街で勝手に撮影したと警察に呼び止められました。これって違法ですか?

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    街で勝手に撮影したと警察に呼び止められました。これって違法ですか?

    さすがに警察に抗議するのは気が引けちゃいますけどね...

    はっきり言いまして、もうこの世の中でカメラを持ち歩いてない人なんていないんじゃないでしょうか? 別にプロのカメラマンとかじゃなくっても、なかなか高性能なカメラを普通に持ってる人が増えてますし、そもそも日本ではデジタルカメラ機能が付いていない携帯電話を使っている人を探すほうが難しかったりするかもしれません。

    ところが、こういう昔はなかったカメラの急速な普及によって、最近は世界の各地で撮影をめぐるトラブルが増えているそうですね。公共の場でパシャパシャと写真を撮っていると、突然ですが呼び止められて、「こんな所で撮影してはいけないよ」などと注意されちゃうわけです。あるいは、いきなり何かの事件が目の前で発生してしまって、現場へ駆けつけた警察官の様子なんかをビデオカメラを回して収録していたら、自分のほうへ警察官が走り寄ってきて、「そこの撮影をやめろ」って怒られちゃうといったケースですかね。しかも最悪の場合は、ドサクサにまぎれてカメラを没収されたり、その場で撮影した写真を削除するように求められたりしちゃいます。

    でも、そもそもこれって本当にイケない違法行為なんでしょうか? 公共の場で撮影許可も得ることなく動画や写真を撮ったらダメなんでしょうか?

    いえいえ、いくら偉そうな人や警察官に妨げられたとしても、その主張こそが実は個人の権利の侵害で違法だったりもするようですよ。日本と海外では事情が異なることもあるでしょうけど、ちょっと米国での最新事情に目を向けまして、米GIZMODO編集チームがまとめた対策マニュアルをチェックしておくことにいたしましょう。覚えていて損はないかもですよ。

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    どうやらアメリカでは、このところ各所で警察官などに呼び止められて、ケータイやデジカメで撮影していた動画や写真を差し押さえられるだなんて困った事例が多数報告されているみたいですね。

    • あるアムトラック(Amtrak)の職員が、FOXテレビの取材インタビューに対して、首都ワシントンDCのユニオン駅(Union Station)構内をバックにして答えるシーンを録画していたところ、いきなり警備員に近寄られて、撮影を中止して出て行くように指示された。事前にユニオン駅のほうには撮影について説明し、特に許可を必要としないとの通達を得ていたにもかかわらず、警備員から厳しい姿勢で駅構内から追い出されてしまった。
    • シアトル在住のカメラマンのボグダンさんは、事件の発生現場に急行して、警察官による犯人逮捕の一部始終を写真に収めていたところ、警察官の1人が怒って近づいてきて、写真を撮ったりしてはいけないと厳しい口調で詰め寄られ、そのまま大切なカメラまで没収されてしまった。
    • NASA職員のウォルターさんは、インディアナポリスで開かれていた展覧会の様子を撮影していたところ、公共の施設を写真に収めていたにもかかわらず、テロ対策の一環で施設の写真を一般人が撮ることは許可されていないと警察官に厳しく注意された。
    • メキシコ湾の原油流出事故で、大量の原油が海岸に押し寄せて汚染されてしまった様子を、CBSニュースの撮影スタッフがビデオ収録していたところ、現場をパトロールしていた2人の沿岸警備隊(Coast Guard)に呼び止められ、二度と撮影に訪れてはならないと激しく追い返されてしまった。

    いずれも最近の事例ばかりなのですが、こうして報告されているケースだけでも紹介しきれないほどの情報が寄せられており、一般市民が公共の場所での撮影を問題視される例は枚挙にいとまがないようです。

    とはいえ、こうした問題を専門的に扱う弁護士のバートさんによれば、上に挙げたような事例のいずれも、まったく撮影を妨げる法的な根拠はないとのことですよ。むしろ、権力を乱用して撮影を中止させた側のほうに、米国の法的に見ても大きな問題があるそうですね。

    簡単に説明しておきますと、もし屋外の公の場所で起きていることであれば、だれでも何の許可も得ることなく撮影することができます。それが歩道であったり、自動車やバスの走る道路上であったり、公園や広場であったり、山や丘や海や川など、どこであれ公共の場で写真を撮ることに対して、だれにもとがめだてする権利はありません。

    もちろん、これには数多くの例外だって存在します。たとえば、ショッピングモールの警備員が、この中は許可なく撮影をしてはいけないとの規則が定められているので、それを守ってほしいと近寄ってくることはあるでしょう。でも、警察官が路上で交通整理をしているとします。その様子をビデオや写真に収めることは、ニューヨークのタイムズ・スクウェアに観光に来た人が、その場に居合わせる大勢の人々をバックに写真を撮っていることと、プライバシーや法的な権利という意味では何ら違いも見出せないでしょう。

