Home > News > Masaya Nakahara - ——中原昌也の新刊『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』
中原昌也の新刊『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』がじつに面白い、うん、ときに切なくなるけど面白い、です。「生死の淵をさまよう闘病生活の果てに、左側麻痺の身となりながら生還した偉大な作家の驚異的な軌跡(奇跡!)。待望の生還第一作にして、病の前後を記録した前代未聞のエッセイ集」というのが版元による紹介文です。なにぶん、中原氏は以前のような執筆活動はできない状態なので「語り」になりますが、現在の彼の「はじめに」と「おわりに」があります。そのあいだには中原氏の入院前とその後に書いた既発の日記/原稿がエディットされているわけですが、これが編集者の技術によって、まさに中原節と言いますか、ショーペンハウアーも凌ぐペシミズムとリー・ペリーにも匹敵する超越的な眼差しやふさふさした動物のようなものが渾然一体化したひとつの物語として巧妙に構成されいるのです。あらためてこの人間の存在感、輪郭、思想というか習性というか特性というか、そんなものが浮き彫りにされている次第で、いったい中原昌也という人は……最近はライヴ活動も精力的にやっていますが、ガンバレ昌也です(俺もがんばる)。
ファンの方へ。別冊エレキングの『誰かと日本映画の話をしてみたい』には、三田格との対談があります。(キング・タビーの評伝がどうしても読みたいというので、先日、届けてきました)
中原昌也
偉大な作家生活には病院生活が必要だ
河出書房新社
12/27発売