新学期が憂鬱な人へ届けたいマンガがあります。
SNSでマンガを発信している水谷アスさん(@mizutanias)がTwitterに作品を投稿したところ、「素敵な表現」「居場所によって生きやすさってものすごーく左右される」と大きな反響が寄せられました。
投稿されたマンガがこちらです。
「新学期が憂鬱な人へ。みんなが魚じゃなくても大丈夫…」
マンガに描かれているのは、「海についてどう思いますか?」と問われた魚や動物たち。
魚は海がなければ死んでしまいます。イルカは水の中で暮らしますが、外の空気を吸わないと生きられません。
白熊は海で泳げますが、陸上で生きます。
海鳥は魚を獲るために水に入らないといけませんが、水の中では暮らせません。
同じ動物でもライオンは海に縁がなく、カバは淡水に生息します。
昆虫は木や草が生えたところで生きます。海は必要ありません。さまざまな生物の中でも、海に対する認識はこれだけの差があるんですね。
水谷さんは「世界における海」を「人間における学校」になぞらえました。
学校に行くのが楽しい人もいれば、ずっと学校にいるのがしんどい人もいて当たり前。
マンガの中では「今日、学校行かない」と言うお子さんを見て、「学校が海なら、ハナは白熊かな…」と考える親の姿が描かれています。
BuzzFeedは投稿者の水谷アスさんに話を聞きました。
このマンガを描いたきっかけは、水谷さんの娘さんでした。
「半年ほど前に描いた過去作なのですが、当時、娘は学校に行ったり行かなかったりしている状態でした」
「嫌がる子どもを無理に行かせるのは心苦しいなぁ、みんながみんな学校楽しいわけじゃ無いもんなぁと感じていた思いを作品にしてみました」
学校をはじめとした人間のコミュニティを海に例えたのも、やはり娘さんがきっかけ。
娘さんがうまく集団に馴染めずにいた時期、「無理に集団に入るのは、この子にとって息苦しいことなのだろうなぁ」と感じたという水谷さん。
その時、芽生えた「呼吸がうまく出来ない場所で楽しめるわけがない」という思いから…
「魚は海で快適かもしれないけど、ライオンは海の中で生きていけないよね」
「生き物はそれぞれ個性に合わせた場所で生活するのが当たり前なのに、なんで人間の子どもはみんな一緒くたで同じ場所に行かないといけないのかな…」
…と、連想ゲームのようにこのマンガの構想を思いついたそうです。
娘さんと向き合い、考え方を変えた
学校などの小さなコミュニティの中で、悩みを抱える人はたくさんいます。水谷さんの娘さんも、その一人でした。
「小学校入学前、娘は集団の中で上手に生きていけずにどんどん自分を嫌いになりました。その結果、自分は生きていなくていいと言って泣くようになりました」
その時、水谷さんは「そんな事を自らの口から言わせてまで、集団に入れる必要はない」と思うようになったと語ります。
「それまで無理強いした結果への後悔から『学校に行きたくない』という本人の意思をもっと大切にしようと思うようになりました」
全ての子どもが息をしやすい環境で過ごせるように
半年前に描いたこのマンガを、改めてこの新学期が始まるタイミングで再投稿したのは、「新たな環境に憂鬱になっている子ども、そしてその親に届くといいな」という水谷さんの思いでした。
水谷さん自身も「我が家も子どもたちが若干不安定、そして私自身も新学期どうなるか不安でいっぱいです」と新学期への思いを語ります。
最後に、このマンガを通して伝えたいメッセージを水谷さんに聞きました。
「今は公立学校以外の学びの場がたくさんあります。ですが、周りと同じの地区の学校に通うことがまだまだ正しいと思われがちです」
「その土地で生まれたから行くのはここだけ。行けない子どもは落ちこぼれ…という社会ではなく、その子どもに合った学びの場を選べる社会に変わってほしいです」
「全ての子どもが息をしやすい環境で過ごせる事を願っています」
水谷さんがご自身と娘さんの歩みについて描いたマンガの記事はこちら。