乗り換えた動機と、換えてから1ヶ月使ってみてどのような点がメリット、デメリットだと感じたのかをお伝えしていきます。
小さなスマホ派だったのに
2020年11月に発売されたと同時に購入し、これまで愛用してきたiPhone 12 mini。仕事にもプライベートにも必要不可欠な、個人史上最高のスマートフォンでした。ミニサイズで軽量だからこそ持ちやすく、使いたい時にサッと出して使える機動性に優れていました。写真のクオリティも高く、思い出を鮮やかに記録してくれました。
唯一の悩みはバッテリー寿命。ミニサイズならではの弱点です。一晩充電しても夕方には電池切れしてしまうことがあり、外出中に仕事の連絡を待っている時などはヒヤヒヤさせられました。
2021年9月に発売されたiPhone 13 miniは12 miniよりもバッテリー寿命が伸びたものの、買い換えを要するほど技術仕様の差別化が進んでいないと判断し、ステイしました。
2022年9月に発売されたiPhone 14シリーズにはミニサイズの機種が含まれていなかったので、こちらもステイ。iPhone 14 Plusの実機を試させてもらったところ、正直「デカすぎる」と思いましたし、その時点では大きなスマートフォンに魅力を感じませんでした。
iPhone 14 Plusのサイズは高さ160.8mm、幅78.1mm、厚さ7.80mm。
そして、今の手元にあるGoogle Pixel 7 Proのサイズは高さ162.9mm、幅76.6mm、厚さ8.9mm。
「デカすぎる」と言っていたiPhone 14 PlusよりもさらにデカいPixel 7 Proに乗り換えるなんて、明らかにここまでの話とは矛盾していますよね。ですが、自分にとって使い勝手の良いスマートフォンを選定するにあたって、考慮すべきはサイズだけではなかったんです。
つまり、スマートフォンに望ましいと思う技術仕様を比較した上で、どうしてもPixelシリーズでなければ手に入らない機能があったと言い換えることもできます。
手に入れたもの①:レコーダーアプリは神
そのどうしても手に入れたかった機能というのが、ボイスレコーダーアプリのリアルタイム文字起こしです。これにより、音声を文字化する作業にかかる時間が半減しました。ライターという職業柄、とても重宝しています。
これまではインタビューの音源を再生しながら白紙から文字を起こしていたので、10分間の文字起こしに約1時間かかっていました。ところが、Pixel 7 Proを使えば録音しながらリアルタイムでテキストを起こしてくれるので、あとは「あの」「えーと」などのフィラー表現を消したり、誤った同音異義語を直したりするだけ。10分間の音源を30分程度で起こせるようになりました。
日本語のリアルタイム文字起こしの精度はなかなか優秀です。特に数字と金融系・ビジネス系の語彙に強い印象があるので、議事録作成などの業務にも役立ちそうです。句読点と改行が多すぎること、そして話し手が複数人いる場合は話がごっちゃになることが課題点ですが、後者についてはすでに英語圏で実装されている「スピーカーラベル」機能が日本にも導入されれば話し手が自動的に区別されるようになり、さらに使いやすくなりそうです。
手に入れたもの②:カメラにもAI技術が光る
リアルタイム文字起こしはグーグルの基盤技術であるAIが成せる技。そして同じくこのAIが活かされているのがカメラ機能です。
Pixel 6シリーズで話題になった「消しゴムマジック」機能と「モーションモード」機能は、Pixel 7シリーズにも健在です。
さらに、Pixel 7 Proにはマクロフォーカス(近接撮影)と30倍デジタルズームとが搭載され、身近な花から夜空のブラッドムーンまで、文字どおり幅広い距離での撮影が可能になりました。暗所での撮影もお手のものです。
Pixel 7 Proで撮った写真は輪郭がパキッとしていて写実的。作品というよりは、どちらかというと記録としての写真を撮りたい方に向いているのかなと感じます。
手に入れたもの③:バッテリー容量
Pixel 7 Proのバッテリー容量は公式サイトによれば5,000mAhで、iPhone 12 miniのバッテリー容量は公表されてはいないものの一説によれば2,227mAhとされているので、単純計算で2倍以上の容量を手に入れたことになります。
バッテリーの持ち具合はスマートフォンの使い方によってもまちまちなので一概には言えないところがあるのですが、筆者の場合はPixel 7 Proを使い始めてから確実に24時間以上の駆動を見込めるようになりました。ですからうっかり充電し忘れても、モバイルバッテリーの持ち合わせがなくてもまったく問題なし。ストレスフリーです。
手に入れたもの④:咳といびきのモニタリング機能
