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北陸線・敦賀-米原間に「リレー快速」を  滋賀県が提唱、実現可能性は…

2023年8月22日 05時05分 (8月23日 10時37分更新)

現在、金沢-名古屋間などを運行する特急しらさぎ。北陸新幹線敦賀開業で北陸と中京を結ぶ鉄道アクセスの低下が懸念されている=滋賀県長浜市で

 北陸新幹線金沢-敦賀間の2024年春開業に合わせ、北陸線の敦賀-米原間に「リレー快速」を走らせる構想が出ている。敦賀延伸後、北陸-中京間は「金沢-名古屋直通」が敦賀乗り換えとなり、特急料金の値上げの懸念もあるためだ。滋賀県が創設を提唱し、実現すれば富山、石川両県民にとっても歓迎できる話。しかし、JR西日本は新型コロナ禍による利用客減で同区間の一部を減便しており、行方は見通せない。

新幹線延伸 中京へのアクセス懸念

 富山県内や金沢市、福井市から名古屋圏への主な鉄道移動手段は現在、金沢から名古屋直通の特急「しらさぎ」を使うか、しらさぎで米原まで行き、東海道新幹線に乗り換える方法がある。
 敦賀開業後にしらさぎが敦賀-名古屋間で運行すると仮定すると、富山、金沢、福井からだと当面「終着駅」となる敦賀でしらさぎに乗り換えて名古屋まで行くか、敦賀でしらさぎに、さらに米原で東海道新幹線へ乗り継ぐことになる。敦賀と米原で2回乗り換える場合、短時間の乗車を繰り返し、不便さが増す。
 料金も上がる見通しだ。敦賀延伸後の料金は発表されていないが、滋賀県が16年時点の国土交通省資料から出した試算によると、福井-名古屋間の最速パターンの特急料金は現行の2320円から4460円と2倍近くになる。
 富山県内からは現在も金沢で乗り継ぐ不都合があり、金沢や福井からだと現在の「乗り換えなし」がなくなるのに加え、特急料金の大幅アップで新幹線効果が薄くなる。こうした不都合を解消するのが、特急料金が不要で一定の速さもあるリレー快速。滋賀県は20年度からJR西や国に運行を求めている。
 敦賀発着の北陸新幹線は48往復と想定されているのに対し、北陸線の敦賀-米原間は現在、しらさぎと普通列車で23往復と約半分しかない。リレー快速ができれば新幹線からの接続本数が足りない分を補える狙いもある。
 敦賀延伸後の北陸-中京間の鉄道アクセスを巡っては、福井県や愛知県などが中部圏知事会議などで特急料金の軽減やしらさぎの運行本数維持・拡充などを訴えているが、JR西はコロナ禍で運行本数の拡充どころか維持も厳しいのが現状。例えば、北陸線の長浜(滋賀県)-米原間は21年10月に昼間の列車が30分に1本から1時間に1本に減便されたままだ。
 JR西はリレー快速について「現時点で決まっていることはない」としている。
 (伊東浩一)

【メモ】リレー快速 特急料金が不要で、速達性も備えた連絡列車。北陸新幹線と東海道新幹線との間でスムーズに乗り継ぎ、利便性低下を抑えるのが狙い。滋賀県はしらさぎの代替でなく、補完として位置付けている。

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