初見ではわかりにくい。でも、GoPro使っている人には嬉しい。
昨夜、発表された「GoPro HERO8」! 日本でも10月25日に発売されます。米Gizmodoが発売前ひと足先に触っていましたので、ギズモード・ジャパンでもどうぞ。Osmo Actionみたいな派手な新機能はないけど、小さな新機能が思いがけない進化になっているようですよ。
待ち望んでいたカメラがついに
ひとつひとつの機能にいちいち驚かされるGoProの新しいフラグシップ機「HERO8 Black」。ですが、去年リリースされたHERO7 Blackと比べても、とくに「新しい目玉機能」ははっきり言ってありません。内蔵のセルフィー画面すらありません(ただし、アドオンとしては購入できます)。でも、使ってみるとつくづく、HERO8 Blackこそ、わたしが長年待ち望んでいたものなんだって、気づかされました。
これまでのGoProカメラについていた機能はすべてHERO8 Blackにもついています。前機種から受け継いだのは、防水10m、ノイズリダクション、4K対応、GPS、ナイトラプス機能(現機種ではインカメラに)、スローモー、ライブストリーミングオプション。新しい機能は本当に微妙な変更。でも全体的にみると、HERO8 Blackは今までわたしが使ってきた中でも最高のカメラです。
今回の新機能によって、どこにでも持ち運べるカメラとしては、スマホよりも耐久性にも機能性にもすぐれ、スカイダイビング にすら耐える、最高のカメラに仕上がっています。
GoPro HERO8 Black
これは何?:新しいGoPro。機能的にはほかのGoProよりもちょっと良くなっている
価格:400ドル(日本での販売価格は5万5880円、税込)
好きなところ:超すごい画像安定化機能。ビルトインのマウンティングブラケット、選択できるキャプチャモード
好きじゃないところ:セルフィー画面がないところ。HDMIもない
わずかな違いが大きな機能改善に
ここ一カ月ちょっとHERO8 Blackを試せたため、埃が舞うマウンテンバイクでの撮影や、ニューヨークの環境ストライキ、犬と一緒に近場に登山と、考えられるすべてのシナリオで使ってみました。思いがけず、他のメディアの記者たちといっしょに、なんとサンフランシスコからレイクタホまで、GoProのマーケティングチームの計らいで、GoProのCEOであるニック・ウッドマンのプライベートジェットで小旅行にも出かける機会にも恵まれました。いきなりでちょっとびっくりしましたが、おかげでHERO8をたっぷり楽しめました。
HERO8 Blackのデザイン面での最大の変更点は、わずかな違いでも大きな機能性の改善となっています。GoProは、独自のGPマウント規格を使っており、本体をハウジングと呼ばれるケースに入れることで拡張性を広げてきました。そのマウントが、今回は備え付けになりました。GoProはこれを“folding fingers”と呼んでいます(日本での正式名称は「折り畳み式マウントフィンガー」)。百聞は一見にしかず。実際にみてもらえばわかりますが、カメラの底部に指のような突起が折りたためるようになっているのです。コンパクトでナイスな設計です。マグネットでぴったりと閉じておけるため、折りたためばまったく邪魔になりません。
折り畳み式マウントでアクセサリが減る
マウントフィンガーのおかげで外出するときに装備するアクセサリの数が少なくて済みます。また、これまではそのままでは取り付けられなかったような場所にも、マウントを使って取り付けられ、用途が広がります。ただし、このブラケットが壊れたら、交換するのに一苦労しそうではありますが。マウントはHERO8の底部にネジどめされています。幸いなことに結構強靭そうな感じなので、ちょっとやそっとじゃ壊れそうにないのが救いです。HERO8をハーレーに取り付けようとして、ボルトマウンティングを締め過ぎたら、角度調整のときにパキっといってしまったんだけど、 HERO8のマウンティングブラケットは大丈夫でした。マウントはまっぷたつでしたけどね。
カメラ底部にマウントフィンガーがついたということは、GoProのバッテリー、SDカード、USB-Cポートは他の場所へ移動したということです。これらはすべて側面へ。この変更もプラスに働き、バッテリー交換やSDカードの取り出しもマウントを取り外すことなく行なえ、楽になりました。これらはすべて小さな変更だけど、大きな違いを生み出してくれるものです。これらにより、HERO8はぐっと使いやすいカメラに仕上がっています。
