12月14日夜、北九州市で起きた中学生殺傷事件で入院中の男子生徒の傷が致命傷になりかねない深いものだったことが判明した。
現場に急行する警察車両や救急車
事件後、初めての平日となった16日の月曜日。現場近くにある小学校の登校風景。子どもたちの隣には保護者の姿があった。犯人が捕まらない状況が続き不安が広がっている。
この記事の画像(12枚)保護者は「家からできるだけでないようにしたいと思っている」(女性)、「学校に相談して、家でもできればオンラインで。犯人が捕まるまでしばらくは通ってもらうのは怖いかな」(男性)と不安げな面持ちだ。
事件が起きたのは12月14日午後8時半前。取材班が入手した防犯カメラ映像には事件現場に急行する警察車両や救急車などが映っている。
現場となったのは北九州市小倉南区徳力にある「マクドナルド」の店舗。店内のレジに並んでいた中学3年生の中島咲彩さん(15)と同級生の男子生徒(15)が店に入ってきた男から無言のまま刃物のようなもので1回ずつ刺された。2人は塾帰りだった。
僅か30秒足らずの凶行
事件当時店内にいた人は「ご飯食べようと食べ始めたときに、店員が『オーナー呼んだ方がよくない?』と話していて…。ちょっと後に『みんな帰らせた方が良い』と自分たち、お客さんたちを全員帰すようになって、立ち上がったときに通路側の方を見たら女性がうつ伏せで倒れていて」と話す。
店内の見取り図を示し「女子生徒はこの辺に倒れていた。自分はここにいた」と指差す。「ずっとゼー、ハー、ゼー、ハー、息の音だけ聞こえるという感じ。何かあったのか?と思っている時に『刺された』とか会話も聞こえてきて…」と当時のようすを振り返った。
2人を刺した男は刃物のようなものを持ったまま店の外へ。徒歩で北の方向に逃げて行った。男が店に姿を見せてから立ち去るまで、僅か30秒足らずの凶行だった。
腹部を刺された中島さんは失血により死亡し、身を守ろうとした時にできる「防御創」は、なかった。
致命傷になりかねない深い傷
腰のあたりを刺された男子生徒は、命に別条はなかったものの、その後の捜査関係者への取材で致命傷になりかねない深さの傷だったことが新たに判明した。捜査本部は、男が男子生徒に対しても殺意を持っていたとみている。
近くに住む人は「サイレンが凄くて、びっくりした。怖いですね。この辺で聞いたことがないので、怖いですね。犯人は早く捕まってほしい」と不安を隠さない。
犯人は今どこにいるのか。そしてなぜ2人を襲ったのか。
男子生徒は搬送される際「犯人は全く知らない人」と話していたという。
警察によると逃げた男は、年齢40歳くらいで身長は約170センチ。体型は中肉で、髪型は耳にかかるくらいの茶髪。灰色の上着に黒色のズボン、黄色っぽいサンダルを履いていたという。
同級生にも広がった衝撃
一方、被害に遭った2人が通っていた北九州市の中学校。16日は事件を受け臨時休校の措置が取られた。門が閉ざされて校舎は静まり返っていた。取材に応じてくれた同級生は「悲しいです。亡くなった中島さんは、友だちと話しながら楽しく明るかったです」と話してくれた。
事件を受けて、警察は小倉南警察署の警察官に加えて、北九州地区の警察署から約90人のほか、県警の応援部隊や機動隊などから約50人を増員して警戒活動を行っている。警戒活動は登下校中の時間帯や夜間を中心に行われ、学校付近を重点的にパトロールするという。
(テレビ西日本)