    もちろん警察官などの職務執行妨害になる仕方で撮影に飛び込むようなことは許されません。でも、特に問題とならない場所で撮影している人たちに対しては、たとえ最近になって制定された愛国者法(Patriot Act)や国土安全保障法(Homeland Security Act)を持ち出しても、撮影を禁止することはできないと思います。なぜなら、このいずれの法律にも一般市民による公の場所での撮影を禁じる条項などないからです。

    とはいえ、このところ警察官や警備員などに、もっともらしく法的な根拠があるかのような説明を受けて、実際には撮影を禁じることなどできない様々な場所で、一般市民がビデオ録画や写真撮影を中止させられる事件が相次いでいるのは残念なことです。

    なるほど。当然ながら、個人の名誉毀損になるような仕方で勝手に他人の写真を撮りまくることは許されませんけど、特別な許可を得ていないとカメラが使えないような公共の場所というのはほとんどないということなんでしょうかね。

    ある場所の撮影を、テロリストによる襲撃の下準備などに悪用されるといった理由で禁止されてしまう例が多いとも聞いています。しかしながら、わざわざ現場を一生懸命に写真に収めてから襲撃するテロリストというのは皆無でしょうね。世界貿易センタービルが狙われた9・11テロ事件、モスクワやロンドンの地下鉄の爆破テロでも、テロ実行犯が現場を事前に撮影してから犯行に及んだなどといった話は聞きません。

    ですから、何らかの保安上の理由を持ち出して、特に撮影が禁じられていない場所でのカメラの使用を中止させられる場合、そこには何ら合理的かつ法的な根拠は存在しません。明らかに警察官や警備員による職権乱用に当たると思います。

    そう語ったのは、British Telecomのセキュリティー開発部門を統括するブルースさんですが、なんでも実際のケースとしては、何かの事件発生時には、その事件発生前に現場でビデオや写真を撮っていた観光客などにも警察が近づいて、貴重な証拠の提供に協力してほしいと、その撮影情報がリクエストされるのが常であり、このこと自体が撮影の合法性を証明しているとのことです。確かに以前にニューヨークのタイムズ・スクウェアで自動車爆弾によるテロ未遂事件が起きた時も、各所に設置されていた監視カメラからの情報のみならず、観光客による撮影ビデオや写真が、警察による捜査でフル活用されたという話ですからね。

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    では、もしも上に紹介したような状況で、明らかに撮影に問題のないはずの場所なのに警察官などに近づかれて、撮影をやめるように命令されたりした場合、どのように対応するのがいいのでしょうか。

    日本では状況が異なることもあるかもしれませんが、今回、米GIZMODO編集チームが練り上げた必勝対策マニュアルを以下にご紹介いたしましょう。

    1. まずは冷静になる。こちらが声を荒立ててケンカ腰になるのではなく、できるだけ丁寧に穏やかなトーンで答える姿勢に徹したほうが、物事がうまくいくケースは多い。
    2. 「どのような法律を根拠に撮影を中止しなければならないのかを分かりやすく説明していただけないでしょうか?」と尋ねてみる。路上や公園など、パブリックな場所で撮影を禁じる法律は一切存在しないはずである。ただし、ショッピングモールなど、一部の場所では撮影を禁じる規則が明らかに定められている。
    3. 警察を呼んでもらう。一般の警備員に撮影を問題視された場合、上の質問でも引き下がろうとしない時は、警察官から職権乱用であることを説明してもらったほうがよい。
    4. 警察官が法律を理解していない場合、別の警察官(できれば上の立場の巡査長や警部などが好ましい)を呼んでもらって、現場で一緒に話し合ってもらう。

    残念ながら、ここまで徹底して抗議してみても納得してもらえなかった場合は、いつまでも平行線をたどるしかないので立ち去るしかなさそうですが、米GIZMODO編集チームが最も強調しているのは、絶対にカメラの没収や撮影動画・写真の削除などにだけは応じてはならないという点です。これだけはどんな法律に照らし合わせてみても、そう警察官に命じられる筋合いはまったくないとのことですよ。

    いかがでしたか? 日本での詳しい実態なんかも、とりわけ同じような目に遭ってしまったというギズ読者の皆さまがおられれば、ぜひコメント欄にて教えてくださいね。ちなみにイギリスでは、こういう一連の撮影をめぐる個人の権利に関して、警察官を対象にした再教育が進められているため、観光客や一般市民が不快な思いで悩むケースは非常に少ないとのことです。本当はそれが一番ですよね...

    [Popular Mechanics]

    Sam Biddle(原文/湯木進悟)