バッテリー/SDカードポートの場所が変わったことにより、扉も仕様変更されています。防水がきいていることを証明するかのようにクリック音を立てて閉まる扉は、安心させてくれます。ただし90度まで開かないので、扉がカメラから外れ気味になり、必要以上に開け閉めしてしまいました。あと、落っことしたことも。これは高所でのアクション撮影では部品をなくすはめにもなるので致命的といえましょう。
レンズは強化
物理的カメラの大きな変更点といえば、レンズのガラス素材が強化された点でしょうか。GoProは従来機種よりも二倍強靭になったとしています(ゴリラガラスは1.3mmから2mmへ)。今回は特にかしこまった耐久テストは行なっていませんが、レンズのガラス素材(とその他機能)はこの一カ月間で何度か落っことしても、傷つくことはありませんでした。傷に敏感なあなたには、今回からGoProはレンズとディスプレイを保護してくれる保護キットを20ドルで売り出しています。
安定化機能「HyperSmooth 2.0」
でも、ユーザーはガラスの硬度やマウンティングブラケットやヒンジなんか気にしちゃいません。肝心なのはその中身です。HERO8 Blackの愛すべき機能は、なんといっても向上した安定化機能「HyperSmooth 2.0」でしょう。 GoProが画像安定化機能を採用したのは数年前のことですが、昨年のHERO7 Blackに搭載されたHyperSmoothにより、大きく向上しています。GoPro自身「ジンバルみたい」なフィーリングと謳っているくらいです。 新しいバージョンは、まさにこの言葉がしっくりくる感じ。初代から根本は変わっていないはずですが、実際にHyperSmooth 2.0で撮影された動画をみると、実に印象的です。
安定した映像の撮影に加え、HyperSmooth 2.0はどんなフレームレートにも、どんな解像度でも使える点がよいでしょう。 HERO7 Blackでは使えなかった画像にも使えるようになっています。HyperSmoothは120fpsの2.7kや1080pでは使えませんでしたから。まあ、これを使う場面は少なかったですが、いざ使おうと思って使えないのは不便でした。新しい「アクション」設定(後ほど詳しく)では、ごつごつした岩場でのマウンテンバイクでの撮影も実にスムーズ。はじめ見たときは言葉を失ったほどです。
標準のHyperSmooth安定化機能に加え、 HERO8 Blackには「ブースト」オプションがついています。これによりさらに安定化をブースト。でもこれにより犠牲になるものもあるんですけどね。安定化を優先すると画像が小さくなってしまいます。これはいただけない。これを使わなければ、見るに絶えないようなガクガクな画像にはブーストモードは確かに便利ですが、正直、デフォルトのHyperSmooth 2.0で十分。ブーストが必要だと感じた場面はそうありませんでした。でも、撮影を続けていればそんな場面にも遭遇するときもあるんでしょうね。わたしはマスト機能ではないと感じました。
タイムラプスからリアルタイム撮影へ切り替えるTimeWarp 2.0
その他、HERO8 Blackの大きな新機能としては、タイムラプス機能の「TimeWarp 2.0」が挙げられます。撮影中にタイムラプスからリアルタイム撮影に切り替えが可能な機能で、強調したい場面を逃しません。粋な機能ですが、リアルタイムキャプチャに移行するときにタッチ画面のボタンを押さなくてはならないので、非常にタイミングを測るのが困難です。セルフィーでは特にこれが難しいので、向上の余地ありかもしれません。 将来的にGoProはこの機能を横に持ってくれば、どんな動画を撮っていたとしても、今よりは便利に使えるのではないでしょうか。GoPro CEOのウッドマンは、このアイデアに賛同してくれたので、実現されるといいなと思っています。
4つのプリセットオプション
わたしを含め、設定があまり得意じゃない人たちにとって、プリセットオプションはうれしい新機能です。 標準、アクティビティ、シネマティック、スローモーションの4種類から選べます。またHERO8 Blackでは、デジタルレンズ(電子での画角変更)も、
1. SuperView(最も広く撮れる)
2. 広角(GoProを象徴する視野角)
3. リニア(歪みのない視野角)
4. 狭角(スマートフォンと同等の視野角)
