日本で『スター・ウォーズ』は撮影できるのか?最新作プロデューサーに聞いてみた【来日インタビュー】
『スター・ウォーズ』シリーズ最新作「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2のトニー・ギルロイ(脚本・製作総指揮)とジェネヴィーヴ・オライリー(モン・モスマ役)が、千葉・幕張メッセで開催された公式ファンイベント「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」の会場でインタビューに応じ、日本でシリーズ作品が撮影できる可能性について語った。
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日本は、『スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカスが、黒澤明監督の時代劇などからインスピレーションを得たと公言する創造のルーツとして知られている。直近では、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で高田馬場が由来の惑星タコダナが登場したり、修復されたカイロ・レンのマスクに金継ぎ(日本の伝統的な修理法)の影響が見られた。また、日本のアニメ文化の精神を注いだプロジェクト「スター・ウォーズ:ビジョンズ」も展開されており、日本とのつながりが色濃くなっている。
最新作「キャシアン・アンドー」を手がけたギルロイも「日本は本当に素晴らしいです」と切り出し、日本での撮影について「答えはもちろんイエスです」と興味を示している。「毎回新しい惑星を出すたびに、新鮮さが求められるのですが、私たちが探しているのは、拡張可能な建物や空間なんです。そこにセットを付け足す形で作っていきます。そういう意味では、日本の建築やスケール、自然の風景は本当に魅力的です」
しかし、実現はそう簡単ではない。撮影場所の許可取りが難しく、日本ロケを断念したハリウッド映画も過去に何本も存在する。ギルロイも「おそらく『スター・ウォーズ』の映画であれば可能かもしれませんが、テレビシリーズでは正直言って厳しいと思います」と現実的な回答を残した。

「キャシアン・アンドー」シーズン2では、スペイン・バレンシアの「芸術科学都市」で撮影を敢行するなど、実在する建造物や風景を世界観に落とし込んできた。ギルロイが指摘するのは、数千人というクルーを引き連れた日本までの移動コスト、複数のシーンを撮影できるロケーションだ。
「私たちにとって、移動は本当にコストがかかります。(『キャシアン・アンドー』の撮影で)スペインやカナリア諸島、スコットランドには行けましたが、2,500人以上のスタッフをどこかに連れていくとなると、本当に大変なんです。その移動に見合うだけの成果が得られないといけないですし、1か所でいくつもの撮影をこなせるような場所でないと難しいんです」
一方で、反乱軍の女性リーダー、モン・モスマ役を務めるジェネヴィーヴは「私は京都に行って撮影してみたいです。本当に特別な体験になると思います」と興味津々。「実際、どこまで現実的かはわかりませんが、日本のロケーションは本当に驚くほど素晴らしく、圧倒されるような美しさです。実現できるなら、企画を提案するべきです!」と呼びかけた。
映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)に直結するシーズン2をもって、「キャシアン・アンドー」は完結を迎える。ギルロイは、「私たちはこの作品を届ける日をずっと待っていました。全力を尽くしました。できる限りのことはすべてやったと断言できます」とシーズン2への手応えを明かし、「シーズン1を終えた時、ある程度評価をいただいて、話題にもなりました。でもその時、関わった全員が言ったんです。『それには囚われないでおこう。最後まで全力でやり切ろう。シーズン1で積み上げた信頼に、きちんと応えよう』と。それがシーズン2の目標となりました」と振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
ドラマ「キャシアン・アンドー」シーズン2はディズニープラスにて毎週水曜日に独占配信中