さて、Microsoftの最新モバイルOSとGoogleのそれとの最大の違いはなんでしょう?
それは、MicrosoftはOSは有料でGoogleのAndroidは無料だということです。(AppleやRIMのような大手競合他社は第3者にOSのライセンス許可を行っていません。)
さて、Microsoftのこの各キャリアへの有料OS提供。これはMicrosoftにとって命取りになるのではないでしょうか?
Microsoftが過去の栄光を再び手にするためには、できることはすべてやっていくべきです。そしてモバイルOSの世界でできることとは無料vs無料で戦っていくということです。
確かに過去に有料で提供していたものを無料で配るというやり方はMicrosoftのビジネスモデルに傷をつけることになるでしょう。しかし、このモバイルOS業界に若干遅れて参入した彼らは、もうどちらにしても傷をうける状況になっているのです。それなら無料化によって新たにうける傷なんて大したことはない、むしろ逆にそれを薬にかえていく姿勢が必要だと思います。
そもそも言ってしまえば、Microsoftはあまりに大きな会社なので、この新たなWindows PhoneのOSがどう転ぼうとも会社の指針を大きく変えることはきっと無理でしょう。それならもういっそのことライバルであるGoogleのやり方を採用して無料提供しに踏み切り、端末自体の売り上げアップ、それによる市場シェアの獲得を狙ったほうが明るい未来が待っている気がします。
続きどぞ!2月15日のKeynoteでCEOのSteve Ballmer氏は今後も今までのWindows Mobileのビジネスモデルでやっていくと発表しました。つまりWindows Phone 7シリーズを作る各端末製造業者に対してチャージしていくぞ、ということです。
なぜ、今までのやり方を変えようとしないのでしょうか?
Ballmer氏曰く、
「我々のビジネスモデルはとても簡単でわかりやすいものだと思います。モノをつくる、そしてそれを売る。ただそれだけです。これは我々にとってベストなやり方であるというだけでなく、開発者や端末製造者、またはそのオペレーティングパートナー達にとってもわかりやすく、取り組みやすく、そして作りやすいモデルであると思っています。」
確かにそれはそうですねぇ。しかしここで注目したいのはMicrosoftがチャージするスマートフォンのOSのライセンス料。ほんのごくわずかなものなのです。そしてこれからその値段はより下がっていくと思われます。
今後スマートフォン市場が驚異的に拡大したとして、そしてMicrosoftがその市場を大きく獲得したとしてもWindows Phone 7のOSから得る事ができる利益はわずかなものです。
わずかな...。そう巨大企業Microsoftの舵をとっていけるような大きな利益ではないでしょう。つまりここから得られる利益で何かを変えていけるわけではないということ。そのくせ端末製造業者(LG、Samsung、HTC、Sony Ericsson、Motorola等)にとっては、どのOSを自分のとこの端末に持ってくるかを考える上で絶対的に足踏みをしてしまうものになってしまうのです。
さて、ここでモバイルOSのライセンスからMicrosoftが得られる収益がどのくらいか予想してみましょう。
予想幅は5ドルから20ドル。
- 5ドル=もしGoogleの戦略におされてMicrosoftが値段を下げたら...の場合
- 20ドル=もし各端末製造業者がWindows Phone 7大絶賛でそれくらいの料金を払うのをものともしないとしたら...の場合
- Microsoftはパートナーの端末製造業者がWindowsのモバイルOSにいくらライセンス料を払っているのかはっきり教えてくれないので、過去のStrategy Analyticsの調査結果による1台につき約8ドルから15ドルという幅をもとに予想幅を設定
- 2011年には世界でスマートフォン市場が2億5千万台出荷規模になっている、さらにMicrosoftの新OSが市場にでて丸1年で5%から15%のシェアを獲得する、少なくても1250万台、多くて3750万台の出荷をするという仮定のもとで予想
(ちなみにIDCの調査によると、2009年のスマートフォンの市場は1750万台だそうです。)
結果はこのように。
Microsoftがライセンス料で得られる収益は6千3百万ドルから7億5千万ドル(約58億円から690億円)という結果になります。妥当なところでまぁ、3億ドル(約276億円)として。3億ドルだぜ、と言われるとおぉーと思ってしまいますが、巨大企業Microsoftにしてみれば全体の収益660億ドル(約6兆円)のなんとたった0.5%にも満たない額なのです。...たった、たった0.5パーなのか!
(※660億ドルはウォール・ストリート紙による2011年の収益予想額です。)
確かに予想にすぎません。しかしこの結果を元にして考える限り有料モバイルOSで得られる収益なんてほんの微量。つまりOS有料にしようがしまいがMicrosftにとって大きな変化はないということですよね。
だったらなんだってそんな面倒なマネを?
OSを無料化し、各端末製造業者が今予定している以上にWindows Phoneを生産する、そして卸売り価格が低くなり小売価格も低くなる。そんなヴィジョンを見るほうがいいのでは。そうすることによってMicrosoftにとって小さな本当に小さな金銭面でのマイナスがあっても、シェアは大きくなりますよね。
さて、それではMicrosoftは一体どうやってWindows Phoneでお金儲けをしようとしているのでしょうか? もちろんライセンス料以外ってことでです。はてさて...?
考えられるのは、アプリの売上金の一部、Xbox liveやZune音楽アカウントから、もしくは携帯用の検索やら広告をいれるというものです。もちろんこれらの考えも初めの収益は大きなものではないでしょう、しかし今後とても大きく育つ可能性は十分あります。そして大きく育つためにはより多くのユーザーが必要ですよね。ってことはやっぱりライセンス料なんてやめてシェア拡大を。...と初めに戻ってきましたねぇ。
それとももしかして、Appleのように今後、ハードもソフトも両方手がけるつもりなんでしょうか?
うーん、やっぱりはてさて...。
The Business Insider(原文/そうこ)