クリスマスイブに仕事をするサラリーマンを描いたマンガが話題です。
SNSに漫画を投稿している、かっぱ子さん(@kappacooooo)がTwitterに作品を投稿したところ、「不覚にも泣いてしまった…」「心が暖かくなりました」など反響が寄せられました。
注目の投稿がこちらです。
「サラリーマンと屋上」
クリスマスイブの夜。主人公のサラリーマンは、仕事のミスで莫大な損失を生み出してしまいました。「命をもって償うしか…」と屋上から飛び降りようとしたところ、どこからか鈴の音が。
会社の屋上に現れたのは、ソリを引いたトナカイとサンタクロースでした。
見てはいけないものを見てしまったサラリーマン。同時に、人気者のサンタクロースが羨ましくなりました。
毎年クリスマスの日には、世界中の人がサンタクロースを待ちわびています。その一方で「自分には来るのを楽しみに待ってくれる人いない」と、つい心の声が漏れました。
それに対し、サンタクロースは「そんな事ないよ」と声を掛けます。
トナカイの鼻が最近光らないと言うサンタさん。それでも、主人公のサラリーマンのような人たちが、夜まで仕事をして街を照らすおかげで、道に迷わず安心して飛べるのだと、感謝の言葉を伝えました。
「僕なんて居なくなっても社会はまわるし…」と話す主人公に、サンタさんは優しい言葉をかけました。
「君は昔から想いやりのある子だったから…」
それは、主人公がまだ幼い子どもだった頃の話です。
サンタさんがたくさんの子どもの家に行って大変だからと、主人公の好きなイチゴミルクをサンタさんにあげようとしました。
子どもの頃の主人公は「きっとサンタさんも疲れちゃうから、ぼくが助けてあげるんだ」と笑顔で言ったのでした。
その頃のことを覚えていたサンタさん。大人になった主人公にイチゴミルクを渡すと、「メリークリスマス」と言い残し、去って行きました。
呆気にとられて空を見上げる主人公のもとに、後輩たちが「探しましたよ」と駆け寄りました。主人公の仕事のミスが、何とかなりそうだというのです。
「さっさと終わらせて飯食いに行きましょ」と言う後輩に、主人公はありがとうとだけ伝えました。
BuzzFeedは投稿者の、かっぱ子さんに話を聞きました。
「頑張る名も無き働く大人」をテーマにしたマンガを読みたくなり、この作品を描いたとかっぱ子さんは振り返ります。
普段から、新卒で入社した古い体制の中小企業のような「ゆるブラック企業」を題材に。SNSでマンガを投稿しています。
ブラック企業は「終電で帰れない」「ノルマが多い」「理不尽に怒鳴られる」「拘束時間が長い」などの特徴が思いつきます。
一方で、かっぱ子さんによると「 ゆるブラック企業」とは、それに比べたら“ブラック企業“という程でもない企業を表す造語だそうです。
かっぱ子さんが働いていた「ひょっとこ商事(仮の社名)」もそのような特徴を持った企業だったのだとか。
そんな「 ゆるブラック企業」について作品にしようと思ったきっかけは2つあるといいます。
1つ目は、「辛いけど同僚は普通に働いている」「こんな小さなことで弱音を吐いちゃだめだ」などの声を大にできない隠れブラック企業で働く人って実は多いのでは?と感じ、共感してくれる人がいるかなと思ったこと。
2つ目は、かっぱ子さん自身が「ゆるブラック企業」で働き、辛さを感じていた時の出来事がきっかけです。
当時、ただ辛いだけの愚痴を周りに撒き散らしたくないという理由で、おもしろおかしく周りの人に話していたそうです。すると、「絶対ひょっとこ商事で働きたくないけど、第三者から見るとすごく面白い」と言われることが多かったのだとか。
「なんとも言えないヤバさを漫画にして昇華したかったんです」と、かっぱ子さんは思いを語ります。
「誰か」が作る街の光が好き
このマンガを通して伝えたいことを聞いたところ、「最後の1ページが伝えたいことの全てですかね」と言いました。
最後のページの絵は、かっぱ子さんが働く職場近くの風景とのこと。
夜は窓から光が漏れて明るく、遅くまで働いている人がいることを実感するそうです。そして、そこで働いている人たちに思いを馳せることもあるのだとか。
「私はその明かりの中で誰がどんな風に何を思って働いているか知りません。一生会うことも話すこともないです」
「でも、夜、仕事途中に一息付きたくて新鮮な空気を吸いに非常階段に行き、周りのビルの明かりを深呼吸しながら見るのが好きです。『みんな頑張っているんだなぁ』と、一つ一つの窓の光の数だけ同志がいるような気になったりします」
「他の誰でもない貴方達が作っている街の光が好きです」