音声認識もここまできたか...
インテックス大阪にて開催された「震災対策技術展」ですが、大地震や自然災害という緊急事態への備えに役立つテクノロジーは、防犯対策にも威力を発揮するという観点から、なかなか興味深い展示が満載でしたよ。
その中でも、レイトロンのブースでは、北海道大学大学院の宮永研究室との産学共同研究で誕生した音声認識システムに改良を加えて、本当に危険な犯罪が生じた時だけ自動レスキューに向かえる新技術が発表されていました!
まだ評価用のボードなどがメーカーに提供されている段階ですが、これからほぼ確実に街中の各所へ導入設置されていきそうな雰囲気です。賢く進化した音声認識技術の最先端を、どうぞ続きからご覧くださいませ。
すでにエレベーターなどでは、非常に大きな叫び声などに反応して緊急通報するシステムが導入されているケースもあるようですが、あまりにも誤作動が多くて、それほど評判は良くないみたいです。赤ちゃんの泣き声だとか、子ども同士がワイワイと騒ぎ立てる声なんかにも簡単に反応してしまい、それでもって肝心の助けを求める叫び声には何の反応も返さないなんて困った事態が度々生じているんだとか。
そこで、レイトロンが開発を進めたのは、これまでの音圧レベルの感度センサーではなく、特に襲われてしまったりしてヘルプを願う女性の悲鳴の特徴を徹底的に研究させて、まさに事件発生時に本当にレスキューへと急行できる最新音声認識システムです。実際に女性の叫び声を聞き取ると、声の大きさには関係なく、瞬時に上の写真のようにパトライトが回ってサイレンが鳴り出しましたよ。
これを街中の監視カメラにセットしておけば、まずは初期段階の防犯対策として、現場周囲の自動警戒システムをオンにし、警報サウンドや警戒ライトで暴漢を威嚇できるほか、直ちに通報を受けた保安責任者や警官が救助に駆けつけられるというわけですね。すでに複数の製品メーカーが評価を進めているため、今後数年以内には日本の各地で導入が進んでいく可能性が高いそうです。
こちらは実際にレイトロンの音声認識技術を採用したコミュニケーションロボット「Chapit」なんですけど、人間が出す特定の日本語コマンドを聞き分けて、キュートに光りながら反応してくれます。上の写真では、「テレビをつけてほしい」という命令に答えてくれましたが、雑音が多い展示会場の中にいながらも、少し遠く離れた人間の声を賢く聞ける完成度はなかなかのものでしたよ。マイクのほうに向かって語りかけられたわけではないのに、自然と周囲の会話から特定コマンドのみを拾い出せる技術レベルの達成は、実はかなり難しいんですってね...
他の応用例といたしましては、こちらの音声操作可能なアラームクロックに、レスキュー対応機能を搭載しちゃいましたよ。「助けて」などのヘルプを求める言葉に反応し、瞬時にライトが点灯するほか、Bluetoothで緊急無線信号を飛ばして、他の場所にいる人へ緊急コールを発信してくれます。お年寄りが部屋で倒れてしまったのに、他の部屋にいる家族は同じ家の中にいても気づかなかったなんて事態を未然に防いでくれるそうです。今後の標準的なケアシステムに採用されていく可能性もありますね。
[震災対策技術展]
(湯木進悟)