「人の顔や名前が覚えられない社会人の話」を描いたマンガがSNSで話題になっています。
漫画制作の背景について、トケイさんにお話を伺いました。
ーー多くの共感の声が寄せられていますが、どのように感じましたか?
この悩みを抱えているのは私一人ではなかったんだと、すごく気持ちが軽くなりました。
私もです!というコメントをいただく度に感謝の気持ちでいっぱいでした。
ーー寄せられたコメントの中で印象に残ったものはありますか?
「覚えられないのはあなたが他人に興味ないからだと指摘されて悲しくなった」という旨のコメントには声を上げて「わかる!!!!」と画面越しに叫んでいました。
違うんだよただただ覚えられないんだよ、ああでももしかしたら本当に冷たい人間なのかも…と悶々としていたので、あるあるを共有できてうれしかったです。
ーー「欠点はどうフォローするかが重要」と描かれていますが、実際にトケイさんはどのように対処をしていますか?
「これを開けば大丈夫」というノートやファイルを作って随時必要なことをメモしています。
ですが読み返さないと意味がないので、もっと短期的に重要なことは付箋を使っています。
ーー先輩から自分のいいところを教えてもらった時、どのように感じましたか?
すごく嬉しかったし、何より即答してくださったので「私ってすごく人に恵まれてるな」と思いました。
自分のことを他人が見てくれているってすごく貴重なことだと思うんです。
「先輩からしてもらったことは後輩に返しなさい」とも教えられているので、後輩や同僚に優しくありたいです。
ーー同じように、欠点や失敗で悩んでいる人々にメッセージをお願いします。
エッセイ内では最後前向きな描写をしていますが、正直今でも上がったり下がったりで気持ちが忙しい毎日です。
でも「ああ私みたいな人ってたくさんいるんだな」と知れるだけで気持ちの下がり幅が小さくなる気がしませんか。
「頑張ろう」もいいけれど、悩んでいる方って自分に厳しい方が多いと思うから「許していく」ことも悪くないかなって思います。
困ったらいろんな人や創作物にSOS出すのがいいかもしれません。解決の手立ては他の方が持っていることもありますし。
ーー漫画を描こうと思ったきっかけはなんですか?
ひたすら絵を描くのと漫画を読むのが大好きな子供でした。
小学生のころから気づいたらおはなしを考えて描いていたので、きっかけみたいなものはなく自然な移行だったかもしれません。
小学生の時描いていたのは、クラスのかっこいい男の子にデートに誘われて待ち合わせして買い物行って告白されて帰宅!みたいな漫画でした。
ーー会社員として働きながら、漫画の勉強をしているトケイさん。両立はどのようにしていますか?
実は両立できていなくて…
一日の仕事を終わらせてから家に速攻帰って漫画を描いていると、大体疲れてしまって描けない日ばかりです。
でもありがたいことに先月から「コルクラボマンガ専科」というところで講義を受けさせていただいていて、その課題等々をすることによって勉強ができています。
もっと沢山勉強したいのもあって、会社では漫画のことが頭にちらつきますね。これはメリハリできてない証拠なのでまだまだ模索中です。
ーー漫画を描く上で、大切にしていることはありますか?
こだわらないようにしようと思っています。と言えばかっこいいのですが、方向性が定まっていないというのが本当のところです。
ただ、講師やプロの方のアドバイスを素直に受け入れることと、やってみたいことは速攻やってみることを大切にしています。
その積み重ねで自分が見えてくる気がするので、面白そうなことにはすぐに飛びつくようにしています。
ーー今後はどのような漫画を描いていきたいですか?
「この漫画を読んでよかった」と感じてもらえる作品を作りたいというのが私の軸になっています。
今まで描いた長めの漫画で反応が良かった漫画は、すべて家族友人知人にあてたひそやかなメッセージを含んだ作品ばかりでした。
今思うと今回のエッセイも実は自分に対してのメッセージだったのかなと思います。
だから今後もおごらず、ひそやかにエールを送れる作品を作れる漫画家になりたいです。