男性の精子の減少、携帯電話の使用と関係か 最新研究
(CNN) 世界中で男性の精子の数が激減している現象と、携帯電話やスマートフォンの使用との関係について調べた最新の研究結果がこのほど発表された。
男性の精子の数は過去50年の間に世界で50%以上減少しており、食品や水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)など有害性が指摘される物質との関係や、肥満や慢性疾患の増加との関係などについて研究が進められている。
今回の研究は携帯電話との関係に着目し、18~22歳の男性について調査した。その結果、1日にスマートフォンを20回以上使うという男性は、精子の数が減少するリスクが21%高いことが判明。精液1ミリリットルに含まれる精子の濃度が低いリスクも30%高いことが分かった。
携帯電話の使用が1日1~5回、または週1回にも満たないという男性は、精子の数がはるかに多く、濃度も高かった。精子の数は携帯電話の使用が増えるほど少なくなり、1日20回以上携帯電話を使うという男性は最も少なかった。
一方で、精子の形状や目標に向かって泳ぐ運動能力に減退は見られなかった。
ただ、過去13年の携帯電話技術の進展に伴い、精子に与える影響は軽減され始めている。高速通信規格の旧規格2Gおよび3Gを使う携帯電話は、4Gや5Gの携帯電話に比べて精子の数に与える影響が大きいと、英マンチェスター大学の専門家(今回の研究にはかかわっていない)は解説する。
最新研究によると、年月ごとの調査で精子の減少と携帯電話使用との関係が最も大きかったのは、2005年~07年にかけてだった。2Gから5Gに切り替わるにつれてこの関係が減退しているのは、「携帯電話の出力低下に対応」した現象だと研究者は指摘している。
携帯電話は無線周波電磁界(RF―EMF)を発生させる。最新研究によれば、出力が最も高い状態では周辺の組織の温度が最大で0.5度高くなる可能性がある。
「携帯電話は常に信号を送受信していて、使用時は送受信する信号がさらに強くなる」。米ユタ大学医学校の研究者(今回の研究にはかかわっていない)はそう解説する。「ただし現代の携帯電話では、通話しているのかデータを送信しているのかによって、その信号は大きく異なる」
米カリフォルニア州公衆衛生局によると、無線周波電磁界の強度はメールなど文字の送受信時が最も弱く、大容量ファイルをダウンロードする際や音声または動画配信の利用時、電波強度表示のバーが1~2本の時、高速で移動するバスや車、列車の車内にいる時が最も強い。
このため携帯電話は体や頭から離してスピーカーホンやヘッドホンを利用し、かばんやバッグに入れて持ち歩くよう同局は勧告している。
ただし無線周波電磁界と男性不妊との関係については学界でも長年の論議が続いている。