空爆で90人死亡、停戦計画発表の直後 シリア
(CNN) シリア北西部が10日から11日にかけて空爆され、人権団体によると少なくとも90人が死亡した。米国とロシアは9日に停戦の計画を発表したばかりだった。
非政府組織のシリア人権監視団(本部・英国)によると、今回の空爆は反体制派が制圧する北西部のイドリブと、北部のアレッポに対して行われた。
現地入りしていた活動家によれば、イドリブでは大勢の人でにぎわう市場が狙われて少なくとも61人が死亡、100人以上が負傷した。現地時間の午後0時半ごろジェット機が現れ、市場の中心部にロケット弾2~3発が着弾したという。
現場からの映像には、救助隊ががれきの山をかき分けて捜索救助活動を行う姿が映っている。
シリアでは12日の日没時から全土で停戦の発効が予定されている。国営テレビによれば、シリア政府も停戦を支持すると表明した。
米国務省のケリー長官は停戦の計画を発表した時点で、シリア空軍が反体制派の拠点で戦闘任務を実施することはできなくなると説明し、その条項が停戦合意の要になると指摘。市民を死傷させ、難民を発生させている最大の要因はシリア空軍だとの見方を示していた。
シリアではケリー長官とロシアのラブロフ外相の話し合いを通じて今年2月にも休戦合意が成立したが、わずか数週間で破られた。政治的解決を目指す外交努力は崩壊の瀬戸際に追い込まれている。