偽パイロット、旅客機を13年間操縦、無事故

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偽パイロット、旅客機を13年間操縦、無事故
この御方は現代のアバネイル、トーマス・サルメ(Thomas Salme)。

―フライトシミュレータで幾晩か飛行演習を重ね、偽の飛行機操縦免許を刷ってボーイング737のパイロットになりすました整備技師です。この13年、何百何千という乗客が乗る旅客機を大過なく操縦してきたって言うんだから...驚きなんてもんじゃないですよね! いろんな意味で!

彼が往復してたのは、スウェーデンとヨーロッパ一円を結ぶ区間です。数ヶ月前、警察に逮捕されるまで誰ひとり偽パイロットとは気付かなかったそうですよ? 逮捕時、サルメ偽副操縦士はアムステルダムのスキポール国際空港で乗客101人が乗るボーイング737のコックピットで離陸準備の最中でした。

逮捕後はバカなことしてしまった...と認めています。

本物の飛行機副操縦士に出願する、そんなイカれた考えがひらめいて、普通の白い紙でロゴ入りのスウェーデンの飛行機操縦資格免許を自作したんだ。

ラミネート加工はしてなかったし、見るからに家で手作りしました、という外観。驚くほど簡単にできた

この証明書は同じヨーロッパでも地域によって全部見た目が違うんだよね。イタリアの飛行機はスウェーデンの免許がどんな見かけか知らないし、その気になれば必要なIDは全部偽造が可能だ。そこで、あっちで一度に2・3時間訓練を受けた。--訓練は1年半で最低15~20回受けなきゃならないから。

む~なんという...。

気になる処罰ですが、大勢の命を危険に晒した(てか無事運んだ)にも関わらず、罰金数千ドルと1年間の飛行停止処分だけなんですね。一瞬「ええっ」と思ってしまいますけど、よく考えてみれば妥当なラインかも。

もちろん大芝居うつ方が悪いに決まってますけど、全部が全部彼ひとりの過ちじゃないですもんね。航空会社と飛行場の関係者は何してたんでしょ? ただの紙コピーひとつで、履歴検査もないままどこの誰とも知れない人をコックピットに通してたんですよ。詳しい手口分からないけど、もしかしてコンピュータちょちょっと検索するだけで最初から防げてた事件なんじゃ...

世紀のイケメン詐欺師フランク・アバネイルJr.が暗躍した60年代ならいざ知らず、今の時代にこれじゃあ言い訳立ちませんよね。

面目丸潰れなのは空港当局です。乗客はありとあらゆるアホなセキュリティ手順であんな細かく調べるくせに、ほらほら、パイロットがザルですよ~ザル

[Focus]

Jesus Diaz(原文/satomi)