R2-D2とC-3PO、中身の演者は不仲だった!

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  • author junjun
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R2-D2とC-3PO、中身の演者は不仲だった!

1975年、ホラー映画「キャリー」でキャスティング中だったブライアン・デ・パルマと情報交換をした結果、新作SF映画The Star Warsのキャスティングをしていたルーカスは、多くの主演俳優をキャスティングすることに成功したそうです。

ルーカスは、映画の主なキャラクターとなる3役のうち2役に無名の俳優を選びました。キャリー・フィッシャーマーク・ハミルです。そして、もう1人の主要キャラクターハンソロ役には、ルーカスが監督した「アメリカン・グラフティー」に出演後、友人関係にもあったハリソンフォードを起用しました。

役のイメージに合うか?演技力は?カメラ写りは?などキャスティングする際には、いろいろとクリアしなければならないことがあるのは確かですが、R2-D2役とC-3PO役選びよりは簡単だったそうです。

R2-D2とC-3POといえば、脇役だけど重要なメイン級キャラクターですよね。その大切な役を演じることができる俳優を探すために、ルーカスはロンドンへと向かいました。そこで出会ったのが、C-3PO役アンソニー・ダニエルズ

その頃、アンソニー・ダニエルズはSFに興味がありませんでした。唯一観たことがあるSF映画は、キューブリックの2001年宇宙の旅なんですが、映画が始まって、たったの10分で映画館から出てきてしまい、お金の払い戻しを請求したそうです。彼は、ロンドンで主にシェイクスピアなどの古典劇やメロドラマ風の劇で貴族役を演じる俳優でした。彼の両親は弁護士になってほしかったこともあり、俳優という道にすすんだことで両親とは不仲でした。

ロンドンで、ルーカスがThe Star Warsのオーディションを行った時、ダニエルズはジョージ・ルーカスのことを知りませんでした。でも、本物の俳優になりたいという野望を持っていたので、オーディションを受けることに。そして、ラルフ・マッカリーがフリッツ・ラング監督の「メトロポリス」にインスパイアされて描いたC-3POのコンセプト・デザインに一目ぼれし、台本を読んで、感情と表現が制御されているキャラクターに圧倒され、C-3POを演じなければ!と強く思ったそうです。

一方、ダニエルズを採用することは、ルーカスにとってはチャレンジングなものでした。というのも、最初、ルーカスが設定したC-3POのキャラクターは、アメリカ風のアクセントで早口にしゃべる中古のディーラーのイメージでした。でも、すぐにルーカスはダニエルズの英国風のアクセントがピッタリだということに気づき、ジェダイが銀河を救う際にサポートしてくれる金色のロボットの中の人を彼に決めました。

次はR2-D2役ケニー・ベイカーとの出会いです。最初ベイカーはジョージ・ルーカスという若い監督に会わせたいから、20世紀フォックスのスタジオまで来てくれる?とオファーされたとき懐疑的だたそうです。彼は、10年以上ジャック・パービスという同じく小人症の俳優とMini Tonesというコンビをくんでいて、イギリスの有名なバラエティー番組Opportunity Knocksに定期的に出演出来るようになり、キャリアが上昇し始めている時でした。また、背丈だけじゃなく演技やコメディーの才能が評価されていることに喜びを感じていました。なので、ジョー・ルーカスのオファーなんて断る気まんまんでスタジオに入りました。

でも、小さなR2-D2のロボットにフィットする体、重いマシーンを操作できる力と体力のある人は、そうそういません。ルーカスは、一日中R2-D2役のオーディションを行いましたが、ベイカー氏ほどピッタリな人は他にいなかったので、どうしても彼に役を引き受けてもらいたいと考えていました。

そこで、ルーカスは躊躇するベイカーに希望の出演料をたずねました。すると当時の値段で週800ポンド(約14万5000円)、現在の価値で換算すると週4880ポンド(約89万円)を提示しました。これはパービスと一緒に活動している時に稼いでいた出演料と同じぐらいだったようです。ベイカーが提示した金額でルーカスは即OKし契約しました。ちなみにベイカー氏は、あの時、もっと高額を提示すればよかったよ~なんて言ってるそうです。

映画の公開と共に、一躍人気者になったR2-D2とC-3POですが、ダニエルズ氏とベイカー氏は共に、スター・ウォーズの撮影中の楽しくて懐かしい思い出なんて無いというんです。

というのも、動きが不自由なロボット・スーツを着ながらの撮影は、共演者たちと演技していても上手にリアクションしたり、やりとりするのが、とっても難しかったんです。歩いたり、階段を上ったり、正しく呼吸するといったシンプルな動きひとつでも困難なうえに、スーツの中は灼熱でした。しかも北アフリカでの撮影の時は気温40.55度!もう、クラクラですよね。

二人とも、そんな苦労の末、お金、名声、ファンからの愛を得ることができ、アイコニックなキャラクターを演じられた事に感謝していましたが、ルーク・スカイウォーカーのお気に入りのアンドロイドでいることは時として空しかったそうです。2000年半ばのインタビューでベイカーはR2-D2として存在していただけで、自分が俳優として目立つことは無くただそこにいるだけの仕事だったと語ったそうです。

また、共に動きずらいうえに灼熱なスーツの中で演技をするという苦労を体験し、全6部作に登場したC-3POのダニエルズとR2-D2のベイカーですから、中身の俳優同士もバディになれそうなものですが、実は仲がよくなかったんだとか…。

2009年のインタビューでベイカー氏は、「正直、自分はダニエルが好きじゃない。自分だけかと思ってたら彼は誰とも上手く関係を築くことができてなかったよ」と答えてました。また、ベイカーがC-3POとR2-D2のキャラクターでツアーを組んで、ひと稼ぎしようと誘った際に、ダニエルズはベイカー氏を冷ややかな目で見下ろしながら言葉少なにベイカーを追いやったとか…。

映画では軽口をたたきつつも、壊すことのできない深い友情で結ばれているドロイドたちが、リアルな世界では正反対だったなんてファンには、ちょっとショッキングなニュースですよね。そんなファンの気持ちをくんでか?ベイカーは、二人ともドロイドの中に入ってたので、お互い何を言ってるのか聞こえないし見えなかったから、撮影中ろくに話もできなかったんだなんて、フォローをいれたりもしていました。

2015年12月公開の新章「スター・ウォーズ:フォースの覚醒」で、再びダニエルズはC-3POとして、ベイカーはR2-D2として参加しています。あれから10歳も大人になった二人ですから、今回は多少は仲良く撮影にのぞんでることを期待したいですね。人間だから、合わない人っていますよね。それは仕方ないことってわかってるけれど、C-3POとR2-D2が二人仲良く歩いている姿を見つつ、実は不仲なんだってことが頭によぎると、なんかガッカリですから。

Matt Blitz -Gizmodo US [原文]

(junjun)