サーモスタットとか家庭用設備×グーグルってどんなことに?
グーグルがスタートアップ企業のNestを32億ドル(約3300億円)で買収しました。Nestはネットにつながるサーモスタットや火災報知機といった新しいタイプのホームオートメーション機器を開発してきた企業です。
Nest創業者のトニー・ファデル氏は、この買収でNestの日々の業務に変化はないし、ブランディングも変わらないと言ってます。「NestはNestのままです」と広報担当者も言ってます。でもグーグルが買収した以上、それがいつまでも持つのかどうかわかりません。ファデル氏はそのブログの中で次のように説明しています。
グーグルにはリソースもあるし、グローバルな規模やプラットフォームの広がりもあります。それはハード、ソフト、サービス横断でNestの成長を加速して世界中の家庭にお届けするのに役立つことでしょう。それに企業ビジョンも一致しています。我々はともに、「つらい仕事は裏側でテクノロジーに処理させて、人間は本当に大事なことに打ち込めるようにしたい」と考えています。グーグルはNestによる変革の支援にコミットしています。我々は一緒に、エネルギー消費を抑え、人が家庭で安全に過ごせるようにな世界を実現できます。
より安全な家庭…って意味では、Nestがグーグル傘下に入ることでむしろプライバシーは大丈夫?と思う人もいるかもしれません。Nestのマット・ロジャース副社長はこの点について次のような声明をメールで送っています。
我々のプライバシーポリシーでは、顧客情報の利用目的をNest製品・サービスの提供と改善のためだけに明確に限定しています。我々はつねにプライバシーを重視してきましたし、それはこれからも変わりません。
ファデル氏は、グーグルがNest創業以降4年のうち3年間、何かしらの形でNestに関わってきたと言っています。グーグルのシニアバイスプレジデント、スンダール・ピチャイ氏も次のようなツイートでこのニュースを歓迎しました。
Welcome @tfadell and team, really excited to have you all part of Google. Love using your productshttp://t.co/rofgHVUJ1h
— sundarpichai (@sundarpichai) 2014, 1月 13
@tfadellとNestのみなさん、ようこそ。みなさんをグーグルの仲間として迎えられてうれしいです。Nest製品大好きです。
ともあれ、デザイン重視の企業になろうとしつつなりきれてないグーグルとしては、Nest買収の決断は正しいものだったと思われます。ファデル氏にはiPodのメインデザイナーとしての実績があり、それによってアップルを変えた人物でもあるからです。
2013年にニューヨーク・タイムズのインタビューで、ファデル氏はアップル時代を振り返っています。まだ名前も決まっていなかったMP3プレイヤーについてコンサルティングの依頼を受けたときのことです。
音楽は僕の情熱の対象のひとつでした。当時フィリップスが米国で拡大しようとしていて、彼らは僕をデジタル音楽のビジネス開発担当バイスプレジデントに任命していました。でも会社人間は僕的に不十分だったので、それをやめて家電企業のFuse Systemsを立ち上げたんです。でもそれはネットバブルがはじけた2001年のことでした。その年にアップルが、僕をiPodとなるもののデザインコンサルタントとして雇ってくれたんです。コンピューター+音楽+アップル…それは夢のセッションでした。8週間後に最初のiPodのコンセプトをスティーブ・ジョブズに提案したところ、その開発チームを任されたんです。ひとつのモデルから次のモデルにつながり、結局iPodが18世代、iPhoneで3世代、デザインに携わってきました。
32億ドル出したグーグル、Nestのデザインセンスも買うことができるんでしょうか?
Kelsey Campbell-Dollaghan(原文/miho)