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【24年秋ドラマ】『わたしの宝物』第9話 田中圭と深澤辰哉、どっちが悪い? 「悪趣味な観察記録」の結末は

田中圭(GettyImages)

 おもしろいことが起こっているな、と思うのは、ドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)のみなさんの感想などSNSで探ってみますと、けっこう「冬月が悪い」と「ヒロキが悪い」という両極端の意見があったりするわけです。冬月を演じているSnow Man・深澤辰哉のファンの方は冬月派で、ヒロキ役の田中圭のファンはヒロキ派という傾向が強いようです。

 そりゃ画面に映っているこの男を愛せるかどうかなんて顔要素が占める割合が大きいのは自然なことですし、実際の恋愛や結婚だって相手の見た目がドンピシャに好みなら許せないことも許せてしまうのが生き物としての摂理でしょう。

 ただ、どちらのファンも「担当にこんな役をやらせてかわいそう」とは思っていない感じがするんですよね。それは、冬月もヒロキもよくないところは大いにあるけど、その事情がちゃんと視聴者に伝わっているということなんだと思うんです。モラハラに明け暮れていたヒロキも、人妻相手に避妊しなかった冬月も、基本的には悪いやつじゃないし、けっこう真面目に生きているし、人としての優しさがあるということが伝わっている。その上で、好きだ嫌いだという判断をされている。

 その分、リサ(さとうほなみ)とマコト(恒松祐里)という女性2人が割を食ってる感じはしますが、今回はリサがしこたまやられましたね。女として、背負ってるものが違いすぎたね。

「よっぽど好きなんですねえ、冬月さんのこと。……嫉妬ですか?」と言ったときの、ミワ(松本若菜)の顔。言われたリサの顔。こういう人間の意志と怨念の宿った顔を見るためにドラマを見ているといっても過言ではありません。第9話、振り返りましょう。

■その顔に水びしゃーん!

 冬月に誘われて参加したフリマの事後取材という名目でミワさんを呼び出したリサ。面と向かってミワの冬月との不倫を糾弾しますが、その論旨は主に「ミワが年下の冬月をたぶらかした」「冬月が傷ついている」というものでした。

 黙って聞いていたミワですが、ふと悪女の顔で面を上げると、リサを見据えます。

「嫉妬ですか?」

 完全なる女マウント。一方的に責めつけてやるつもりで来たリサは狼狽し、その悪い顔の女にグラスの水をぶっかけて去っていくのでした。

 この一連で覚悟を決めたミワさん、本格的に就職活動を始め、役所に行ってひとり親に下りる補助金について調べたりと離婚の準備に取り掛かりました。

 一方、馴染みの喫茶店で冬月と向かい合うヒロキ。煮え切らない冬月の態度に業を煮やして胸倉をつかみ上げますが、どうやら冬月は栞ちゃんが自分の子どもだと知らないことに気づき、気持ちのやり場を失ってしまいます。それでも、自分の愛する妻を寝取った男を助けてやる義理はありません。私怨を仕事に持ち込み、冬月の経営する会社への資金提供を打ち切り、息の根を止めてやることにしました。

 そして最後に、ヒロキはミワからもう一度話を聞くことにします。海の見えるベンチにミワを誘い、すべてを話してほしいと告げるヒロキ。そんなヒロキに、ミワは冬月との情事について、冬月がアフリカで死んだと思い、托卵を決意したこと、それにヒロキがつけてくれた「栞」という名前には、反対すればよかった、あの母子手帳に挟まっていた栞は、冬月との思い出なのだと打ち明けました。

 そして、本当にヒロキと栞と、3人でやり直そうと思っていたことも。

 冬月は栞が自分の子であることに思い至りますが、身を引くことにしました。マコトの店で、自分に栞を抱かせようとしなかったミワ、「夫婦の問題だ」と自分をはねつけたミワの姿が浮かびます。

 離婚協議が進む中、大人だったのはヒロキでした。部下に仕事を引き継ぐことで冬月の会社への融資を決め、栞とは二度と会わない決意をします。

「最後にもう一度、3人で会いたい」

 弁護士を通じてそうミワに伝えたヒロキでしたが、待ち合わせ場所で待っているミワの前に現れたのは、ヒロキに呼び出された冬月でした。

 3人で暮らすはずだったマンションから退去し、新しいアパートでスマホから栞の写真を1枚ずつ削除していくヒロキ。画面には「削除された写真は“最近削除した項目”に30日間残ります」と表示されていますが、30日後にはヒロキの人生から栞という存在が消えることになります。

 栞と出会ってから、まだ数カ月。楽しかった日々は、そうして終わるのでした。

■悪趣味な観察記録

 第1話のレビューで「こうなっちゃった夫婦が今後どうなっていくのかという、ある意味で悪趣味な観察記録を見ていくようなドラマになっていくのでしょう」と書きました。

 当時のヒロキはバリバリのハラスメント野郎でした。

 そのヒロキが、生まれた赤ちゃんの顔を見て完全無欠のイクメンパパへと変貌し、本気でこの子の幸せを願ってむちゃくちゃ真剣に考えた名前が「栞」だったことで、結果、ミワの冬月への思いを知ることになってしまった。

 ああ、残酷な運命……なんて勘違いしそうになりますが、この話は作り物ですからね。運命でもなんでもなく、こうやって登場人物たちを苦しめて、その苦しむ顔を大勢の人に見せてやろうって魂胆の大人たちがいるということです。

 見てる方も悪趣味だけど、やっぱ作ってるやつらがいちばん悪趣味だよな。大好き。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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どらまっ子です。

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最終更新:2024/12/13 13:00
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