Bennett Raglin/Getty Images for The New York Times
- インターネットが普及し始めた頃、ビル・ゲイツ氏はこの世界はもっと合理的になるだろうと思ったという。
- ただ、実際には「クレイジーな人々」が仲間を見つけるのに使われていると、ゲイツ氏は語った。
- ゲイツ氏は当初、人々が情報を探すために責任を持ってインターネットを利用すると思っていたという。
ビル・ゲイツ氏は当初、インターネットが世界をより事実に基づいた合理的な場所にすると期待していたものの、それが偽情報や「クレイジーな考え」の道具になっていることに気付いたと語った。
「自分も含め、デジタル革命を推進した人々はこの世界がもっと合理的になると本気で考えていた」とゲイツ氏は12月7日、ニューヨークで語った。
同氏は人工知能(AI)がこの世界に与える影響について語り、デジタル革命が起こった当初の自身の予測を振り返った。
マイクロソフトの共同創業者で慈善活動家でもあるゲイツ氏は、インターネットが普及し始めた頃、インターネットが「この世界を事実に基づいたものにする」だろうと考えていたという。
同氏は、ニュース記事に頼らなくても原告と被告それぞれの主張を調べれば訴訟を理解できることを例に挙げ、インターネットが情報を検索し、責任を持って自分自身の力を高める原動力になると考えていたと話した。
科学の分野でも、特定のテーマに疑問があれば「記事を読みに行き、そのテーマに関連する全てを見ることができる」とゲイツ氏は語った。
自身を含むインターネット起業家は、「ソクラテス式問答」が活発になることを期待していたのだという。
ただ、インターネットが「クレイジーな考え」を持つ世界中の人々によってどのように利用されるかは予期していなかったと話した。
「そういう人はたくさんいた。ただ、仲間を見つけることができなかった」とゲイツ氏は振り返った。
「それが今では、デジタルツールがあれば『おお、君もあのクレイジーなことを考えているんだね? 同感だ! 皆で集まって団結しよう。自分たちのことはQアノンと呼ぼう』などとなった」
ゲイツ氏は、若い世代が現在の"偽情報"の問題を解決するのに十分な創造力を発揮することを願うと語った。
AIの規制にも抵抗感はないと言い、規制に反対する声については「バカらしく」聞こえると付け加えた。
インターネットについてこのような"告白"をしたゲイツ氏だが、AIについては前向きで、労働力不足を解消したり、世界をより豊かにすることができるとの見方を示した。
「AIについては、自分はもっと楽観的だ。目先の利益があるからだ」