Pixel 7シリーズの「時計」アプリに実装されている「おやすみ時間モード」(Android系スマートフォンの「Digital Wellbeing」ツールでも設定可能)を使うことで、生活のリズムをちょっとずつ整えることができています。
おやすみ時間が近づくとリマインダーを表示したり、自動的にサイレントモードをONにしたり、安眠サウンドを流してくれたり、壁紙を暗くしたり、画面をモノクロに切り替えてくれたりするので、寝ることに意識を向けやすくなり、就寝前にダラダラと過ごすことが減りました。
就寝中にいびきをかいているか、客観的な証拠を得られるのもメリットです。咳もモニタリングできますが、歯ぎしりは検出されないようです。ちなみに夜中に鼻をかむと「いびき」認定される模様。
手に入れたもの⑤:老眼を労わる大きなディスプレイ
iPhone 12 miniのディスプレイサイズは5.4インチ。対してPixel 7 Proのディスプレイは6.7インチです。視力の低下が著しい筆者にとっては、サイズも、解像度も、輝度も大幅に上回るPixel画面のほうがメールを打ちやすいし、地図も見やすいのは明白。
ベゼルもノッチもないフルディスプレイは、スマートフォンというよりはもはや「小さなタブレット」感覚で使えます。
手に入れたもの⑥:きれいな筐体
グリーンとグレーを混ぜ合わせたような絶妙なカラーリングに惹かれ、ヘーゼルを購入しました。
カメラバーと側面のゴールドがアクセントとなり、美麗な佇まいです。背面のエナメルのような光沢が好きなのですが、うっかり手を滑らせて落としそうなので専用のケースに入れるようにしています。
手に入れたもの⑦:すばらしい費用対効果(とイヤホン)
これだけハイスペックなPixel 7 Proを2万7,800円で手に入れられたことも、購入の決め手となりました。
Pixel 7 Proの販売価格は12万4,300円(税込)ですが、発売直後のキャンペーン時に購入したため3万5,000円のグーグルストアクレジットが付与され、さらにiPhone 12 miniを下取りに出して6万1,500円の払い戻しがあったので、購入価格は実質3万円以下です。
もらったストアクレジットでPixel Buds Proを購入したので、結果としてグーグルのエコシステムに取り込まれていく自分がいるのですが。
なお、発売時のキャンペーンはすでに終了していますが、現在はグーグルストアで学生割引が展開されているほか、キャリア別にキャンペーンを展開しているようです。
iPhoneを手放して失ったもの
iPhone 12 miniを手放して、iPhoneロスに陥ったのも事実です。
失ってからあらためてその価値を見出したものは、
・iMessageアプリ
・AirDrop機能
・片手に収まる安心感
・角ばったデザイン
そして、もっとも大きなロスはエモい写真です。
既述のとおり、Pixel 7 Proのカメラ機能は非常に優れています。しかし、アルゴリズムの違い、もっと言えばアップル社とグーグル社における方向性の違いの表れなのでしょうか?画一的な写真になりがちなPixel 7 Proに対して、iPhone 12 miniで撮った写真には情緒が宿っていたような気がするんです。
おそらくPixel 7 Proではこのようにボケ感が出ているエモーショナルな絵は撮れないと思うんですよね。プロの写真家でもなんでもない、素人の個人的な意見でしかないのですが。
それぞれの価値
それにしても、iPhoneはハード面でもソフト面でも優れたガジェットだと思います。2年間、毎日、起きている時間はほぼ電源をONにしっぱなしでしたが一度も不具合が生じませんでしたし、下取り価格の高さから考えても、iPhoneの価値はなかなか下がらないものなのだと実感しました。
それだけ魅力的なスマートフォンだからこそ、周囲はIPhoneユーザーだらけ。今までみたいにiPhoneユーザー同士でAirDropを通じてファイル共有したり、iMessageを送り合えなくなってしまったのは残念ですが、ではPixel 7 Proを使い始めてから不便なことがあったかといえば、むしろ逆。
Googleマップ、Googleレンズ、Googleフォト、Googleドライブ、Gmail...。すでにお世話になっているグーグル社のプロダクトがこんなにも多かったことにあらためて気付かされていますし、それらの恩恵をよりダイレクトに享受できるPixelのスマートフォンはとても便利です。
総論として、今のところは、Pixel 7 Proに乗り換えたことで非常に優秀なツールを手に入れることができたと思っています。
Reference: Google, Apple
Images: 山田ちとら
訂正[2022/12/14]誤字、発売日の誤りなどを訂正しました。