の4種類から選べるようになりました。GoProはスマホに典型的についているレンズに近くなったとしています。狭角は接近ショットに向いており、スーバービューは4:3を16:9に拡大するデジタル処理を施します。視野が上下に広がり、風景をさらに上手く捉えられるようになっています。
プリセットでは異なるレンズを解像度やフレームレートといった、ほかの設定と合わせて使用できます。これにより、動画がさらにインパクトあるものに。シネマティックモードでは、ワイドレンズを使って30fpsで4Kを撮影でき、ワイドアングルの歪んだ印象を与えることなく、広い視野を捉えることができるようになっています。それぞれのプリセットは編集も可能で、細かい部分が気に入らなければ変更することができます。また自分だけのカスタムプリセットも設定しておけ、クイックアクセスに加えられるので、選択も簡単。画面上のコントロールもカスタマイズでき、スローモーやハイパースムーズのブーストといった機能もすばやくオン・オフできるようになっています。プリセットなんていらないと思っているかもしれませんが、それぞれの撮影場面に合わせて素早くモードを切り替えられるので、思ったよりもずっと便利ですよ。
デジタルレンズとプリセットは大きく撮影結果を向上させてくれます。でもときにはちょっと大げさかなと思うことも。多くの人にはスーパービューはちょっとワイドすぎるんじゃないかなと思うし。画像はちょっと歪んでしまいますから。でもスーパービューがデフォルトレンズに設定されているアクションモードは、もっとも満足できる設定でした。ワイドな画面があまり好きでないなら、シネマティックモードは画面を歪めないのでおすすめできるかも。
アプリも新しくなる
無料のGoProアプリにも新機能が追加されます。たとえばGoProの水平レベリング機能は、カメラが斜めになっていたとしても、動画を水平に調整してくれます。アプリは多くの場面でその機能を発揮してくれるでしょう。でもHERO8のタッチ画面のほうが、使いやすい感覚ではありましたが。アプリではカメラとの接続がうまくいかなかったりして、ちょっと使いづらかったので。
プレゼントしたくなるカメラ
それから、追加される新機能で目立つものには「モジュラー」と呼ばれるアドオンがあります。50ドルから80ドルくらいの範囲で追加購入できます(日本での販売価格は未定)。12月に発売されます。
ディスプレイモジュラー(フルサイズセルフィー画面はDJI Osmo Actionの性能をちょっと悪くした感じ)と、メディアモジュラー(3.5mmショットガンマイクとHDMIポート、これはカメラには標準装備されなくなります)。それからライトモジュラー(照明)。 これらのいずれも今回はテストすることはかないませんでした。なのでここでは機能には触れることができません。でも、プロのブロガーでガンガン撮影するのでもない限り、普通の人には特に必要ないように思いますが。
HERO8 Blackは標準のGoProプラットフォームが成熟したようなレベルに仕上がっています。洗練され、機能が充実し、磨き上げられて、これ以上このカメラをどう機能改善したらよいの、というほどにすぐれています。マイナーアップグレードなんで、あまり期待してはいませんでしたが、HERO8 Blackの場合はマイナーアップグレードがいい。崖からの飛び降りショットや、マウンテンバイク、 「Vlog」撮影、DIYの撮影なんかで、わずらわしい設定に気をとられることなく、撮影自体を思いっきり楽しめるようになっていると思います。アクション自体を撮影よりもズームインできる、そんなカメラこそ、真のアクションカメラと言えるのではないでしょうか。
まとめ
・HERO7 Blackをすでに購入しているなら、特におすすめはしません。確かにHERO8 Blackのほうが上のバージョンではありますが、わざわざ買い換えるほどのアップグレードではないと言えます。
・HDMIポートがなくなった(Media modの購入が必要になった)のは、一部の人にとってはイタイかも。でも普通に使うぶんには別になくてもいいかな。
・GoProは新しいアプリに自信たっぷりです。これまでのアプリで最高の出来のようです。接続の悪さがちょっと気にはなるものの、やはりあったら便利なアプリになりました。
・HERO8ははっきり言って使いやすい。クリスマスにもらったらうれしいプレゼントには間違いありません。旅行好きのお母さんにプレゼントしちゃおうかな。